中国の年内経済運営/外資への市場開放加速/権益保護も強化

2018年08月07日(火曜日) 午後2時21分

 中国の習近平政権は、年内に外資への市場開放を一段と拡大する方針をとる。国内での外資企業の権益保護も強化する。米国との貿易戦争が長期化の様相を呈する中、保護主義を強めるトランプ政権との対抗軸を鮮明にするとともに、海外からの投資を活用して景気の下支えを図る狙いとみられる。

 習総書記(国家主席)が7月31日に主宰した中国共産党の中央政治局会議で決定した。2018年下半期(7~12月)に取り組むべき「六つの安定」の一つに「外資の安定」を盛り込み、改革開放の推進を重要な政策テーマとして掲げた。

 会議では足元の経済状況について「新たな問題、新たな挑戦に直面している。外部環境には明らかな変化が生じた」と指摘。米国との摩擦を念頭に、下半期は「主要な矛盾を把握し、的を絞った措置で解決する必要がある」との認識を示した。

 年内の政策運営で共産党が最も重視するのは「経済、社会の大局的な安定」。会議ではそのための「六つの安定」として、「雇用の安定」「金融の安定」「貿易の安定」「外資の安定」「投資の安定」「見通しの安定」に配慮していく方針を確認した。

 改革開放の推進については、「役に立ち、効果のある重大な改革措置」を継続して打ち出していくと表明。これまでに発表済みの「開放を拡大し、市場参入規制を大幅に緩和する重大措置」の確実な履行と併せて、外資への門戸をさらに広げる姿勢を強調している。

 新華社電によると、中国社会科学院財経戦略研究院の汪紅駒研究員は「既に決まっている開放政策は速やかに実施し、外資規制分野を一覧化したネガティブリストの政策は実現を加速させるべきだ」と述べた。7月に施行されたネガティブリストの18年版には、自動車製造業や金融業などにおける外資規制撤廃へのタイムスケジュールが盛り込まれており、場合によっては開放のペースを予定より早めることもあり得るとの見方を示す。

 会議では「外資の安定」に関連し、「中国での外資企業の合法権益を保護する」と強調した。トランプ政権は「米企業が中国で事業展開する際に最先端技術の移転を強要されている」と主張し、対中制裁の根拠としているほか、欧州連合(EU)も同問題を世界貿易機関(WTO)へ提訴している。習政権としては、知的財産権を含む外資の権益保護を中国は重視しているとの立場をアピールした形となる。

〈インフラ投資を積極化か〉

 「六つの安定」には「投資の安定」も含まれており、会議では「インフラ分野の弱点補強を強化する」方針が示された。

 上半期(1~6月)の固定資産投資は6月まで4カ月連続で減速しており、国家発展改革委員会(発改委)によると「インフラ投資の伸び率縮小が原因の一つ」。政府は一部地域でインフラ建設への投資を引き締めてきたが、今後は必要なインフラ整備への投資は再び拡大させることが予想される。

 下半期の経済運営について、全体としては「積極的な財政政策と穏健な金融政策」を掲げた。金融政策はこれまで「穏健中性」としてきたが、「中性」を取り除いた格好となった。中性の本来の意味は「中立」であるものの、中国の金融政策では「穏健」よりも引き締めの意味合いが強いとされる。

 李克強首相が7月23日に主宰した国務院(中央政府)常務会議は、積極的な財政政策をさらに積極化させるとともに、穏健な金融政策は適度な流動性の維持に重点を置く政府方針を示した。今回の中央政治局会議もこれを追認した形で、財政政策は「内需拡大と構造調整でより大きな作用を発揮する」必要があり、金融政策は「リスク緩和と実体経済への貢献をより良い形で連動させる」などとした。〔NNA〕