メーカー別 繊維ニュース

外資SPAから学ぶ社会貢献(3)/「次代を開く新たな取り組み」/事例研究

2018年07月23日(Mon曜日) 午後1時51分

〈東洋紡STC/用途開拓進める「COCOMI」〉

 東洋紡STCは、独自のフィルム状導電素材「COCOMI」による生体情報のセンシングなどで繊維製品の新たな市場を創出することを目指す。ハードな使用状況でのセンシング性能を確認する試みも続く。

 COCOMIは、電極と配線が一体化したフィルム状導電素材のため体の動きにスムーズに追随でき、自然な着心地を可能にするウエアラブルデバイスとしてさまざまな用途への提案を進めている。

 例えばアニコール社が競走馬の心拍数測定用腹帯カバーにCOCOMIを採用している。調教師の経験に頼っていた競走馬の体調管理に正確な生体情報を導入することが可能になった。伸縮性があるため、疾走時の激しい動きにも追随できる。

 用途開拓に向けてハードな使用条件下での性能評価が欠かせない。このためF3ドライバーの三浦愛選手と契約し、COCOMIを使ったセンシングウエアで練習走行時などの生体情報モニタリングのテストを行っている。東海大学とも共同研究を開始。スポーツ分野向け生体情報計測用ウエアで生体情報を計測し、効果的なトレーニングをサポートするスポーツウエアの開発を目指す。

 そのほかにも介護やヘルスケアなどさまざまな分野での可能性を探求する。

〈蝶理/成長の可能性がある合繊に注力〉

 近年はポリエステル繊維を使用したスーツの需要が伸びるなど、合成繊維の用途が広がっている。

 蝶理は強みである合成繊維に改めて注力する。その中心となるのは独自開発した複合繊維「テックスブリッド」。高伸縮、高耐久性といった機能に加え、ソフトな風合いを特徴とする。天然繊維の風合いを持ちながら合成繊維の扱いやすさを兼ね備えた「エココットン」と「ハイブリッドリネン」の評価も高まっており、合成繊維の可能性が高まっている。

 エココットンは、スパンタイプの合成繊維でコットンのような風合いを表現。ハイブリッドリネンは「エコリネン」とも呼ばれ、リネン特有のシャリ感を合成繊維で表現した。

 同社が合成繊維に注力するのは、その機能性や使いやすさの観点から、今後も成長する可能性があると考えているためだ。これがテックスブリッドを10年スパンの長期的なトレンドの中で展開する背景となっている。

 一方、ビジネスの継続性という意味では、国内産地との協業があり、「新潟ニット」など独自のブランディングに取り組んでいる。日本でのモノ作りを継続し「世界に伝えていくことも商社としての使命」(前川達哉アパレル部部長)とする。

〈豊田通商/フェアトレード綿の啓もう活動も〉

 フェアトレードは、開発途上国の原料や製品を適正価格で継続的に購入して、生産者の労働生産性向上、生活改善・自立につなげる貿易の仕組み。サステイナブル(持続可能性)な取り組みの一つといえる。豊田通商グループは、綿花の調達から販売まで一貫したフェアトレードの仕組みを構築した。

 豊田通商とグループ会社のTBユニファッションは、2018年に国際フェアトレード認証を綿のカテゴリーで取得し、同社グループがフェアトレード綿の調達から製造・販売までの認証取得を完了した。まずはグループ企業の社員用ユニフォームをフェアトレード綿のものに順次切り替えていく。

 フェアトレード綿のユニフォームに関しては、CSR(企業の社会的責任)の意識が高い民間企業、NPOなどの団体のほか、「フェアトレードタウン」認定の取得や取得を目指す地方自治体への提案を進めている。

 さらに、同社は若い世代への啓発活動にも積極的に取り組んでいる。大学などのオープンキャンパスでフェアトレード綿を使用した資料入れ(トートバッグ)を配布。同社社員が講師となり、大学でフェアトレードに関する講義や演習も行っている。

