メーカー別 繊維ニュース

特集 ビシュウ・マテリアル・エキシビション(BME)(2)/ビシュウ・ヤーン・フェア/ウールから合繊まで多彩/環境保護や動物愛護も意識

2018年10月09日(Tue曜日) 午後4時17分

 「ビシュウ・マテリアル・エキシビション(BME)」の併催イベントとして、糸の展示会「ビシュウ・ヤーン・フェア(BYF)」が開催される。尾州の糸製造業社8社が出展し、ウールを中心とした天然繊維から合繊、それらの複合糸に加え、意匠撚糸までと幅広い商品を訴求する。

 BYFは2016年から開催しており、今回で3回目となる。展示会を通して、川上企業の情報発信の場を提供し、川上から川下企業までの意思疎通の機会を創出。産地・業界の新たな販路開拓やファッション業界全体の振興に寄与することを目的とする。BME出展企業とのコラボコーナーも設け、尾州の魅力を一段とアップさせる。

 18秋冬生産ではコート向けなどの紡毛織物が好調だった尾州。少子高齢化などにより産地として規模の縮小が進んでいる上に、同シーズンで発注が集中したため、撚糸や製織、染色整理などあらゆる生産工程がタイトだった。

 さらに、ウール価格の高騰を背景にした糸価格の上昇に加え、百貨店の販売不振により、尾州の企業は厳しい事業環境に直面している。これらを打開するため、今回のBYFでは環境保護や動物愛護といったサステイナビリティー(持続可能性)を意識した商品の打ち出しが目立っている。

 再生ウールや再生ポリエステル、ノンミュールジングウール使いの糸はもちろん、マニラ麻を原料にした和紙糸など、環境や動物に配慮したさまざまな素材が出展される。

 BMEでも同様に、サステイナビリティーを打ち出した商品が多い。ウール自体が元々エコな素材のため、ウールのエコや多彩な機能性といったメリットを改めてアピールする絶好の機会となる。

〈浅野撚糸/和紙の「スーパーゼロ」〉

 浅野撚糸は、和紙でできた特殊撚糸「スーパーゼロ」を使ったTシャツやデニムなどを展示する。吸水力や耐久性、速乾性に加え、和紙にもかかわらずストレッチ性にも優れる。

 スーパーゼロは、元撚りの紡績糸と水溶性糸を合わせる。逆方向へ2倍撚り、水溶性糸を溶かすことで、逆撚りが元撚り方向に戻ろうとする反動により繊維間に隙間が生じ膨らむのが特徴。同社のヒット商品のタオル「エアーかおる」には綿のスーパーゼロが使われている。

 今回はスーパーゼロの製法はそのままに素材を和紙に変えた。和紙にしたのは、2020年開催の東京オリンピックで訪日客らに“日本伝統の素材”として訴えやすいからだ。スーパーゼロの製法により、気化熱の効果も実現した。

〈三幸毛糸紡績/篠絣モヘアタム糸拡充〉

 三幸毛糸紡績(名古屋市)の特徴は、英式紡績機で紡ぐ高水準規格のモヘアに篠絣(しのかすり)の技術を駆使した多様なピッチグラデーション意匠糸。中でも絣モヘアタム糸「LPL」の差別化定番糸はロングセラー商品として毎年、展開カラーを増やしている。

 今回展では、そのLPLを22色展開から一挙に5色加え、27色提案の“ニューLPL”として拡充し、新たに打ちだす。後染めでは実現できない篠絣による独自のカラーをバリエーション豊かに揃え、多様な顧客のニーズに応える。

 三幸毛糸紡績は、ベースとなるモヘア原料に対して、20年程前に南アフリカのモヘアに深い関わりを持つスタッケン社に出資。同社の光沢と弾力性、さらに色彩が抜群のモヘアを今では希少価値の高い英式紡績機による低速回転で繊維に優しく紡いでいる。

〈近藤/トレンド意識の新素材〉

 近藤は、トレンドを意識した新素材の商品として「ホイップ」「ファンデ」「コスモ」を提案する。展示方法は糸だけでなく製品での展示も増やし、来場者のイメージが湧きやすいよう工夫した。

 ホイップはマイクロアクリルを使ったファンシーヤーン。これまでは、インナーや靴下、小物向けに訴求していたが、新たにセーター向けに使えるようにした。保温性や柔らかさに優れる。

