両角みのりのイタリアモードの今 (9)

2018年10月09日(火曜日)

「DONDUP(ドンダップ)」

不完全の中に存在する完璧さ

 9月18~24日、「ミラノレディースファッションウィーク19春夏コレクション」(以下、MFW)が開催された。「グッチ」はパリでショーを行い、デザイナーが交代したばかりの「ボッテガ・ヴェネタ」は休止などトップブランド不在の中、幕が開かれた。

 「エンポリオ・アルマーニ」は初のメンズ・ウイメンズ合同ショーを、ミラノの玄関口でありシンボルでもあるリナーテ空港で開催。174という膨大なコレクションにふさわしくゲストも2400人と桁はずれ。ショーの後はロビー・ウィリアムズのライブとスペシャルなショーとなった。

 大小ポケットやウエストバッグ、クロスボディーを多用した洗練さと実用さを見事に両立したのは「フェンディ」。1960~70年代のミニドレスやサイクリング・ショーツや膨らんだスカートなどアイコニックなアイテムも数多く見られた「プラダ」だが、深く開いたUネックラインに水平に横切るバンドなど新しいラインにも注目したい。

 デザイナーアトリエの未完成なラフ画から飛び出してきたかのようなモデルたちが行き交うユニークで楽しいショーを開催したのは「モスキーノ」。「サルバトーレ・フェラガモ」は、元ブランドのシューズデザイナーだったポール・アンドリューによる日本の草履からインスパイアされたサンダルや柔らかい革で編み上げたブーツなどバリエーション豊富なシューズで見せた。ナイロン素材やバイカーショーツ・バミューダパンツなど、来春夏アイテムのアイデアが浮かんだ方も多いのではないだろうか。

 毎年話題が尽きないMFWだが、今回は直前にポップアップストアとして日本上陸した「DON DUP(ドンダップ)」を紹介しようと思う。2000年に設立されたドンダップは常に新しいビジョンを持つコンテンポラリーファッションブランドとして設立された。10年にLキャピタルの投資を受けて世界展開を目指す新たな事業計画を開始。モダニティーという新たな要素の導入により社内のスタジオと世界中のクリエーティブかつ才能あふれる人たちとのコラボレーションを土台としている。イタリアのモノ作りの技とコンテンポラリーな視点を一体化したプロジェクトの中に、伝統と革新が組み合わされているのが特徴だ。

日本の素材と市場に熱視線

 9月21日にはミラノのショールームで「ドンダップ」のプレゼンテーションが行われた。男性のワードローブから象徴的なアイテムを女性が拝借したら、というコンセプトだ。例えば、彼のクローゼットの中から取り出したコットンポプリンのシャツはミニドレスに、職人仕立ての優れた裁断と上質なウールでできたジャケットは、それ自体がオーナメント的な存在感を醸し出す。男性のエレガンスさのシンボルでもあるタキシードは、ボンバージャケットに、そして襟ぐりが広く開いたジレとショートパンツに様変わり。

 デニムもクチュール仕立てのカスタマイズされた手刺しゅうやアップリケにより生まれ変わる。コレクションは全ての色を融合させた白と黒のみに絞り込まれ、生地による光のタッチで表情を変えている。研ぎ澄まされた要素の中で、見事にフェミニンらしさを表現していた。デニム・カルチャー(デニムライン)に力を入れており、過去に日本のデニム生地を取り入れたこともある。日本のデニムのクオリティー、染め、織機から作られる独特な生地はユニークで優れた特性を持っているとドンダップのクリエーティブチームは高く評価している。今後も日本のデニムはぜひ使いたいマテリアルだと力強く語ってくれた。

 CEOのマルコ・カゾーニ氏にインタビューする機会にも恵まれた。「日本は私たちにとってとても興味深く大事なマーケット。アジアに進出するに当たって日本を最初に選んだのは、それが正しい順序だからとも言える。ファッションや流行に敏感な日本のマーケットに参入するということは、アジア全体での視認性と重要性を表す」と語った。

 日本への本格参入も気になるところであるが、それについては「現在検討中ではあるが、おそらく、今後日本の皆さんにより多くのアイテムをご紹介できるようになるのではないではないか」と断言は避けてはいるが意欲的な姿勢を見せた。大阪の阪急うめだ本店でのポップアップストアは終了したが、日本限定商品とともに引き続きアイテムは購入可能とのことだ。

もろずみ・みのり 15年前にイタリアへ渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表。