〈宇仁繊維/「服と人が好き」が条件〉

 「成長の原動力は間違いなく人」と宇仁繊維の宇仁龍一社長は語る。今後、さらに企業価値を高め、会社を持続可能にしていくのも人だ。

 宇仁社長が採用の際に重視するのが「服好き」と「人好き」。社員には常日頃から「自分が着たいと思う服(生地)を作りなさい」と話す。服が好きでなければ良いものは作れないし、それを作るには産地企業など仕入れ先の協力が必要不可欠であり、販売先にしっかり提案するには人が好きでないと務まらない。「自分で生地を作り、それが製品になって店頭に並ぶ。このことに喜びを感じてほしい」と言う。

 ただし、作るものが独りよがりではいけない。顧客の要望を聞いた上で、それを自分なりに消化、あるいは逆提案して形にするのが肝要だという。作れるもの、作れないものを熟知しておくためには仕入れ先に足しげく通う必要もある。「行動力のあるなしは営業数字にも反映される」と行動力の重要性も説く。

 「当社には組織力というものはない」と宇仁社長。その代わり、多品種・小口・即納体制は構築できている。このシステムを、行動を伴いながらうまく活用できる人材を今後も採用していくと同時に、幹部候補の育成にも力を入れる。

〈東レ/環境、健康は成長分野〉

 東レは、環境や健康に関連する領域を成長分野と位置付け、グリーンイノベーション(GR)事業とライフイノベーション(LI)事業として取り組みを加速させている。

 地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を目指すGR事業の中で繊維事業として力を入れているのがバイオ原料ポリエステル(PET)。PETは高純度テレフタル酸(PTA)とエチレングリコール(EG)を重合して作るが、既にEGのバイオ原料化には成功している。さらに100%バイオ原料とするためにPTAのバイオ原料化も試作段階に入った。

 バイオ原料PETに力を入れる一方、ここに来て再生PETへの注目も高まってきた。このためマテリアルリサイクル、ポリマーリサイクル、ケミカルリサイクルなどリサイクル技術を応用した再生PETの活用についても検討を進める。

 医療の質向上、医療現場の負担軽減、健康・長寿への貢献を目指すLI事業では紙おむつ向けポリプロピレンスパンボンド不織布の拡大が進む。乳児向けだけでなく今後は大人向けでの需要拡大も期待できるため、引き続き重点用途として取り組みを進める。

 そのほか、生体信号検知機能素材「hitoe」や保護服「リブモア」なども期待の商材。こうした成長領域でのビジネス拡大で新たな企業価値の創出を目指す。

〈ユニチカグループ/ケミカルリサイクルを拡大〉

 ユニチカグループは現中期経営計画でもサステイナブル(持続可能)な成長を大きな目標に掲げる。このためユニチカトレーディング(UTC)を中心とした衣料繊維ドメインとして生産効率の向上やサステイナビリティー(持続可能性)に焦点を当てた研究・開発に取り組み、ケミカルリサイクルポリエステルの活用などに取り組む。

 メーカーとして持続的な成長に欠かせないのが生産効率の向上によるコストダウンなど。このためグループ内の生産機能と販売機能が連携し、効率的な生産・販売に取り組む。拡大している海外調達に関しても集約による効率化を進めた。

 一方、商品開発でもサステイナビリティーを重視した取り組みが進む。UTCは2017年4月からドイツで開催される機能性繊維の国際展示会「パフォーマンス・デイズ」に連続出展しているが欧州を中心にサステイナブルな素材への引き合いが一段と強まる。

 このため非フッ素の撥水(はっすい)加工生地「タクティーム」の原料をケミカルリサイクルポリエステルに置き換えることを進める。将来的には芯鞘構造ポリエステル糸など他の機能素材でもケミカルリサイクルの活用拡大を構想するなど、繊維素材に対する世界的なニーズの変容への対応を進める。

〈クラレグループ/「マジックテープ」が新製法に〉

 クラレグループは現在、さまざまな商品で製造プロセスの革新に取り組んでいる。その一つが、クラレファスニングが製造販売する面ファスナー「マジックテープ」。新製法への切り替えが完了した。

 面ファスナーは製織、熱セット、染色、バックコート、フックカット、スリットという工程を経て製造する。これに対してクラレファスニングは工程の短縮と環境負荷低減を目指して製造プロセスの改革に取り組んできた。有機溶剤を使うバックコートとエネルギー消費の大きい熱セットを不要にすることが特に大きなテーマだった。

