ベトナム/ファストファッションに勢い/ユニクロ参入で一層の盛り上がり

2018年10月03日(Wed曜日) 午前11時14分

 ベトナムで海外のファストファッション・ブランドが急拡大する見通しだ。2018年上半期(1~6月)、ZARAやH&Mは順調に売り上げを拡大。8月末にはファーストリテイリングが「ユニクロ」ベトナム1号店のオープンを発表した。ユニクロは進出前にもかかわらず、ZARAやH&M、Mangoに次ぐ高い認知度を誇っており、ベトナムの消費者の関心も既に高い。

 ベトナムでZARAの運営を手掛けるインドネシアの小売り大手ミトラ・アディプルカサ(MAP)の決算発表によれば、18年上半期のベトナムでの売上高は前年同期比およそ2倍の9500億ドン)に達した。ZARAは現在、ホーチミン市とハノイにそれぞれ1店舗ずつ出店している。一方、スウェーデンの衣料品大手H&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)の売り上げは3220億ドン)。このうち、第2四半期(4~6月)は1750億ドン)で前期から16%増加した。ベトナム出店1周年を迎えた9月8日、ホーチミン市とハノイに新店を同時オープンし、全国で6店舗まで拡張した。

 英調査会社ビジネス・モニター・インターナショナル(BMI)によると、ベトナムのアパレル市場規模は18年に38億ドルに達する見込み。このうち、衣類品が35億ドルで、21年までに47億ドル(アパレル全体は50億8千万ドル)に到達すると予測している。同市場の17~21年の年平均成長率(CAGR)は10%。市場の拡大に伴い、海外ブランドの出店も増加しており、競争激化が予想される。

〈「付加価値」と「廉価」に二分する市場〉

 日系市場調査Asia Plus(アジアプラス)の調査サービス「Q&Me(キュー・アンド・ミー)」で18~39歳の男女512人を対象にしたアンケートによると「ファッション」は、最も関心が高い分野の一つであることが分かった。「好きなファッションブランド」は、ファストファッションからZARAが2位、スペイン発のMangoが5位、H&Mが8位にランクイン。海外ブランドが拡大を見せる中、地場ブランドも健闘し、「Canifa」がトップ10に入った。調査結果から消費者の大半が「価格」を重視する傾向が見られ、地場ブランド支持の背景には「価格」が関係しているようだ。

 ベトナムの消費者がファッションに費やす平均金額は1カ月当たり24ドルで、44ドル以上と回答した消費者はわずか8%にとどまった。ZARAやH&Mの1アイテム当たりの平均価格が44ドルということを考えれば、消費の平均金額は依然として低い。一方、Canifaや「Yame」といった地場ブランドのアイテムは平均11~22ドルで、手が届く金額。

 アジアプラスの黒川賢吾社長は、「ベトナムでは『ファストファッション』という概念は浸透していない。ZARAやH&Mは『おしゃれ』で『高品質』な付加価値ブランドとして認識されている」と説明した。中でもZARAに関しては、「財務レポートなどから見る限り、店舗当たりの売り上げ水準は高く、富裕層の取り込みに成功している例だ」と話す。今後のベトナムのファッション市場に関しては、このような付加価値市場と地場の廉価市場で構成されるとみる。

〈外資ブランドの位置付け〉

 Q&Meが実施したファストファッション・ブランドの認知度調査によれば、19年秋にホーチミン市に出店と発表したばかりのユニクロの認知度が、進出前にもかかわらず55%で、ZARA(78%)、H&M(72%)、Mango(67%)に次ぐ4位だった。以下、「GAP(47%)」や「FOREVER21(40%)」が続く。ユニクロは、女性やファッション出費の高い層からの認知が高く、インターネットや口コミが寄与した結果となった。ZARAやH&Mが「ファッション性」「デザイン」のイメージが強い一方で、ユニクロは「高品質」のイメージが強い。

 黒川社長は、ファッションに関しては「韓国」のイメージがより強く、「日本」に対するイメージは持ち合わせていないと指摘する。「ただ、ユニクロは例外的にグローバル規模の店舗展開やマーケティングで、高い認知度を得られたのではないか」。ユニクロも進出後は付加価値ブランドとして、富裕層やファッション感度の高い層に受け入れられるとした上で、「フィットネスなど、高まりつつあるスポーツ需要も見込めるのでは」とコメントした。

〔NNA〕