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合繊糸/ターゲットは絞られた/来年は猛暑対策と毛代替

2018年09月10日(Mon曜日) 午後3時58分

 2019年の合繊糸は春夏向けが冷感、UV、消臭などの機能糸、秋冬向けはウールライク糸が主体となりそうだ。商社や糸加工メーカーでは今年の猛暑と原毛価格の急騰を踏まえた糸開発が活発になる。

(西田貴夫)

 今夏は日本各地で気温40℃を超え、猛暑を上回る酷暑となった。「それを踏まえれば、冷感、UV、消臭などにテーマを置いた糸開発は当然の流れ。ファッション衣料だけでなく、スポーツ、ユニフォームの拡大も目指す」と、モリリンの水谷智廣マテリアルグループ統括部長兼素材2部長は言う。

 豊島の天野裕之執行役員二部長も「接触冷感や吸水速乾性などが来春夏は求められる。その開発・提案を進める」と語るなど、商社の原糸販売を担う部署では猛暑対策の原糸開発が活発化する。

 糸加工メーカーもこの流れに沿った開発を行う。エア加工による複合加工糸を得意とする山甚撚糸(福井市)は、「原糸の機能性を糸加工によってさらに高め、猛暑に対応した快適加工糸の提案に力を入れる」(山田雅浩社長)と話す。

 春夏向けの主役が猛暑対策素材とすると、秋冬向けはウールライク素材が中心になりそうだ。

 原毛価格の高騰に伴い毛糸価格は急騰を続ける。18秋冬向けはまだ、前年の糸在庫があったため、テキスタイル価格の上昇はある程度抑えられたが、19秋冬向けは直接響く。このため、ウール代替糸の開発、販売拡大を狙う企業が多い。

 糸加工メーカーのカワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)は、「超天然」シリーズの一つとして、ウールライクなポリエステル100%糸を2年前から開発・提案し、既に「旺盛な需要に応じきれていない」(原料部の石原孝治係長)ほど好調。「タステックス」と呼ぶ独自加工を施すことで、ウールのようなかさ高性などを実現している。特に今秋冬向けで好調だった紡毛織物の代替に適する。

 毛糸価格の上昇から来秋冬はポリエステル・レーヨン混紡糸使いの婦人服地が増えるともいわれ、そこに機能性を付与した新提案を行うのは豊島一宮本店一部。米国インビスタの軽量・保温ポリエステル「サーモライト」を使ったポリエステル・レーヨン混紡糸を投入する。見本糸供給を既に始めており、生地の試作もスタートするが、「手応えは良い」(伊藤彰彦一部長)と言う。ポリエステル・レーヨン混紡糸に加え、紡毛の混紡相手としても展開する。

 酷暑に対応した機能糸やウールライク糸の増加は自然な流れだが、そこでいかに差別化できるか。それも勝敗の分かれ目になりそうだ。