メーカー別 繊維ニュース

特集 商社OEM2018(2)/デジタル技術の活用進む/メーカー機能を追求

2018年06月27日(Wed曜日) 午後4時6分

〈ベトナムで素材開発強化/EC対応も検討課題/スミテックス・インターナショナル〉

 スミテックス・インターナショナルは、OEM/ODMで質の高い企画提案力を強化する。ベビー・子供服、ベトナム縫製を活用した中高級布帛製品、キャラクター関連雑貨、海外事業などに注力。競争は激化しているものの、2017年度は全体としては堅調だった。

 海外事業の展開では、まず、中国は現地法人による内販の見直しを実施。優良な仕入れ先との取り組みを強化している。ベトナムでは設備投資や人員面での体制整備が整い、レディースのアイテムも追加し多様化を進める。

 小ロット対応、短納期、素材の面で中国は依然としてビジネスの重要度に変化はない。日本品質のモノ作りを維持するために、大連より北部での生産を一部行っている。中国国内で比較的人件費が低く、日本からの距離が近いことや大連から高速鉄道でアクセスが可能なことなど物流面で支障がないというメリットがある。

 好調なベトナムは直接貿易の体制を強化するため、素材開発に注力する。ベトナムは素材から縫製までの一貫生産体制が整っており、ASEANシフトの先頭を担う。韓国や台湾、中国の紡績メーカーによる投資が進んでおり、素材はそろいつつある。

 ベトナムの素材は、中高級ゾーンはまだ十分とはいえずボリュームゾーンの価格帯のものが中心になる。同社が関与するサミット・ガーメント・サイゴンとの連携で中高級品の生産性と技術レベルの向上を進めている。

 電子商取引(EC)が伸びるなど環境変化が激しい。それに対応をしていく必要があるため、今後のビジョンを見直す。基本はOEM/ODMでの対応となるが、新たなチャネルを見ながらモノ作りに取り組んでいく。

〈「クロスアプリ」強化/新素材投入し幅広く対応/MIF〉

 三井物産アイ・ファッション(MIF)は、独自素材ブランド「クロスアプリ」を引き続き強化していく。クロスアプリは、機能など素材の特徴ごとにサブカテゴリーに分類している独自素材群。サブカテゴリーの数も27に拡大しており、今後もさらに増やしていく。

 クロスアプリの最大の特徴は、消費者向けの情報発信ツールとして利用できる点。今年3月には、ブランディングプロジェクト「クロスアプリラボ」の取り組みとして、会員制交流サイト「インスタグラム」に、架空のユニフォームコレクションを発表している。

 指揮者、漁師、書道家、探偵などの職種を想定し、吸湿速乾や保湿性がある高機能素材を使用したユニフォームを作成。クロスアプリのイメージをアピールしている。

 ベースとなる素材開発では19初夏向けで、新たにポリエステル・レーヨン・キュプラの混紡糸を投入。紙糸を使った独自素材の「ワクロス」では風合いを高めることで、これまでのメンズ中心からレディースでの展開にも注力する。

 百貨店からショッピングセンターまで幅広い価格帯の商品に対応。レディースはブラウスやワンピース、メンズはパンツを中心に打ち出しを強める。

 一方生産面では、MIFにとってベトナムは、ASEAN地域での最重要拠点となっている。中国企業から細番手糸を調達して生地から縫製まで一貫生産し、高級感ある素材を中心に取り組む。組織もこれまでの顧客ごとに対応するものに加え、4月からは工場横断型の組織を立ち上げている。

〈エコ・サステイナブル/付加価値軸に素材提案/田村駒〉

 田村駒は、エコ・サステイナブルと機能性などの付加価値を軸にした素材提案で、OEM/ODMを強化する。

 リサイクルやオーガニックをテーマにしたサステイナブルな素材を打ち出す。リサイクルPETと古着を再利用したリネンやリサイクルPETと古着再利用のコットン、漁網を再利用したナイロンによるニット製品を提案。既にある素材を紡ぎ直して製品に再利用することで、環境への負荷を低減する。

 天然素材は農薬や化学肥料を3年以上使用していない土壌で育ったものを使用。オーガニックコットンとオーガニックヘンプの複合素材、オーガニックコットンとリサイクルPETの複合素材を打ち出す。

 機能性などの付加価値のある素材では、接触冷感を中心にした独自新素材「グレイシャ」は、UVカット、吸湿速乾、イージーケア、軽量などの機能を付加する。スポーツやユニフォーム、ファッション系など幅広いアイテムで活用できる。

 ポリエステル100%の「トリコット」を使用したシャツ生地も充実させている。新柄や製品アイテム、見本帳を披露した。ストレッチ性や通気性、接触冷感性、吸湿速乾性、UVカットなどの機能がある。生機をリスクしてユニフォームなど用途拡大に対応するとともに、中国などアジアへの展開も視野に入れる。

 ポリエステル短繊維による丸編み素材群「ポリコット」は、綿のようなソフトな風合いを実現し、吸水速乾性、毛玉になりにくい抗ピリング、UVカットなどの機能を持つ。引き続き、戦略素材として打ち出す。

