メーカー別 繊維ニュース

特集「グローバル繊維製品基準・規格は」(2)/検査機関の取り組み

2018年06月20日(Wed曜日) 午前11時16分

〈カケン/GC戦略室がアドバイス〉

 カケンテストセンター(カケン)は2013年にグローバルコミュニケーション(GC)戦略室を東京事業所の目黒ラボ内に開設した。海外の法規制、市場や慣習など幅広く情報を収集、発信し、海外展開のアドバイスを行う。「当初は中国に関するものが多かったが、台湾・韓国・香港の情報、ここ数年は欧州や東南アジアに関する相談が増えている」と言う。

 この変化は、生産地の移動とともに、電子商取引(EC)の台頭にも起因するようだ。生産地がコストアップもあり中国から東南アジアへとシフトした。市場面では中国だけでなく、台湾や韓国が関心を集めた。さらに「相談顧客は海外進出を進める大手が多かったが、最近はECを手掛ける個人が海外販売するようになり、その相談も増えている」

 「“中国の”といったピンポイントの質問ではなく、5~10カ国の組成表示や絵表示、部位の表記といったものの一覧がほしい」といった要望も出ている。

 カケンはビューローベリタス、AAFA(米アパレル&フットウエアアソシエーション)、ジネテックス社などと業務提携し、海外情報を収集する。GC戦略室は現地調査、海外向け品質管理システムの提案、海外向け表示指示、海外内販・法規制セミナー(年2~3回)を開くほか、ホームページでも海外情報を発信する。

〈ボーケン/グローバル情報機関として〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、変化する顧客要望へ迅速に対応するため、提携先との協業により、情報収集力、提案力、対応分野の強化を進めている。

 中国ではGB(中国国家標準)規格を取り仕切る中紡標認証(CTTC)と一緒に規格策定のアドバイスを行っている。上海と青島の試験センターは中国検査機関として法律の要求事項を満たしており、内販にも対応できる体制にある。

 ホワイトリスト管理システムを管理する中国紡織工業レン合会(CNTAC)とは戦略協力パートナーとして、全国衛生産業企業管理協会抗菌産業分会(CIAA)とは靴下の消臭加工評価に取り組み、安全性や規格などの情報共有を行う。

 国際的検査機関SGSとは業務提携によりジャカルタ、バンコク、ホーチミンで有害物質など現地最新情報の収集、台湾では海外ブランド規格に沿った品質試験(海外バイヤープログラム)に対応。韓国のFITI試験研究院とは、SAC(サステイナブル・アパレル連合)など、化学分析に関する情報サービスを行う。

 東京本部に「海外R&Aチーム」を設け、海外情報の収集、アドバイスのほか、「海外規格試験室」で試験に対応。メルマガ、セミナーなど情報発信にも注力している。

〈QTEC/パートナーと情報交換〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は中国5拠点のほか、韓国、バングラデシュ、ベトナムに試験センターを設ける。海外事業部がこれらを統括して海外の情報を収集するとともに、顧客に向けての発信を担う。

 顧客からの問い合わせで多いのは、中国。「中国は環境規制が厳しくなったが、ルールはあってもきちんと対応できていない部分もある」と言う。今月中旬に中国・青島市で開かれた「上海協力機構首脳会議」では、当該地域の安全・警備強化のため、工場の休業や交通規制が実施され、生産や納期での支障が懸念された。そうした地域ごとの実務情報も重要だ。

 バングラデシュには「表示法や安全性について明確な規定がない」。このため、バングラデシュからの輸出先の情報を提供する。ベトナムは来年1月から衣料品の安全性としてホルムアルデヒド、特定芳香族アミンが有害物質として対象となる。ベトナム試験センターは提携先のインターテックからも最新情報を入手して対応する。

 一方、QTECは昨年、世界を代表する羽毛試験監査機関IDFLと業務提携した。サプライチェーンの重要拠点である海外羽毛生産地での監査業務の拡大と充実を目的にしたもの。今年3月の「インターテキスタイル上海」にはIDFLと共同出展する関係で、情報交換も行っている。

〈ニッセンケン/エコテックスで情報発信〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、エコテックス国際共同体(本部スイス、世界16カ国・18機関参加)の「エコテックススタンダード100」の日本で唯一の認証機関。繊維製品に有害な物質が含まれず「安全」であることを分析試験の結果に基づき証明するこの認証システムは、世界約100カ国で16万件以上(2016年)を認証してきた。

 エコテックス国際共同体は毎年6月に技術会議、1月に支配人会議を開き、情報交換を行う。「毎年、5~10の新しい試験項目や対象有害物質などを討議する」ので、欧州の安全性に向けた最新情報を入手することができる。「安全性をどう担保するか、管理のアドバイス」の相談にも応じる。

 エコテックスは施設・工場の持続可能な生産現場構築を目指す「ステップ」、繊維製品を対象にした「メイドイングリーン」も展開。メイドイングリーンはタグのQRコードで、糸、製織、染めの生産国も表示する。安心・安全だけでなく、従業員の安全と衛生、企業の社会的責任にも広がる。

 ニッセンケンは高視認性安全服の普及にも取り組む。15年にJIS T8127(高視認性安全服)が発行されたが、この分野は欧州が先行している。そうした海外情報を収集するとともに、日本標識工業会、日本防護服協議会、日本保安用品協会などとの情報交換も行う。