メーカー別 繊維ニュース

特集 安心・安全の繊維(6)/難燃・防炎/多用途で必要性高まる

2018年08月09日(Thu曜日) 午後4時7分

 難燃や防炎の機能が求められる分野はユニフォームやインテリアなど幅広い。今年4月に難燃防護服に対応した新しいJIS規格が発行された。2020年の東京五輪に向け民泊を含め宿泊施設が増える傾向にあり、難燃や防炎に対するニーズがますます高まってくる。

〈クラボウ/ブレバノの販路広がる/アウトドアやシーツでも〉

 クラボウの難燃生地「ブレバノ」の販路が広がっている。発売以来、ワークウエア用途で売り上げを伸ばしてきたが近年、アウトドア衣料や業務用シーツ地としても実績が出てきた。

 海外へは「クラプロ・FR」の名称で販売する。米国に加え、今年は欧州で販売される生活雑貨用途でも採用が決まった。油田プラントの作業服素材としても関心が高まっており今後、油田の多い中東地域での展示会への出展も検討している。

 ブレバノはカネカのモダクリル繊維「プロテックス」混の素材。火に触れてもすぐに炭化するため延焼しない。溶けることもなくやけどしにくい。

 モダクリル繊維45%・綿55%混のブレバノ、制電糸を入れた「ブレバノ・プラス」、米国の水準やISOを満たす「ブレバノ・ネクスト」などのバリエーションがある。昨年には技術的に難しいとされてきた白に染める技術を確立し、飲食業のエプロン用に提案を始め好評という。

 難燃・制電機能に、ストレッチ性を持たせたもの、高強度タイプ、高通気タイプ、軽量タイプ、ニットも可能でニーズに合わせた素材を供給する。ダウンジャケット用の薄地の開発も進め、さらに販路を広げていく。

〈ダイワボウレーヨン/シリカ練り込みレーヨン/米国の寝装用途で堅調〉

 ダイワボウレーヨンは、不燃物のシリカを練り込んだ難燃レーヨンを販売する。

 シリカ練り込みレーヨンは米国で、側地とマットレスの間に挟む不織布の素材として採用されている。同国の法律は、側地が燃えた際に、マットレスに燃え移らないことを求めている。挟む不織布の素材にこのレーヨンを使えば、レーヨン部分が燃えてもシリカが燃え残り、延焼を防げる。

 不織布ではなく、編み地を挟むケースもある。編み地の場合、素材の使用量が限られるため、同社は炎を防ぐ性能をより高めた自己消化性のあるシリカ練り込みレーヨンを開発している。自己消化性に加え、抗菌、防カビ性も備えたシリカ練り込みレーヨンも投入。品ぞろえの拡充で、年間2千㌧の米国向け輸出規模を維持する。

 シリカはアルカリに弱く、洗剤で溶出しやすい。洗濯の繰り返しを前提とする用途には使いにくい弱点がある。このため洗濯耐久性があり、かつ自己消化性も備えた商材を開発。洗濯を必要とする用途へ向けて、他の難燃繊維との混紡素材などとして提案している。難燃剤を練り込んだレーヨンは、防護服をはじめとする用途への開拓に力を入れている。

〈双日/「レンチングFR」を用途拡大/「リスコン東京」も機会に〉

 レンチングの難燃レーヨン「レンチングFR」の販売を担う双日は、レンチングとの連携を強め、さらなる用途開拓に取り組む。10月10日から12日まで東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「危機管理産業展(リスコン東京)」にレンチングが出展することも好機とする戦略だ。

 レンチングFRは練り込み法による難燃素材であり、優れた吸放湿性が特徴。このため例えばアラミド繊維と混紡することで高い難燃・防炎性と快適性を両立できる素材として作業服、消防服、警察関連など高機能が求められる用途で世界的に豊富な実績を持つ。

 レンチングで作業服・防護服とFRファイバーのグローバル・コマーシャル・ディレクターを務めるオリバー・スポッカー氏も「双日とのパートナーシップは良好。テクニカルな分野で共にワークするための豊富なバックグランウドを持っている」と強調する。

 リスコン東京ではレンチングがユーザー企業と連携して防炎作業服、消防服、スポーツなど幅広い用途での実績を紹介する。アーク放電に対する防御素材としての提案にも力を入れる。原着タイプも用意していることも紹介。例えばコーポレートカラーに対応した防炎作業服にも使用できる点など、性能だけでなくファッション性の面でも優位性があることを打ち出す。

 こうした提案に双日も協力し、新たな用途と需要の掘り起こしに取り組む。

〈欧州のワークウエア/ピクトグラムで機能分かりやすく〉

 欧州のワークウエアメーカーは、安全服や防護服などに機能を分かりやすくピクトグラムで表示している。耐薬品や耐熱、帯電防止などISO規格に適応しているかどうか分かるピクトグラムを後ろの襟部分や、前身頃の裾部分などに表示することで、その安全服や防護服の機能を一目で知ることができる。

 通常のワークウエアについてもピクトグラムで機能や特性を示す動きも出ている。一部のメーカーでは日本で関心が低くなりつつあるペットボトルのリサイクル原料を使ったウエアでは、タグなどにウエアを作る際に使ったペットボトルの本数を図柄化。ちょっとしたことで改めて関心を高められる工夫を取り込む。

 日本のワークウエアメーカーでも、ピクトグラムを取り入れ、機能を分かりやすく示す動きが少しずつ広がりつつある。ユーザーに対し、そのウエアがどのような機能を持っているか認識を促すためにもピクトグラムの表示は有益と言える。