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特集 安心・安全の繊維(5)/熱中症対策/電動ファン付きウエア、市場席巻

2018年08月09日(Thu曜日) 午後4時5分

 猛暑が続くこの夏、熱中症対策に役立つウエアが注目されている。代表的な商品が電動ファン(EF)付きウエアで、気温が高くなった7月、爆発的に売れて在庫が品薄になるメーカーも出てきた。熱中症対策に期待される素材や製品を紹介する。

〈シキボウ/冷感素材アイスキープ/酷暑背景に需要拡大〉

 シキボウの持続性冷感素材「アイスキープ」の需要が夏の酷暑を背景に拡大している。

 18春夏向けで発売したところ、長持ちする冷感効果が評価を得て、Tシャツやビジネスシャツ用途で採用が進んだ。例年、夏にはこれまで以上に厳しい暑さが続くことから、熱中症対策が衣料の機能として重要視されるようになり来夏も販売が進みそうだ。

 アイスキープはメントール配合の快適夏素材で、冷感が長続きするのが大きな特長。蒸れ軽減効果も確認されている。綿やポリエステルなど幅広い素材に加工することが可能で、織物とニットの両方で展開できる。

 19春夏からTシャツやビジネスシャツのほか、スポーツウエアやインナーなど直接肌に触れるアイテムでの採用拡大を狙う。衣料用途だけでなく、寝装業界からも問い合わせがあるという。

 近年、電動ファン(EF)付きウエアが急速に普及していることを受けて、高通気素材「アゼック」をEFウエアの中に着るシャツやインナー素材として提案する。ファンを回している時の風で一般的なコンプレッションインナーやシャツに比べ効率的に衣服内の湿度を下げ、蒸れやべたつきを軽減する。

〈セフト研究所/幅広い業種に浸透/ベストタイプも好調〉

 猛暑で電動ファン(EF)付きウエアが爆発的に売れている。「空調服」を製造するセフト研究所(東京都板橋区)は、建設業をはじめ幅広い業種に提案の幅を広げている。

 同社は人が汗をかいた時に気化熱で体を冷やす「生理クーラー理論」に基づいて、製品開発を行ってきた。最近はウエアを採用する業種が建設業以外にも広がってきているため、アイテム数を増やしている。例えば、溶接業向けには難燃加工のウエア、電気部品工場には制電機能付きのウエアなど、それぞれの職場環境に合ったウエアを提案している。

 マンションや地下鉄のエレベーターの保守点検を行う三菱電機ビルテクノサービスは6月から、協力会社を含む5500人に計1万1千着の空調服を配布した。エレベーターの上部にある機械室は高温になることが多いため、現場のエンジニアの熱中症予防に役立てていると言う。

 アイテム別に見ると、今シーズンは新商品の「空調ベスト」がヒットしている。作業着の上から着られ、腕の動きを妨げない設計が好評。定番タイプも堅調で、フード付きのカジュアルな印象のポリエステル100%のウエアも売り上げを伸ばしている。

〈EFウエアや遮熱テント/猛暑対策展で各社紹介〉

 日本列島で記録的な猛暑が続いた7月、「猛暑対策展」が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた。繊維関連のメーカーも電動ファン(EF)付きウエアや遮熱素材を紹介し、関心を集めた。

 EFウエアメーカーのブースは期間中、多くの人でにぎわった。サンエス(広島県福山市)は、ビッグボーン商事(同)とアタックベース(同)と共同で出展した。今年からファンとバッテリーの種類を増やした。バッテリーは軽量タイプを開発し、提案の幅を広げた。ウエアは、人気のカムフラージュ柄や、蛍光生地を使ったタイプなどもそろえた。

 「空調服」を製造するセフト研究所(東京都板橋区)は、来春発売予定の新商品を披露した。風量の切り替えやバッテリーの残量確認が小型のコントローラーでできるタイプで、内側には衣服の膨らみを抑えるスタビライザーを付けた。今後ユーザーの意見を聞いて改良を加える。

 日本ユニフォームセンター(NUC)と帝国繊維は「冷却下着ベスト型」を紹介した。ベスト内部に張り巡らせたチューブの中を4℃の冷水が循環し、体を冷やす仕組み。動きやすいリュック型、長時間の作業に適したチラー型などもそろえている。

 ユニチカトレーディングは、EFウエアの下に着るインナーを紹介した。肌に接触する裏面に吸水拡散性がある糸「ルミエース」を使い、体感温度を下げる。併せて、電気機器が使えない職場に向けて「エアスペース」も披露した。

 東レは日傘に使われる遮熱、遮光素材「サマーシールド」を使った、テントを提案。紫外線を反射し、赤外線を蓄熱する素材の特性を生かした。児童生徒に向けた子供用日傘も紹介した。