 独自の製法の開発を進めた結果、2007年ごろにバックコートと熱セットが不要な製造プロセスを確立。フックの原糸も従来は柔軟性の観点からナイロンモノフィラメントが一般的だったが、より汎用性のあるポリエステルに切り替えることに成功した。ユーザーの間でも新製法に対する理解が進んだことで、今年1月に丸岡工場の全生産を新製法に切り替えた。

 フックのポリエステル化に成功したことで、他の素材の利用にも道が開けた。そこから生まれたのがポニフェニレンファルサイド(PPS)製のマジックテープ。耐熱性を持つことで航空機のシート部材など新たな市場開拓につながる。製造プロセスの革新でマジックテープの新たな可能性を追求している。

〈旭化成/実感できる価値を追求〉

 旭化成・繊維事業本部の商品科学研究所は最終製品として実感できる価値を追求した研究開発に力を入れている。素材の力に加え、テキスタイル技術力、評価・解析力、商品設計力を駆使し、機能テキスタイル・機能ウエア、医療・自動車分野などさまざまな領域で研究開発を進めている。

 研究開発の重要なテーマが「健康・快適性」。そのコンセプトを表すのが「A―cubic」ブランドで、「温熱快適性」「動作快適性」「肌快適性」の切り口で商品開発に取り組む。例えば温熱快適性では、「着た方が快適」「着た方が涼しくなる」という素材開発をインナー・レッグ中心に実施している。

 今後は顧客との協業を強化し、「A―cubic」開発を進化させるとともに、川中や川下の技術をより高めていく方針をとる。「『次世代の価値とは?』を明確にし、素材~生地~製品設計の開発に取り組む」(池永秀雄商品科学研究所長)と語る。

 快適性や健康状態を数値化する評価技術、人の動作に衣服が及ぼす影響を解析する動作解析技術を「重要な基盤技術」と位置付けてさらに進化させるほか、シミュレーションを応用した新たな原理究明、最適な衣服のパターン設計なども基盤技術として重視する。ヘルスケア技術開発の強化などにも取り組む。

〈オーミケンシ/セルロースの可能性追求〉

 オーミケンシは、セルロースの可能性をさまざまな角度で追求している。主力のビスコース法によるレーヨン短繊維の生産に加え、独自の溶剤法セルロース繊維の開発も進める。カニ・エビ殻を原料とする極細繊維キチンナノファイバーをセルロース繊維に練り込むことにも取り組む。木材から抽出したセルロースを素材とする低カロリーの食品、「可食セルロース」の量産にも着手する方針だ。

 レーヨンの製造法としては、パルプを溶かす際に二硫化炭素を使うビスコース法が一般的。二硫化炭素を使わない独自の溶剤法セルロース繊維も開発することで、産業資材分野での市場拡大を狙う。

 キチンナノファイバーについては、大学と共同で既に開発に成功した。これを結晶化したナノクリスタルを繊維に練り込み、化粧品、医療・介護分野へ提案する。

 可食セルロースは、同社ウェブサイトや一部生活協同組合のカタログを通じて販売している。食品事業拡大を狙って買収した食料品製造加工販売の宇美フーズ(福岡県宇美町)に、量産機を設置し、量販店やコンビニなどを通じ、来年度から本格販売に入る予定だ。

〈ダイワボウレーヨン/持続可能な社会に貢献〉

 ダイワボウレーヨンは、持続可能な社会の実現に貢献する繊維素材の打ち出しを強める。国連が提唱する「持続的な開発目標(SDGs)」を事業運営に組み込んで、レーヨンがサステイナブル(持続可能)な素材である点を強調する。

 今年に入って開発した新素材は環境保全に寄与するという付加価値が強みとなる。その一つが環境配慮型撥水(はっすい)加工レーヨン不織布「エコリペラス」。レーヨン本来の特性はそのままに、表面に特殊な撥水処理を施した。撥水性以外にもpHコントロール性や消臭機能も持つ。使い捨ての衛生材の不織布用途で提案する。

 こうした不織布にはこれまで合成繊維であるポリプロピレンが使われてきた。近年、合成繊維から排出されるマイクロプラスチックが環境を汚染することが問題視されていることから、エコリペラスは環境への優しさを強みにこの用途で拡販する。

