自信と課題 PVパリ レビュー(上)

2018年10月03日(水曜日)

日本勢ダブル受賞の一方で

 「プルミエール・ヴィジョン(PV)・ファブリック」の閉幕で、19秋冬向けの欧州主要服地見本市が一巡した。同展への日本の新規出展は今回1社のみで、常連出展者が継続客に安定した商談を繰り広げる風景が中心となった。「PVアワード」で日本企業がダブル受賞を果たした一方、開催時期や出展者の質・量に生じる変化への指摘も多い。生地輸出拡大に向けて、同展の持つ重要性は今後も変わらないが、新たな課題も浮上する。

 第10回の節目となったPVアワードで日本のスタイレムと東レがダブル受賞を果たした。スタイレムが受賞したイマジネーション賞は大胆な独創性を、東レが受賞したスマートクリエーション賞はエコで持続可能な「責任ある生産」を評価するもの。日本企業の素材開発上の強みを端的かつ象徴的な形で示したと言える。

 スタイレムはチェック先染め生地での受賞。トラッド・スポーツの絶妙なミックス感への評価の陰には、産地をまたぎ先染めトレンドを深掘りした企画力がある。既存の産業資材用レーヨン長繊維を無撚りのなま糸で経糸・緯糸に用いて高密度に製織。シャリ感や光沢感、さらにバルキーで軽い風合いも兼備する風合いを実現した。

 東レは人工皮革「ウルトラスエード・ヌー」での受賞。繊維くず由来の再生ポリエステルを原料に、スエードに銀付きの光沢も加えた質感、ストレッチやイージーケアなど機能性を実現した点が評価された。

 一方、「この会期では商機に合わない」「拡大路線で出展者増の一方で商品全体の質は低下した」など、PVの変質も指摘される。

 トップメゾンのコレクション回数増や企画早期化に伴う、バイヤーの動向変化への対応が重要になる。PVの会期ではメンズは完全に時期遅れ、レディースでも7、8割の素材が決まり、意外で新奇な素材のみをPVで物色する傾向がトップメゾンで強まる。会期を前倒しした「ミラノ・ウニカ」や、PVなど各主要展のプレビュー展にバイヤーが流れている。

 訴求対象はトップメゾンに限られないが、定評ある開発力を商いにつなげるには、ターゲットの明確化、調達方針とタイミング、事前ワークを連動させた“面で捉える”営業姿勢、納期対応など供給面での基礎体力がますます重要になる。