メーカー別 繊維ニュース

シキボウ/機能素材の拡販に注力/垣根なくし幅広く提案

2018年09月26日(Wed曜日) 午前11時29分

 シキボウは2020年度への中期経営計画の中で、機能素材の需要を深掘りする。これまでの素材用途にとらわれず、他分野への提案を強める。糸・生地の海外での売上高拡大にも力を入れる。国内外の製造拠点を連携させることで製造・販売の両面で相乗効果が得られるようにする。

 機能素材の販売はこれまで、ユニフォーム、スポーツ、カジュアル、タオル、寝装といった分野ごとに提案してきたが、既存素材をニーズのある分野に適した素材にアレンジしたり、新たに改良したりして改めて提案することで新たな需要を掘り起こす。

 加藤守上席執行役員繊維部門長は「従来、ユニフォーム用途で売ってきた素材の機能がスポーツやカジュアルで求められることもあり、従来分類の線引きがなくなりつつある」とし、「例えばユニフォーム分野で売ってきた機能素材をタオル、スポーツ、カジュアル、寝装分野などへ提案し、一つ一つの機能素材の需要を掘り下げていく」と話す。

 肌触りが綿に近く、吸水速乾性がある2層構造糸「ツーエース」はこれまでユニフォーム用途で販売してきたが、リネン用タオルやシーツへの提案を今期始めた。

 新素材の開発は、「繊維と科学の融合」をテーマにする。強みとする後加工に加え、糸の構造、織物・ニットの組織による機能のそれぞれを融合させて新たな機能素材を生み出す。「過去にある分野に向けて開発し、発売に至らなかった商材も他の分野で提案することで新たな販路が期待できる」と言う。

〈売上高横ばいも大幅減益〉

 シキボウの本年度上半期(18年4~9月)の売上高は前年同期比横ばい、営業利益は大幅な減益となる見通し。ユニフォーム関連は堅調だったものの、それ以外の分野で市況の不振が続き苦戦した。利益は原材料費の上昇、国内での染色・加工薬剤の高騰、燃料コストがかさんだことが影響した。

 ユニフォーム分野は総じて順調。カタログ備蓄メーカーからの受注は底堅く動く。猛暑対策として高通気素材「アゼック」など涼しさを売りにした素材が好調。今期から電動ファン付きウエア用素材も投入し、来夏に向けた受注が拡大する。企業別注も新規開拓が進む。ニット素材・製品販売は織物との相乗効果で堅調。

 原糸販売事業の損益は改善が進んだものの赤字となりそうだ。富山工場で生産してきた商材を海外に切り替えたことで利益が上向いた。一方、黒字化の鍵となる海外販売の進捗(しんちょく)が計画より遅れている。

 トーブなどの中東民族衣装用生地輸出は、昨年からの市況の悪さが影響し不振が続く。「(中東向けの不振は)繊維事業の業績全体への影響も大きい。年内は難しい状況が続く」(加藤守上席執行役員繊維部門長)

 寝装分野も苦戦した。稼ぎ頭である羽毛布団の“側”で収益が悪化した。羽毛原料の高騰を受けて、羽毛布団メーカーが最終製品の販売価格を抑えるために側を低価格品に切り替える動きが進んだことが影響した。