タイ日系景況感/6年ぶり高水準/自動車復調が波及し6期連続改善

2018年08月08日(水曜日) 午後2時31分

 盤谷日本人商工会議所(JCC)は3日、半年ごとに実施している「タイ国日系企業景気動向調査」の結果を発表した。2018年下半期(7~12月)の景況感を示す景況判断指数(DI)の見通しはプラス40となり、6期連続で改善が悪化を上回る見通しが示された。自動車産業の復調がさまざまな業種に波及していることなどから改善傾向が続いているといい、DI見通しは12年下半期以来の高水準となった。

 DIは、業況の改善を見込む企業の割合から悪化とみる割合を差し引いた値で、プラスの場合は前期に比べて業況が改善している企業が多いことを意味する。18年下半期の見通しは、上半期見通しから4ポイント上昇してプラス40となった。三又裕生JCC経済調査会長(日本貿易振興機構=ジェトロ=バンコク事務所長)は、「タイの日系企業の業況は、足元と下半期の見通しともに非常に良い」との認識を示した。

 業種別の18年下半期のDI見通しは、製造業が36、非製造業が45。18年上半期の見通しからそれぞれ4ポイント上昇し、全ての業種がプラス圏だった。このうち自動車・二輪産業が中心の「輸送用機械」は前期比6ポイント上昇の37に改善する見通し。三又氏は「自動車は輸出と国内販売が復調し、他の産業に波及している」と述べた。非製造業では、「小売」が前期比14ポイント上昇して、全業種で最もDIが高かった。

〈増収見通しは7割〉

 「18年度の総売上見込額(前年度比)」を尋ねた質問では、「増加」との見通しを示した企業が70%となり、前年度から5ポイント上昇する見通し。見通し段階で、過去10年間で12年に次ぐ高水準となった。「増加」と回答した企業の増収率の内訳は、「10%未満」が38%、「10~20%」が21%、「20%超」が11%。業種別では製造業の68%、非製造業の72%が「増加」と回答。一方「横ばい」は17%、「減少」は13%との見通しが示された。

 「18年度の税前損益見込み(前年度比)」では、84%が「黒字」と回答。利益の変動は「拡大」が41%、「横ばい」が33%、「縮小」が26%となった。

 「18年度の設備投資の予定(製造業)」は、「投資増」が42%、「横ばい」が34%、「投資減」が17%。設備投資内容(複数回答)は「更新」が58%、「新規」が36%だった。

 「18年下半期の輸出動向」では、「増加」を見込む企業が36%、「横ばい」が49%、「減少」が15%となった。「今後の有望輸出市場(複数回答)」については、インドが1位となり、前回調査の3位から上昇。5期連続でトップだったベトナムは2位に後退した。三又氏は「この半年で特別な出来事があったというより、インド市場の有望性が増している印象だ」と述べた。

〈EECへの投資関心は62%〉

 今回の調査では、東部3県で開発を進める経済特区(SEZ)「東部経済回廊(EEC)」への投資に関しても質問。EEC政策の重点産業に該当する事業を持つ企業(139社)のうち、EECへの投資に関心を示した割合は62%。具体的な計画があると回答した企業は9社で、業種は「化学」「電気・電子機械」「輸送用機械」「商社」「運輸・通信」だった。

 「EEC政策で改善すべき点」(複数回答)では、「タイ政府による甘い需要見通し」が36%、「EEC開発計画における不透明なタイムスケジュール」が35%などとなった。

 「米国の保護主義的な貿易政策による影響」については、「影響がない」が35%で最多。他方「直接的な悪影響がある」は4%、「間接的な悪影響がある」は28%だった。具体的な悪影響としては、「販売の減少」(54%)、「世界経済の停滞による業況の悪化」(53%)が上位に入った。

 また米国が離脱し、タイが参加への意欲を見せている11カ国の環太平洋連携協定(CPTPP、TPP11)に関する質問では、「参加すべき」が65%で、「参加すべきでない」(1%)を圧倒。タイがCPTPPに参加するメリットは、「タイの関税引き下げによるコスト削減」が44%で最多だった。

 調査はJCC会員企業1749社を対象に、18年5月28日~6月22日に実施。557社(製造業287社、非製造業270社)が回答し、回収率は31・8%。〔NNA〕