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特集 北陸ヤーンフェア2018(3)/出展者の見どころ

2018年10月10日(水曜日) 午後4時32分

〈PTTモノFやキュプラ/本体はロイカに絞り出品/旭化成・旭化成アドバンス〉

 旭化成グループは本体の繊維事業本部と商事子会社、旭化成アドバンスがそれぞれ出展する。

 初出展となる旭化成は繊維事業本部からロイカ事業部が単独出展する。スパンデックス「ロイカ」は高品質で機能性に優れたプレミアムストレッチファイバーとして訴求しており、今回展ではその一つで、ソフトパワーを持ち高伸度、高回復性が特徴のロイカHS、セット性に優れ、カール対策、軽量が特徴のロイカBXを打ち出す。

 旭化成アドバンスはグループ商社として、旭化成製素材だけでなく、商社として国内外の他メーカー製の特徴ある素材や欧米で機運が高まるエコロジー・サステイナビリティー(持続可能性)素材も手掛ける。

 今回展ではポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)モノフィラメント・ナイロン扁平(へんぺい)糸の複合糸やキュプラ、レーヨン、アセテートなどセルロース長繊維や半合成繊維などを出品する。PTTモノフィラメント・ナイロン扁平糸の複合糸はソフト性、形態回復性、エコロジー性、意匠性などが特徴。

 セルロース繊維や半合成繊維は近年、欧米を中心として注目されるエコロジー・サステイナビリティー素材として打ち出す。

 特に旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」は生分解性を訴求。セルロース繊維の環境認証もパネルなどで紹介する。

〈時流に合致した糸用意/産地協業の機能素材を/蝶理〉

 蝶理は北陸産地企業との協業を通じた高機能商材を訴求する。同社は300種類以上の豊富な取扱数量を誇り、北陸産地の協力仮撚工場や多数の海外原糸メーカーとの連携による新規商品の開発力に定評がある。

 今回展では高ストレッチ性、高耐久性、ソフトタッチが特徴の特殊ストレッチ糸「テックスブリッド」やポリエステル長・短繊維のリサイクル素材「エコ・ブルー」などを打ち出す。

 テックスブリッドはポリブチレンテレフタレート(PBT)複合糸で、順次商材を拡充してきたもの。一方、エコ・ブルーは世界的に広がる環境意識に対応したもの。長繊維(DTY、SDY、POY)、短繊維のラインアップを充実させた。

 同社は北陸ヤーンフェアの第1回、第2回で実質的な運営役を担った。吉田裕志取締役執行役員繊維第一本部長は「過去2回の開催では多くの来場者、しかも糸を実際に取り扱う人々が多く訪れた。滞在時間の長さも特徴的で、各所で親交も深まったと聞いている」と語る一方、「出展者にも非常に好評で、ビジネスにつながった話もかなり聞く。産地活性化に寄与するキッカケが作れたのではないか」と振り返った。その上で、今回展で同社は「時流に合致した糸を各種用意し、機能糸を軸に輸入糸から国産糸まで幅広く」提案する。

〈ミントバールほか開発品も/独自原料、複合技術に強み/クラレトレーディング〉

 クラレトレーディングは、クラレ本体が保有する独自ポリマー使いや複合紡糸技術によるオンリーワン素材の開発に特徴がある。そこから生まれた独自素材の一つが水溶性長繊維「ミントバール」だ。

 ミントバールはクラレの独自開発による溶融紡糸が可能なPVA(ポリビニルアルコール)系水溶性樹脂「エクセバール」を原料にしたものだ。水溶性、溶解性に優れるミントバールを補助材として天然繊維などと複合化。最終工程で熱水処理すると、ミントバールは完全に溶解・消失する。

 これにより、残った糸と糸の間には隙間ができ、膨らみやかさ高性が増して軽く、通気性を持った糸・テスタイルを製造できる。

 ミントバールはさらに均一な長繊維から成るため、細く高品質な糸を製造でき、しかも、低分子量ポリマー使いのため熱がかかっても溶解性には影響がなく、溶け残りがない。

 これにより、染めむらがなく、取り扱いが容易。細繊度のため、溶解量も少なく、環境負荷も小さい。

 無撚糸タオルなどさまざまな用途に使われているミントバールを中心に今回展は提案するが、「開発中の新素材も出品する予定であり、来場者との共同開発につなげたい」考え。従来にはない新しい着眼点でのモノ作りも進めたいとしている。

〈PTT繊維など訴求/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアはメーカーとしての独自素材の開発技術力と商社としての幅広い調達力を駆使したソリューション提案を目指す。

 今回展ではソフト性、発色性、ストレッチ性、形態回復性、異素材との調和性を持ち、一部植物由来原料を使ったポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」や深みのある発色、上品な光沢、シルクのような表情と柔らかさでドライなタッチ感、高級感のあるドレープ性を持つ「美影ドライ」をメインに提案する。