〈OEM/ODMで進化/「新要素をミキシング」/ヤギ〉

 ヤギはOEM/ODM事業の進化に取り組む。長戸隆之取締役は「従来のやり方と新たな要素とをミキシングすることによって将来的にも成長できるビジネスを創っていく」とし、「当社の総合力を生かして受け身でなくこちらから販路を紹介する提案型のビジネスも展開していく」と話す。新たな要素となるキーワードとして雑貨、美容、飲食といった言葉を挙げる。

 原料・テキスタイル部門との連携もこれまで以上に深める。アパレル向け生地・製品企画販売のイチメン、紳士・婦人服・服飾雑貨のアタッチメント、撚糸・織物の山弥織物、テキスタイル販売のフジサキテキスタイルといった子会社や関連会社とタイアップすることで販路や企画力でシナジーを発揮し総合力につなげる。

 原料による付加価値化にも力を入れる。インド産オーガニック原料やエシカル素材を使うことによって製品で特徴を出す。福井、西脇、和歌山といった繊維産地と組んでオリジナルの生地、糸を開発し、独自性を磨く。

 海外の生産拠点ではベトナムに加えミャンマーやカンボジアでの生産を模索する。山岡一朗取締役は「現在、8割程度が中国生産だが、人件費の上昇や同国の環境規制への対応でコストアップが続いているため、東南アジアへの移管を進める」と話す。バングラデシュには2年前に駐在員事務所を開設したが、同国のインフラ面や技術的な課題が顕在しており試行錯誤が続く。

 2018年4~6月の業績は堅調に推移しており「スタートはまずまず」(長戸取締役)。5月に気温が上がらなかったことで春夏商品の店頭の販売が伸びず、追加がなかったため今後の商況への影響が懸念される。

〈ESG対応強化/「素材力」引き上げる/クラボウインターナショナル〉

 クラボウインターナショナルは今後のOEM/ODM事業で、ESG(環境・社会・ガバナンス)への対応を強化するとともに、素材メーカー系商社の機能追求として「素材力」の引き上げを図る。

 西澤厚彦社長は、「消費者のライフスタイルや消費意識の変化を背景にアパレル製品も今後ますますESGへの配慮、関わりが求められるようになる」と指摘する。この流れに対応し、国内外のアパレル、SPA、小売りなどと一緒に高機能や安心・安全の商品を開発し、社会貢献と顧客満足度向上につなげる。

 素材からの商品開発にはクラボウ本体との連携を重視。4月から新卒者含む8人体制で新設した技術部を連携強化に活用する。

 商品面では、縫製工程で発生する“裁断くず”を資源として再活用する取り組み「ループラス」などをESG対応品として訴求を強めるほか、オーガニックコットンやBCIコットンなどサステイナブル原料の調達にも力を入れる。「デジタルテクノロジーも重要な要素になる」として、熱中症リスク管理システムとそのためのスマート衣料「スマートフィット」などの活用も同時並行で進める。

 同社の縫製地は中国が65%で、25~30%がインドネシアとバングラデシュ、5~10%がベトナムという構成。中国縫製比率が年々減少する一方、バングラデシュ縫製は拡大中。チッタゴンに事務所を構えることやコストの安さが背景にある。今後は「安さと同時にスピードも重要」として、タイクラボウなど周辺国のグループ製造拠点とも連携しながら物流整備の状況を注視してスピードを上げる。

〈メーカー系商社の強み発揮/東南アジアで縫製拠点も拡充/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは、メーカー系商社の強みを発揮する縫製品ビジネスに力を入れてきた。取引先との取り組みを強めながら、糸・生地から縫製品までの一貫生産によるトレーサビリティーへの評価も高まる。東南アジアでの縫製拠点拡充も進む。

 現在、同社が取り組む縫製品OEMはアスレチックやゴルフウエアなどのスポーツ、白衣や作業服などのユニフォーム、インナー、シャツ、寝装と多岐にわたる。いずれも「機能素材など自社の独自性を発揮できる生地を活用した縫製品開発と供給が基本戦略」(渡辺紘志取締役執行役員繊維事業総括部長兼インナー事業部長)となる。

 例えば紳士服郊外店やシャツアパレル向けで受注拡大が続いているニット製ドレスシャツは、独自の布帛調ニット生地に、やはり独自の縫製仕様を組み合わせることで商品化に成功した。生産はインドネシアの編み立て・染色加工子会社である東洋紡マニュファクチャリングインドネシアと縫製子会社のSTGガーメントが主力。特殊な機能素材は縫製ノウハウも必要なため自家工場で縫製するメリットは大きい。STGガーメントは布帛シャツやスポーツ衣料の縫製でも大きな役割を担っている。

 近年、発注元であるアパレル・流通はCSR調達の観点からサプライチェーンの透明化とトレーサビリティーの確保を重視する傾向が強まった。生地から縫製品まで一貫生産できるメーカー系商社の特徴が強みとして評価される。このため縫製拠点の拡充も進めた。ベトナムにも独資子会社の東洋紡ビンズンを立ち上げ、ワーキングユニフォームなどの縫製を拡大させている。