 ヒ素イオン吸着レーヨン「クリンレイ」も新たに開発したばかりの地下水のフィルター用レーヨンだ。ヒ素を吸着する化学物質を練り込むことで水に含まれるヒ素イオンを短時間で取り除く。アジアの新興国などが抱える水質汚染問題の解決策の一つとしてアピールする。

〈シキボウ/臭気対策剤の販路開拓へ〉

 シキボウは独自の産業用臭気対策薬剤「デオマジック―S」の新たな販路開拓に力を入れる。

 これまで畜産農家、生ごみ収集車、バキュームカーなどで採用実績があるが、紡績工場や染色加工場にも提案する。悪臭の問題が付きまとう染色加工場や獣毛を大量に扱う紡績工場などでの需要を見込む。同社の江南工場の排水処理場でも効果は実証済み。

 デオマジックは、不快な臭いを薬剤の成分に取り込んで、ナッツやフルーツといった良い香りに変える効果を持つ。少量でも効き目が強く、産業用は16リットルの原液が入ったタンク売りで、100~200倍に希釈して噴霧装置で使用する。薄めても効果は落ちないという。

 7月から一般家庭や飲食店の生ごみの臭気対策品として手軽に使えるハンドスプレータイプを同社通販サイトで発売した。昨年には糞便臭用のスプレーも販売しており、法人需要に加え一般消費者向けにも販売を強める。

 辻本裕戦略素材企画推進室長によるとデオマジックの2018年1~6月の売上高・利益はともに前年同期間比2・5倍で推移している。今期から始まったシキボウの3カ年経営計画で“新領域”を開拓する事業の一つになっており、今後の売れ行き拡大に期待がかかる。

〈新内外綿/全綿糸をオーガニック最低1%混に〉

 新内外綿は今期からスタートした3カ年の中期経営計画で、自然環境に配慮した取り組みに力を入れる。全ての綿糸を最低1%のオーガニック綿混にする。農薬を使わず栽培した綿花を原料に混ぜることで、事業を通じて環境保全に貢献する。

 従来よりも原料コストが高くなるが、持続可能な自然環境に寄与していく姿勢を主力商品で発信する。インド産の有機綿を使う。

 同社子会社で主力紡績工場のナイガイテキスタイル(岐阜県海津市)はオーガニック綿の世界認証であるOCS認証を取得しており、認証工場で生産したオーガニック素材としてアピールする。

 今年度から同工場の生産性改革にも着手した。工場内の機械の配置を見直し、効率の良い生産ラインにする。老朽化した機械の廃棄、新たな紡機の導入も行い、これまでより小量生産・短納期対応に強い工場にする。設備投資額は4億円で3年後に完了する。

 約3万6千平方メートルの工場の西側に原綿調合機、混打綿機、練条機など前紡工程の機械を配置し、東側に精紡機、ワインダー、梱包(こんぽう)作業場といった後工程を置く計画。西から原料が入って、東から製品となって出荷する直線的な生産ラインにする。

〈ブラザー工業/人、環境に優しいミシン/「ネクシオ」5機種展開〉

 ブラザー工業は、2015年から工業用ミシンの「ネクシオ」シリーズを販売している。顧客目線を徹底的に重視し、「使いやすさ」にこだわり開発を続けてきた。現在までに5機種を展開しており、いずれも環境保護を考えた技術や取り組みを実践。使う人にも環境にも優しいミシンとして、高い信頼性を得ている。

 ネクシオは初心者から熟練者まで簡単に扱えることに加え、高品質な縫い目やミシンの耐久性などを実現。開発に携わったマシナリー事業工業ミシン営業部CS企画グループの加藤雅史さんは「開発となると、ミシンの仕様や回転数などに考えが及びがちだが、われわれは『お客さまにとって大切なことは何なのか』ということを考えた」と振り返る。

 ミシン本体にモーターを内蔵する「ダイレクトドライブ」という技術を採用し、消費電力は従来ミシンの約半分にまで低減。自社基準「ブラザーグリーンラベル」も取得しており、生産や材料の調達などで省エネ、環境配慮を徹底した。さらに、針折れの低減も図り、06年に中国で特許を取得。安心安全にも一役買っている。