〈ポリプロで防虫忌避/三菱ケミカル〉

 三菱ケミカルは防虫忌避機能を持つポリプロピレン長繊維「クリーンライフNeo」、常圧カチオン可染ポリエステル長繊維「A.H.Y」などを提案する。

 クリーンライフNeoは人や犬・猫に対する安全性の高い特殊なプレスロイド様化合物(エトフェンプロックス)を繊維に練りこむことで、多くの害虫に対して長期的な忌避効果を発揮する。

 A.H.Yは光沢と風合いに優れ、常圧カチオン可染のため、他素材との複合も含めてさまざまな用途に展開できる。

〈天然の素材感と機能性/東レ/東レインターナショナル〉

 東レグループは本体のほか、商事子会社、合繊紡・織布子会社などが出展し、それぞれブースを構える。東レ本体は「天然繊維の独特な素材感+機能性を合繊で表現」をテーマに掲げ、天然繊維の特徴を合繊で表現し、合繊ならではの機能性を合わせ持つ、快適で素材感を楽しむ素材を提案する。

 初出展の商事子会社の東レインターナショナルは、国内外の多様なサプライチェーンや東レを中心とした多彩な原料ソースを武器に天然繊維・合繊特殊紡績糸や特殊複合糸などを訴求する。

〈改質加工で資材開拓/北陸で「サイプス」拡販/東洋紡STC〉

 東洋紡STCの原糸販売、インナーの両グループと日本エクスラン工業の3者が共同で出展する。インナーグループは今回が初めての出展となる。

 原糸販売グループは「リフレス」「デオドラン」「うるおいコット」のような改質加工シリーズでこれまで参入できていなかった非衣料・資材を含む幅広い用途・客先の掘り起こしを目指す。

 ポリエチレン使いの冷感素材「アイスデラックス」、マイクロファイバー使いの超フルダル素材「トライクール」を打ち出す。トライクールの販路はここに来てアウトドアやゴルフウエア、浴衣、傘などへも広がっていると言う。

 エクスランでは、吸湿発熱素材「エクス」、消臭素材「エチケット」、湿度コントロール素材「ウェアコン」などでアクリレート繊維が持つさまざまな機能性を改めて訴求。マスクや靴の中敷き、カーシートなどの用途も開拓したいとの考えだ。除菌「アグリーザ」では不織布狙いの取り組みにも力を入れる。

 インナーでは、これまで特定ユーザーにしか販売してこなかったビームサプライ「サイプス」を初めて提案する。

 綿100%で商品化したインナー向けトリコットを主力に販売しており、今回は機能素材との複合企画を充実させ、北陸ニッターへの販促を本格化させる。

〈各種差別化糸が進化/「世界にない糸開発を」/山越〉

 山越(石川県かほく市)は仮撚り加工機19台を構える国内最大級のポリエステル加工糸メーカーだ。こうした規模によるコスト競争力だけでなく、各種差別化糸の開発にも力を入れる。仮撚加工技術を生かして開発した独特の風合い・色合いや天然繊維を超える糸など「世界にない糸開発」(兪建鴻常務)に取り組む。

 今回展では昨春から本格稼働した新高速延伸仮撚り機によりカチオン可染糸を使用せずに杢(もく)調表現ができる「エンジュロンゆらぎ」はじめ、ストレッチ糸「同SSY」、銀イオンを練り込み、優れた抗菌性を持つ「同シルバー」、ナイロン・ポリエステルの特殊複合加工糸で杢調表現や制電性を持つ「ナイステル」など各種差別化加工糸を中心に提案する。これらの出品は前回展と同じだが「それぞれ進化させている」とし、差別化糸を使ったTシャツ、スポーツアウター、フィットネスインナーなど最終製品でも訴求。「来場者との商談を通じて、衣料、非衣料問わず、新しいアイデアもつかみたい」と意気込む。

 同社の2018年度(1~12月)は8月まで売上高が前年同期比4%増ながら、原糸の調達コスト上昇が響き採算面では厳しさを増す。それだけに、コスト上昇分の転嫁を進める一方、こうした差別化糸の開発、販売も強化する。

〈差別化糸でエコ化推進/バインダー長繊維も訴求/ユニチカトレーディング〉

 初出展のユニチカトレーディングは合繊メーカー系商社として、紡糸・延伸技術による極細繊維や異型断面糸、ポリマー段階での改質、混繊により機能性や感性を表現する新原糸の開発に特徴がある。今回展では高い技術力などによる斬新な合繊を提案する。

 重点素材は「ユニエコロ」と「メルセット」。ユニエコロでは使用済みペットボトルを原料段階にまで分解した再生ポリエステル長繊維を披露する。ケミカルリサイクルのため、細繊度や異型断面、芯鞘構造などの差別化糸も生産できる。

