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豪州羊毛相場/新年度は踊り場スタート/中国の“様子見”が影響

2018年07月19日(Thu曜日) 午後4時37分

 記録的な高値圏が続く豪州羊毛相場。市場関係者の間では2100豪セント突破も間近と見られていたが、羊毛新年度となる7月の第1週、第2週の東部市場価格(EMI)は2027豪セントから1981豪セントまで下げ踊り場を迎えた。相場に詳しい専門家はこの意外な動きの背景について「中国系バイヤーが様子見をしている影響」とし、「彼らの暴落体験から来る心理的な“相場の壁”が買いをとどまらせている」と分析する。(橋本 学)

 今年に入ってからの豪州羊毛相場の動きを見ると3月上旬から4月上旬にかけて、衣料品用途が多い22マイクロメートル以下で一時的に値を下げたが、4月12日からは、全ての繊度で価格が再び上昇し始めた。原因は「豪州羊毛で8割のシェアを握る中国で、秋冬物の生産がスタートし実需が底堅いことがはっきりしたため」(商社筋)。

 5月30日にはついに2千豪セント台を突破。このまま2017~18羊毛年度内(18年6月末まで)にも2100豪セントを突破するかに思われた。

 ところが、18~19羊毛年度最初のオークションとなる7月4日から直近の12日にかけてEMIは大方の予想を覆す形で2027豪セントから1981豪セントにまで下落した。羊毛相場に詳しい専門家は「この値動きには、中国系バイヤーの心理的な“相場の壁”がある」と話す。

 現在と似た相場の高騰は11年6月にもあった。当時の高騰の要因はリーマン・ショックから中国経済が回復してきたことによるウール製品市況の好転。上がり方も今と似ており、EMIは米ドル換算で11年6月15日に1528米セントと最高値に達し、「さらに上がるのではないかという状態だった」(前述の羊毛相場専門家)。ところが、そこから4カ月ほどで1109米セントまで一気に暴落した。

 「この時、苦い思いをしたのが米ドルで取引してきた中国系のバイヤーたち。だから今の相場は彼らにこの時の体験を思い出させる」(同)と指摘する。

 今年6月のEMIの米ドル換算価格に“相場の壁”がはっきりと表れている。5月初旬から実需期となり上げ相場が続き6月6日に1547米セントに到達。するとそこから一転、下落に転じ、今月12日のオークションで1462米セントまで下げている。「直近の落札量の多い企業ランキングは、いつも上位にいる中国系が順位を下げており、彼らが“これ以上は怖い”と二の足を踏んでいる証拠」(同)

 羊毛相場の専門家は今後の動きについて「先行きは読みづらい」と前置きした上で「中国の需給動向が今後を占うカギとなる」と話す。「相場の状況は過去と似ていても中国の市場環境は異なる。富裕層、中間所得層が当時よりずっと増えている上、ウールの新たな用途も出てきている」と続ける。11年の高騰時はほとんどが一般的なスーツ、コート、ニット製品などがメインだったが、今はアウトドアやスポーツインナー向けのウール素材やフェイクファー用のウール需要も拡大しているという。

 「しばらくこの相場の“様子見”が続くかもしれないが、彼らのファッションのトレンドによっては今後、過去の暴落とは逆にさらに上がっていくことも十分あり得る」と話す。