 ネクシオで最初に発売した機種が、電子送り本縫いダイレクトドライブ自動糸切りミシン「S―7300A」。水平方向の電子送り機構「デジフレックスフィード」を世界で初めて採用し、パッカリングや縫いずれの軽減を可能にした。「使うお客さまのことを第一に考え、今までにないミシンとして発売した」と話す。

 16年には第2弾として、ダイレクトドライブプログラム式電子ミシン「BAS―Hシリーズ」を発売した。世界最高レベルの縫い速度を達成し、安定した縫い目を実現する。タッチパネルにジョグキーを取り付け、直感的に操作できるよう工夫を加えた。現在までに6品番をそろえる。

 今年は電子送り本縫いダイレクトドライブ自動糸切りミシン「S―7250A」、本縫いダイレクトドライブ電子閂止めミシン「KE―430HX」、本縫いダイレクトドライブ電子ボタン付けミシン「BE―438HX」の3、4、5弾を投入した。

 S―7250Aは、S―7300Aの基本的な性能をそのままに、リーズナブルな価格を実現した。デジフレックスフィードも搭載している。KE―430HXは、針の冷却装置を取り入れたのが大きな特長。摩擦で熱を持った針による糸切れを防ぐ。BE―438HXは、基本的な性能はKE―430HXとほぼ同じだが、ボタン掴みの形状を変え、スムーズなボタン挿入を可能とした。

 ネクシオはIoTシステムにも対応し、簡単に現場の見える化などを図ることができる。今後も顧客視点を徹底し、縫製の現場を一新する解決の手段としてネクシオは進化を続ける。

〈YKK/国内事業再強化へ/多様化するニーズに対応〉

 YKKは第5次中期経営計画(2017~20年度)の事業方針として「更なる量的成長を目指して」を掲げる。20年度ファスナー販売本数128億8千万本(17年度で95億3千万本)を目標に、量を追いつつ価格もリーズナブルな「スタンダード」を最重要カテゴリーに位置付ける。

 デザインや機能重視の「バリューコンシャス」、新興国内需の「BOP」などそれぞれのカテゴリーで商品、モノ作りの事業競争力を強化していく。

 世界のファスニング開発体制の基盤もより強化し、地域に密着した商品開発で顧客要望にタイムリーに応える。成長するアジア市場にも積極投資する。

 日本でも多様化する顧客要望への対応を強化するため、「ジャパンカンパニー」を設置し、国内事業の再強化を図る。YKKは1日付で、YKKファスニングプロダクツ販売を吸収合併した。これに先立ちYKKファスニング事業本部内に4月1日付でジャパンカンパニー(以下JC)を設置していた。

 今年度からファスニング事業本部を商品事業部制に改編し、戦略立案機能を担うファスナー事業部とS&B事業部を設立。一方で日本市場強化に向けて事業を遂行する社内カンパニー制のJCも設置し、日本市場の収支責任を負う体制にした。

 日本市場は人口減や顧客の国内調達減などで、今後も縮小化は避けられない。顧客の要望も多様化している。このため、松嶋耕一取締役副社長ファスニング事業本部長は「日本市場の多岐にわたるニーズを製造につなげるために、製造・開発・販売の一元化で顧客要望に迅速な対応を進める。経営効率化の改善も図る」。

 JCは第1~第3営業部のほか、貿易業務の輸出営業部、営業業務部などを置く。製造・技術・開発に裏付けられた営業力のさらなる強化とともに、ファスニングソリューションも提供していく。

 製造開発では日本オンリー商品などで新規需要の創造に努める。ファスナー黒部工場はマザー工場として製造技術基盤を強化。スライダーの大ロット生産モデルとともに、小ロット多品種の生産モデル工場としてFA化やラインをつなぐ投資を進める。人手不足への対応、生産性の向上とともに、「24時間稼働モデル工場」を目指す。S&B事業は商品開発に力を注いでいく。

 JCの白川善浩プレジデントは「JC開設後も従来の代理店制度は変わらない」とし、メディカルやユニフォーム分野などの開拓や納期サービスのさらなる向上にも取り組む。

 日本での売上高は約800億円(ファスナー事業約700億円、S&B事業約100億円)だが、20年度には15%の増収を図る計画だ。