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特集 スクールスポーツウエア(1)/生徒減に立ち向かうシェア拡大に猛進

2018年08月20日(Mon曜日) 午後5時3分

 2018年のスクールユニフォーム市場は生徒減の影響が色濃く出たが、スクールスポーツのみを見ると、一部スポーツ専業メーカーの事業縮小によって、シェア拡大に向けた動きが活発化した。18年入学商戦は全体的に新規採用校の獲得が堅調だったが、来年以降は市場の停滞が予測されるためシェア争奪の激化が見込まれる。いかに既存校を死守するか――各社のこれからの戦略が重要になる。

〈学生服メーカー/新規採用校の獲得が健闘〉

 学販スクールスポーツウエアメーカーで構成する任意団体のSSC会(スクール・スポーツ・クラブ)によると17年度のスクールスポーツウエア全品目の総販売数量(13社)は前年比3・2%減の1830万1千枚だった。(5面参照)

 16年度にはアシックスジャパンのスクールスポーツの事業見直しにより市場再編が進んだ。そのためシェア拡大に向けた動きが活発化し、総販売数量が3年ぶりに増加に転じたが、その影響も収まりつつある。各社の攻防戦が続く中、生徒数の減少がスクールスポーツ市場での総販売数量に、確実に影響を及ぼしている。

 大手学生服メーカーの18年入学商戦は非常に好調だった。明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)はライセンスブランドの「デサント」で新規採用校の獲得が200校を突破、累計採用校数は1700校を超えるなど快進撃が続く。

 デサントが持つアスリート向けのブランドイメージが「販売の追い風になっている」(前田健太郎スクールスポーツ部長)ことから、中学・高校などで幅広く支持を得た。スクールスポーツ部の18年5月期は、前期比8%増収の見通しとなった。

 トンボ(岡山市)は自社ブランドの「ビクトリー」やライセンスブランドの「ヨネックス」で260校以上の新規採用校を獲得した。スクールスポーツ販売部の18年6月期は過去最高の売り上げを達成する見通し。

 これまでになかった体操着のスタイル「ピストレ」の人気が高まっている。自社で設備を持つ昇華転写プリントとの組み合わせで「デザインの選択肢も広がる。よりオリジナリティーを表現できる」(橋本俊吾執行役員)ことから、「学校の評価も高い」。

 菅公学生服(岡山市)は「カンコー」ブランドを中心に、全国で販売を伸ばした。首都圏や中京、阪神エリアでは新規採用校の獲得が非常に好調で、仙台や広島、福岡などの地方の中枢都市でも採用校が増加。「ここ4~5年の中で一番良い結果になった」(田北浩之提案企画部長)と手応えをつかむ。

〈商品力の強化がポイント〉

 児島(倉敷市)は他社との一線を画す企画力で、商品を拡充する。東洋紡と共同開発した素材「速衣(はやい)」を使ったウエアを展示会では参考出品したところ、「反響が非常に大きかった」(山本真大副社長)ことから、来春に向けて本格的な販売を開始する。洗濯、脱水後から着用までの時間が短縮できるなどの取り扱いやすさを訴求する。

 菅公学生服は昨年発売した「カンコープレミアム」の販売が順調。「長く着てもらえる体操服」(田北部長)をコンセプトに究極のシンプルさを追求したデザインで、保温や防風性などの体操服に必要な機能だけを高めたワンランク上のウエアを実現した。高校を中心に販売を伸ばしている。

 昨年から防災教育でプロジェクトを開始した明石SUCは、水辺の防災を目的とする学販水着「オレンジCLASS」の販促を強化。視認性が高いオレンジ色の水着は、最大限に安全性を配慮したデザインで、日本ライフセービング協会にも認定される。全国の小学校を対象に水辺の防災教育授業を行うなど、学校支援にも力を入れる。

 トンボのピストレは「これまでの学販スポーツ市場になかった新たなスタイル」(橋本執行役員)として注目されている。独自素材の「ピステックス」を使うことで抜群の防風性を発揮し、高い保温性を実現した。軽量でコンパクトになることから、学校生活を配慮した使いやすい設計になっている。デザイン性にも優れ、部活動ウエアとしても違和感なく使える。

〈スポーツ専業メーカー/ブランドの認知度向上が“カギ”〉

 18年入学商戦、スポーツ専業メーカーも善戦した。ギャレックス(福井県越前市)は自社ブランドの「ギャレックス」を中心に新規校の獲得が200校を突破、「採用校の獲得は堅調だった」(田中誠一郎グループマネージャー)。主力のギャレックスやライセンスブランドの「フィラ」「スポルディング」から一段と機能やデザイン性を高めた新商品を投入し、来春への販売にさらに弾みをつける。

 今年開催の福井国体では、オリジナルTシャツを販売するなど、地元の活性化にも貢献。同社のウエアが映画やドラマなどで使われることも多いことから、ブランドの認知度も向上している。

 ユニチカメイト(大阪市中央区)も「プーマ」ブランドの売れ行きが好調。今春は大型物件の採用もあったことで、「新規採用校の獲得が順調に進んだ」(清水義博社長)。販売エリアは首都圏や南九州などが堅調で「ブランドの認知度も高まりつつある」(清水社長)。

 世界的に知られるプーマのブランド力とユニチカ独自の機能素材との組み合わせで、「他にないオリジナル商品として訴求する」。昨年には女子生徒向けのプーマのレディースラインを発売。「女性のファンが多い」というメリットを生かして拡販を強化する。

 学生服アパレルの攻勢が強まる一方、スポーツ専業メーカーはこれまでスポーツ市場で培ってきたノウハウとブランド戦略で、スポーツが盛んな学校を中心に市場の掘り起こしを進める。