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モリリン/イトから始まる、すべてのコトへ

2018年07月19日(木曜日) 午後4時56分

 「イトから始まる、すべてのコトへ」。モリリンが掲げるコンセプトは、同社が繊維事業の原点である素材にこだわり、独自の素材開発に力を入れてきたことを表す。さまざまなニーズに応える繊維総合商社として、縫製品まで展開するが、糸から開発した独自素材は同社の大きな武器でもある。

〈ファッションと独自素材融合〉

 先頃、東京で開催された「19春夏総合展」の会場入り口に設けられたコンセプトルックは同社の強みをそのまま表した。資本提携する「ヴゼット」を、「D+」「セルアーマー/ハイブリッドヴィスコース」「バルジー」、そして「#F2」という独自素材と結び付けたファッション提案を行った。これも糸からの独自開発素材を持つ同社ならではの提案と言える。

《D+/消臭セルロース繊維によるデオドラント素材》

 D+は独自の消臭セルロース繊維「デオセル」を使用した、ポリエステル短繊維とのサイロコンパクト紡績糸。デオセルが持つアンモニア、イソ吉草酸、酢酸などの消臭効果に、サイロコンパクト紡績による毛羽立ちやむらが少ないなどが特徴。

 デオセルはセルロース繊維をわた段階で改質することで、消臭効果を付与するため、その効果は半永久的。デオセル20%混で各種消臭効果を発揮し、特にアンモニアの消臭効果に優れるという。糸種は30、40番手(綿番)をラインアップし、ジャケット、ストレッチパンツはじめオールアイテムに展開する。

《セルアーマー/ハイブリッドヴィスコース/ハリ・コシ感とドレープ性併せ持つ複合糸》

 セルアーマー/ハイブリッドヴィスコースは芯部分のセルロース繊維をポリエステル長繊維が被覆するように配した交撚糸。この糸を使えば、セルロース繊維が持つしなやかさと美しいドレープ性を維持しながら、ポリエステルとの高次加工により、適度なハリ・コシ感を併せ持つ生地に仕上がる。

 通常のセルロース繊維に比べて強度やピリング性能も大幅に向上する。

 メリノウールとナイロン長繊維の複合糸で秋冬向けの「メリノアーマー」の春夏版でもある。

 糸種は52番手(毛番)をラインアップ。ジャケット、ワンピース、スカートなどアウター向けに展開する。

《バルジー/糸そのものが丸く軽い次世代のポリエステル》

 バルジーは捲縮(けんしゅく)性を持つポリエステル長繊維に、高次ストレッチ加工を施した次世代のポリエステル糸。糸そのものが丸く、空隙が多いため、ふんわりとした豊かな表情感がありながら、ポリエステルの高機能性も併せ持つ。

 仮撚りから高次ストレッチ加工、糸染めまで全て日本生産。紡毛などのウール代替素材として、コートなどに展開する。

 糸種は990デシテックス以上。毛番換算では10番手クラスになる。秋冬だけでなく、“ハイブリッドツィード”としても春夏向けにも展開する。

《#F2/福井産地企業と共同開発のテキスタイル》

 #F2は日本を代表する合繊織物産地である福井産地企業と共同で開発したテキスタイル。「福井」をブランド化した企画であり、これまでの取り組み先との共同企画。同社の独自糸を使って福井産地企業約5社が織・編み物に仕上げる。

 キュプラ繊維高率混で、軽さを追求した#エアリーキュプラ、ポリエステル100%または高率混から成る#エアリーポリエステル、アセテート繊維と複合した#エアリーミックスの3タイプから成り、経糸は合繊長繊維を使いながら、緯糸に独自紡績糸を組み合わせたものが主体。ブラウス、ワンピース、スカートなどに向けて展開する。

〈横断的な独自素材を生み出す/素材開発PT〉

 モリリンは2017年3月1日付で素材開発プロジェクトチーム(PT)を新設した。個々の営業部で素材開発を継続する一方で、同PTは全社的な観点で開発に取り組み、横断的な独自素材を生み出すことを主眼とする。このPTから生まれたのが「涼感LABO」「ミリオンドライ」「マジ軽エアー」の3素材になる。

《涼感LABO/涼しさで独自の評価方法確立》

 涼感LABOは着用時の涼しさを評価するクーリング性試験法(モリリン法)。独自素材や新開発素材で同試験法を通るものは「涼感LABO」ロゴマークの下げ札を付けて販売する。

 従来の接触冷感や吸水速乾性による素材の涼感評価は実感と相違があった。このため、同社は人体の体温調節機能である汗に着目。「汗が乾けば熱を奪うことから汗が速やかに乾燥すると涼しい」「通気性が高い方が涼しい」という前提に立ち、ヒートロス値から涼しさを定量的に表す涼感指数を設定。公的検査機関の協力を得て試験法を確立した。

《ミリオンドライ/ポリエステル100%紡績糸の多機能素材》

 ミリオンドライはポリエステル100%紡績糸使いの織・編み物。各種ポリエステル短繊維を組み合わせた100%紡績糸により吸水速乾、UVカット、毛玉になりにくいなどの機能性に加え、コットンのような肌触りを併せ持つ。

 生産は紡績から織布・編み立て、染色加工を全て東南アジア諸国で行う。難度の高い東南アジアでのモノ作りを、同社の現地法人が起点となったオペレーションと品質管理で実現した。

 衣料品(丸編み、セーター、布帛製品)に加え、寝装寝具、リビング関連商品まで幅広く販売する。

《マジ軽エアー/従来比30%の軽量性実現》

 マジ軽エアーはワーキングウエアなどユニフォーム向けを中心に、スポーツ・アウトドア向けにも販売する超軽量織物。経糸に綿糸やポリエステル綿混糸、緯糸に特殊ポリエステル長繊維を使い、後加工も組み合わせながら、従来品に比べて30%の軽量化を実現した。ポリエステル長繊維の軽量織物は既にあるが、ポリエステル短繊維など紡績糸を使ったものは少ない。

 軽量性に加えてスパンデックス混ほどではないが、ストレッチ性も併せ持ち、着用感に優れる。生産は紡績から織布、加工まで中国で行う。将来的には織物だけでなく、丸編み地の展開も視野に入れる。