インドネシアの日系繊維企業/生産体制に変化の兆し/高付加価値品の一貫生産も

2018年09月14日(金曜日) 午前10時59分

 インドネシア日系繊維企業の生産体制に変化の兆しが見られる。これまで中国から輸入してきた付加価値の高い生地を現地で調達する動きや、日本向けの糸や生地生産でインドネシア以外の東南アジアの製造拠点と連携して同国ならではの強みをさらに生かそうとする試みが始まっている。(橋本 学)

 多くの日系企業の主力となる商品・商材の最終仕向地は衣料品の商況が厳しい日本。その中でも好調な日系SPAとアパレルへの素材供給や製品OEMに関わる企業は、今年1~6月業績で前年同期比増収増益が目立つ。日本で市場の拡大が続くユニフォーム素材販売も、東京五輪などに関連した製造業からの需要が増えており底堅い。

 一方、日系によるインドネシア内販は進んでいないのが実情。堅調な経済成長を背景に現地の衣料品の消費には力強さがあるものの、素材輸入にとって為替環境が逆風にあることに加え、現地素材メーカーや中国企業との価格競争が激しさを増している。得意の高品質や高い機能は現地のボリュームゾーンのニーズにはなっていないことも一因となっている。

 こうした状況の中、日系企業の業績拡大の柱は今後も日本向けとなる。そのために、これまで中国に頼ってきた高付加価値素材を現地生産で調達できるようにしたり、さらに縫製とつなげて一貫体制を構築したりする動きや、染色加工や素材メーカーではインドネシア以外の生産拠点との連携を強める動きが見られる。

 蝶理インドネシアは、高付加価値生地の現地生産量を増やし、新たな売り先の開拓に力を入れる。その鍵を握るのが合弁染色加工場、ウラセプリマ。同社の縫製品事業への生地供給以外に、日系の作業服、白衣メーカーへも売り先を広げる。

 ウラセプリマは、無地染めや風合い加工を得意とし、加工能力は月100万メートル。現在は同30万~40万メートルの規模で稼働する。田中裕司社長は「近い将来、まず月50万メートルを達成したい」と述べ、「これから半年ぐらいをかけて拡大を見込む」と話す。

 帝人フロンティアインドネシアは、帝人の技術者が現地で監修する独自の素材開発に取り組む。協力縫製工場と製品まで一貫生産できる生産体制を構築しており、日本向けだけでなく、インドネシア内販、さらに帝人グループとも連携した欧米向け販売を増やす。

 シキボウのインドネシア紡織加工会社、メルテックスは、紡織編加工を手掛けるシキボウ江南(愛知県江南市)との連携を強める。それにより素材のロス削減と作業の効率アップを図る。シキボウ江南の受発注の状況、生産体制、国内の売れ行きなどの情報を緊密に共有し合うことで、連動性をさらに高める。

 東海染工のインドネシア子会社、トーカイ・テクスプリント・インドネシアは東海染工グループのタイ法人との連携を強める。これまでタイとインドネシアは別々に顧客情報を管理し、それぞれ単独で需要に対応してきた。今期から情報の共有を進め、立地条件や生産背景で製造・販売、人材教育でもメリットが出るように協力する。