KanFA 次代への継承(9)

2018年10月05日(金曜日)

コ.ラボ 専務 小山 風仁 氏

選ぶ理由をどう増やす

 インナーメーカーで婦人下着設計の経験を積んだ小山茂社長が2007年、57歳の時に設立したコ.ラボ(大阪市淀川区)。GMS、商社、通販会社など大手企業から、パターンと仕様書の作成を受託している。2代目となるべく入社した小山風仁専務(35)は、「顧客が当社を選ぶ理由をどう増やすかが重要」だと意気込む。

  ――入社の経緯を。

 トランペット奏者になりたくて、音楽専門学校を卒業した後、フランスに留学して2年間勉強しました。そこで、自分よりもうまい天才を見て、夢を諦めました。

 帰国して中堅のソフトウエア制作会社に就職。プログラムを一から勉強し、半年で仕事をこなせるようになりました。ところが大阪事業所を閉鎖することになり、東京へ行くか辞めるかを選択せざるを得なくなります。当時既に結婚しており、妻が東京行きを反対したので、3年勤めた同社を辞めました。

 その後は、母校の音楽専門学校の教員になりました。ただ、思い描いたのとは異なり、生徒指導に追われる日々でした。3年間勤めたのですが、その間に2回、喉の手術を受けました。ストレスが原因だったと思います。さすがに見かねたのでしょう。2回目の退院時に、父でもある社長から「やってみるか」と声を掛けられました。

  ――コ.ラボに入社したのは2011年ですね。

 最初はパソコンを使わず、手書きによるパターンを教えられました。直感で理解できるようにするためです。3カ月ほどでやり方を覚え、その後CADとの連動を勉強しました。のみ込みは早い方だったと思います。

  ――7年たった今は。

 当社は、下着を設計するだけでなく、顧客が縫製を委託している工場へ直接出向いて、設計通りに仕上がるように指導もしています。このような現場指導の経験を積むことと、スキルをさらに磨くことが今後の私の課題ですね。パターン作りの会社が20年後に何社残っているかと想像すると、身が引き締まる思いになります。顧客が当社を選ぶ理由をどう増やすかが重要です。

継承していく人たちへ

 トランペット奏者になる夢を断念して以降小山氏は、自身を真剣に見詰め直したのだろう。「一旗揚げた人の多くも、それが夢だったというわけではないはず。仕事が面白いか否かを考える前にまず、その仕事に染まってみることが大事」だと語る。そうすれば、意識していなかった自分の能力に気付くこともある。気付くためにも、「身を投じてみるしかない」というのが小山氏の考え方だ。

(毎週金曜日に掲載)