 レーヨンとアクリルを使ったファンデは、ピーチスキンを施し、毛番で60番という細さ。ソフトで滑らかなタッチが特徴で、価格もリーズナブルに抑えた。

 コスモはレーヨン、ナイロンを使ったイタリア糸。スパークナイロンで、抑え目の光沢感がある。編み立て時にあったトラブルを改善し、日本品質にまで高めた。

〈滝善/多彩な擬麻糸や和紙糸〉

 滝善は、擬麻糸や和紙糸のバリエーションを訴求するほか、ウール100%の糸などを展示する。春夏向け、秋冬向けでそれぞれ80点ほど出品する。

 擬麻糸「クリスピーコットン」は13、8・5番単糸で30色展開。さらに、3色の杢(もく)糸やスラブのファンシーヤーンもそろえ、織・編み物向けに提案する。

 和紙糸とネップ糸を組み合わせたツイード調に見える「ペーパーツイード」は14色で展開する。ネップ糸に蛍光色を入れた「ブラゼル」は6色そろえた。

 ウール100%でストレッチ性を付与した糸もアピールする。高品質な原料を使い、紡績や撚糸方法で工夫をし、ストレッチ性を持たせた。防縮加工でウオッシャブル性もある。60、48番双糸で展開する。

〈豊島/各種差別化糸中心に訴求〉

 豊島は一宮本店一部と二部が出展する。一部は再生ウール使い「アプリクション」やノンミュールジング羊毛使い「ローバー」、米国・インビスタのナイロン66「コーデュラ」との混紡糸を訴求する。アプリクション、ローバーは欧州を中心に広がるエコやサステイナビリティー(持続可能性)のトレンドに対応したもので、徐々に広がりを見せているという。

 二部はサイロスパン精紡によるコンパクト糸「スプレンダーツイスト」、スペイン産ピマ綿使いのサイロスパン精紡による甘撚糸「サンリットメローズ」などをメインに打ち出すなど、一部、二部とも自社ブランドによる、さまざまな差別化糸を提案する。さらに今年1月に事業譲受した生地・服飾資材の卸販売・問屋サイト「テキスタイルネット」も紹介する。

〈ニッケファブリック/ウールと合繊を複合〉

 ニッケファブリックは、ウールと合繊長繊維の交撚糸「ニッケアクシオ」を出品する。ウールと合繊の良さを組み合わせた高付加価値な差別化糸として、ニット向けに訴求する。

 独自の「インスパイラルスピン」製法で、らせん状の合繊長繊維をウールの繊維束の内面に包み込んだ。そのため、ストレッチ性に加え、ソフトな風合いや高強力性に優れる。

 合繊長繊維はナイロンとポリエステルの2タイプそろえ、顧客の要望に合わせて提案。ウール・ナイロン混はセーター向けに適しており、毛玉ができにくく長持ちする。ウール・ポリエステル混は摩耗への耐久性があるため、靴下向けに訴求する。

 昨年から販売を始め、国内ブランドに採用されるなど実績もある。

〈豊島紡績/エコ素材を組み合わせ〉

 豊島紡績は、環境保護を意識した新商品として「エコアンプルール」を展示する。前回展に続くエコ素材の第2弾。ほかにも、備蓄している多彩な糸も出品する。

 エコアンプルールは、ニュージーランド産のノンミュールジングウール70%・キュプラ30%混の30番単糸。エコ素材同士を組み合わせた、サステイナビリティー(持続可能性)を意識したモノ作りを訴求する。

 トップ染めでグレー系を中心に、ネービーやレッド、ホワイトなど6色展開し、織・編み物向けにアピールする。前回展ではエコ商品の第1弾として、再生ポリエステルの「エコマー」を出品した。

 備蓄糸では、ラミー100%の「アラン」、ウール100%の「ブーマー」、レーヨン80%・ウール20%混の「ブレーメン」なども出展する。

〈モリリン/エコの打ち出し強化〉

 モリリンは、開発してきた素材のマイナーチェンジを図り、環境保護を意識した商品を打ち出す。

 同社のロングセラー商品の「セルティス」はこれまで、原料にレーヨンとキュプラを使用。今回は、今のサステイナビリティー(持続可能性)の時代に合わせ、新たにノンミュールジングウールを加えた。

 「ポルカ」は再生ポリエステルを使用した環境に配慮した素材。キュプラを複合することで、絹のような柔らかい風合いや光沢感、ドレープ性を実現した。エコでありながら、ラグジュアリーな商品として訴求する。

 メリノウールと特殊ナイロンを交撚した長短複合糸「メリノアーマー」や、セルロース繊維とポリエステルの複合高機能糸「セルアーマーハイブリッドヴィスコース」も出展する。