環境変化に対応する―「AFF・東京2018」から(後)

2018年10月02日(火曜日)

影響広がるコスト高、環境規制

 AFFに出展する企業にとって、日本は現在も重点市場の一つであり続けている。多くの出展者が「利益幅は小さいが支払いなどの面で信用できる」と捉えているためだ。「欧州ブランドに販売しているが、日本向けは少ない。当社にはブルーオーシャン」(嘉興華欣達紡織)と話す企業もある。

 販売拡大に向けて日本のニーズに積極的に応じる。機能糸を展開する蓬莱市洪興染業は「先染め糸は1㌔から対応」し、呉江駿騰織造(蘭美人里布)は化合繊裏地で毎年新商品を投入する。

 ただ、高純度テレフタル酸は「6月から9月にかけて1㌔当たり57円上昇した」(青島錦綺匯新材料)とされ、原料高に苦慮する姿も見られる。加えて多くの企業が「引き続き日本からの値下げ要求は強い」と口をそろえ、「さらに原料高と値下げ要求が進めば、生地や縫製の仕様を下げて対応するしかない」(禾豊〈青島〉家紡)と言う企業も少なくない。

 その一方で原料高を逆手に取り、日本市場進出を狙う企業もある。機能性中わたとその製品を手掛ける浙江艾倫新材料は、羽毛高騰をビジネス拡大の好機と捉えAFFに初出展。「羽毛代替素材を求める商社や寝具メーカーなどと深い商談ができた」と手応えをつかむ。

 日本市場を重視していることもあり、中米貿易摩擦の影響については「限定的」(NANTONG LAFEI TRADING)との意見が多数を占めた。しかしながら「ニュースを見ていると不安になるのも事実で、日本への販売を拡大したいと思っている」(昆山協孚新材料)といった声も聞こえた。

 対日輸出拡大を図る中国企業にとっては、中米貿易摩擦よりも政府の環境規制が大きなインパクトになっている。「浙江省紹興市の小さな染色工場が廃業に追い込まれている。このため大手工場に仕事が集中し、納期が長くなっている」(泰州市龍達亜麻紡織)など、日本向けの生産に影響を及ぼす可能性がある。

 そうした中、ユニフォームを生産する山東泰爾紡織は、8月から日本向け製品の輸出を船便から飛行機に切り替えた。6月の上海協力機構首脳会議後から閉鎖する染工場が増え、生産が1カ月ほど遅れるようになったからだ。「染料も値上がりし、生産コストが2、3割上がった」。それでも「ユニフォームは安定した需要がある。信用を守るためコストがかさんでも納期を守る」と力を込める。

 アジア生産に移行するのも、中国生産を維持するのも課題は山積。いかに環境変化に対応し利益を上げるか。買い手側の日本も共存の道を真剣に模索する時に来ている。

(おわり)