自信と課題 PVパリ レビュー(中)

2018年10月04日(木曜日)

エコ対応――姿勢発信も重要

 素材認証から森林認証まで認証制度の多くが欧州発であるように、欧州は、地域差こそあれ環境配慮や社会的責任の意識が高い。「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」でも、特に昨年以降、環境配慮素材への注目が顕著に見られる。同展自体も、エコファッションに特化したエリア「スマート・スクエア」を拡張して推進姿勢を鮮明にするなど、持続可能性の観点はトレンドを超えて必須要件になった感がある。

 日本の出展者の大半も、来場バイヤーが環境配慮素材の有無を尋ねてくる傾向を口にする。オーガニックコットン(OC)や再生コットン、再生ポリエステルなどの素材面、そして染色加工時の水使用量を低減する加工面など各社の提案の幅も広がる。「ジャンルに合わせてOCの品種、品番数を拡張した」(ヤギ)、「次回からエコ商材も投入する」(サンコロナ小田)など今後もこの流れは続きそうだ。

 ただ、バイヤー側の意識にも当然、濃淡がある。素材面でも、“とりあえず”エコをうたえるものからコンポスタブル(堆肥化可能)素材まで要望の深さはさまざま。取得・維持費用のかかる各種認証の有無も考慮すると、この流れにどの水準で応えるかという企業の姿勢を固めることも重要になる。

 瀧定名古屋は、調達コードにも社会的責任の要素を盛り込む北欧系企業開拓に向けて、環境配慮の企業姿勢を昨年から鮮明にしてきた。PV秋冬展は特に素材提案より企業姿勢発信の場と位置付け、ライフスタイル提案に踏み込む。今回は「リスポンシブル・ウール・スタンダード」認証を取得しトレーサビリティー(追跡可能性)も確立したウール素材でコーナーを設けた。さらに、高強力ナイロン「コーデュラ」使いなどで製品のロングライフ化に資する提案もそろえた。

 今回も多数のバイヤーを集めたエイガールズは逆に、天然高級素材軸での編み組織や加工によるコンフォート性の訴求に焦点を絞り、スポーツミックスからもエコからも、あえて一定の距離を置く姿勢を選んだ。

 この他、再生ポリエステル混で高耐久性の国内向けユニフォーム向け素材を提案した出展者の中からは、エコというキーワードに限らず、風合い面でもメゾンから高評価を受けたという意外な例も聞かれた。

 エコも含めて広義の社会的責任というとき、特に欧州では「責任=レスポンシビリティー」の言葉には言外に「応答」の意味も伴う。素材の機能性や認証での裏打ちも必要だが、それに劣らず、社会的責任への意識を高め、誰の何に応答するか、その姿勢を鮮明にすることが一層重要になる。