自信と課題 PVパリ レビュー(下)

2018年10月05日(金曜日)

開発力以外に必要なもの

 「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」のPVアワード・ファブリック部門での日本企業による2年連続ダブル受賞は、日本製テキスタイルの独自性・開発力への高い期待を裏付けた。同時に、それを実販売につなげるための課題も多い。供給先となる欧米ブランドの生地調達姿勢の変化も踏まえたトータルな対応力を磨く必要性がますます高まる。

 とりわけ訪問営業などの事前ワークと納期対応力の重要性を、継続販売に成功している出展者ほど口をそろえて強調する。

 プレコレクションなどの企画数増加に伴ってトップメゾンの各企画の間隔が縮まり、生地選定時期がますます早期化。これに対応して「7月にプレビュー展の『PVブロッサム』にも出展し、個別訪問にも力を入れている」(スタイレム)、「個展も開催し、継続客には個別カスタマイズしたカプセルコレクションを事前に提案済み。PVはそれを踏まえた商談の場」(瀧定名古屋)という傾向が強まる。

 逆に、「5年前から継続客の完全アポイント制にして、今回も各日50件と大成功。PVでの商談を重視するのは、ブランドを渡り歩くデザイナーや企画スタッフも多いため」(茅ヶ崎紡織)と狙いを絞り込むケースもある。

 在庫減を狙った発注引き付け傾向の強まりと、拡大を狙う中国市場へのスピーディーな商品展開のため、リードタイムも「発注後45日が標準」と厳しさを増す。特にスペースの逼迫(ひっぱく)する北陸産地からの出展者には「織り・編み、加工にそれぞれ1カ月を要する現状では対応は極めて難しい」――と嘆く声も出る。

 備蓄力を強みとする商社でも、「納期がネックの商品は外して提案する。信頼を下げ、他の商品も見てもらえなくなる危険がある」(スタイレム)、「全商品の8割を生機で備蓄している。そうでないと土俵に乗れない」(デビステキスタイル)と納期対応に神経を使う。納期を間に合わせられないケースが相次いだことで、日本製テキスタイル全体にそうした印象が付きつつあることへの警戒感が背景にある。

 PVの変遷をほぼ初回から見てきたある関係者は言う。「国内でも海外でも、実は求められることの本質は変わらない。開発力という優位性にあぐらをかかず、サービス水準を高める術を整えていく必要がある」

(おわり)