 同社は差別化糸でのエコ化を推進しており、その一つがケミカルリサイクルによるポリエステル長繊維になる。マテリアルリサイクルによるポリエステル短繊維のユニエコロも手掛けている。

 もう一つの重点素材メルセットは、芯部分にポリエステル、鞘部分に低融点ポリエステルを配した芯鞘複合によるバインダー長繊維。

 熱処理加工を行うことで、外側に配した低融点ポリエステルだけが溶融・固化する。このため、糸の特性・機能を保ちながら立体成型や強度を高めることができるなどの特徴を持つ。

 その他、新開発のクーリング素材や、融着糸などの高付加価値素材も出品する予定で「来場者との商談を通じて、ニーズを深耕したい」と意欲を見せる。

〈熱融着糸や高強力糸/KBセーレン〉

 KBセーレンはマイクロファイバーなど細繊度紡糸技術やポリエステルとナイロンなど複合紡糸技術、機能剤の練り込み技術に特徴がある。今回展では芯鞘型熱融着ポリエステル長繊維「ベルカップル」、高強力ポリアレリート繊維「ゼクシオン」をメインに打ち出す。

 ベルカップルはヒートシール性(目ずれ防止)、形態安定性、硬度調整性に優れ、無溶媒で熱融着させることができる糸。ゼクシオンは高強力・高弾性・低吸水性、寸法安定性が特徴の液晶ポリエステル繊維だ。

〈ステンレスなど機能糸/富士紡ホールディングス〉

 初出展の富士紡ホールディングスは国内の自社工場で開発した機能糸や高感度ファッション素材をメインに出展する。

 強力な接着性を有する低融点熱接着繊維「ジョイナー」、練り込み技術による蓄光糸「ルミフィーロ」、感温糸「サーモフィーロ」、感光糸「UVマジック」、高い導電性能を持つステンレス繊維などの機能性繊維と、高感度ファッション天然素材として差別化紡績糸、希少原綿糸、差別化加工生地のほか、持続可能型、環境配慮素材としてのBCIコットン使いを紹介する。

〈独自の開発素材を展示/モリリン〉

 モリリンは、「セルアーマーハイブリッドヴィスコース」「メリノアーマー」「Dプラス」などの独自開発素材を出品する。

 セルアーマーハイブリッドヴィスコースは、芯部分のセルロース系繊維をポリエステル長繊維が被覆するようにした交撚糸で、ドレープ性やハリコシが特徴。メリノアーマーは、メリノウールと特殊ナイロンの複合糸。吸放湿性や形態安定性に加え、毛羽立ちを抑える。Dプラスは消臭セルロース繊維「デオセル」を使用し、アンモニアなどの消臭効果がある。

〈「ボルテックス」糸の品種充実/独自性ある緯糸アピール/新内外綿〉

 新内外綿は、2017年の前回展に続いて2回目の出展となる。

 合繊織物産地での展示会であることを念頭に経のフィラメント糸に打ち込む緯糸の提案に力を入れる。形状変化糸、色状変化糸、混状変化糸など製造工程や原料、染色で工夫した糸をサンプル約50点でアピールする。

 紡績法にこだわった商材では、16年に紡績子会社のナイガイテキスタイルで導入した村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」を使った開発糸をアピールする。

 ポリエステル100%の杢(もく)糸(30・40番単)、「テンセル」リヨセル・綿混(テンセル70%・綿30%)糸、テンセル100%の「ビスコチェントエアー」(30番単、40番単、60番単)などがある。

 リング紡績の複合糸も充実する。テンセル90%・カシミヤ10%混糸、テンセル90%・シルク10%混糸、テンセル80%・ウール20%混糸などがあり、トップス用途を想定する。

 定番の杢糸ブランド「モクティ」シリーズ、天然由来染料によるトップ染め杢糸「ボタニカルダイ」、カチオン染料を用いた後染め杢糸は見本帳を使って訴求する。

 ボタニカルダイは、天然由来染料を使用しながらも化学染料との複合で草木染めならではの色調を維持しながら実用的な染色堅ろう度を持つ。

〈糸道最大手が初出展/各種製品の良さ訴求/湯浅糸道工業〉

 湯浅糸道工業(名古屋市天白区)は今回展が初出展となる。同社は繊維機械に不可欠な糸を通すための部品、糸道の日本製造最大手であり、糸切れを検出するヤーンセンサーなど、さまざまな繊維機械部品を手掛けている。

 同社製品は高寿命、作業効率の向上など、自社での一貫生産による技術力に裏打ちされた信頼性・高品質を特徴とする。「YUASA」ブランドとして国内はもちろん、世界的に高い評価を受けている。

 現在、間接輸出を含めると海外販売比率が高いが、それを除けば国内・海外の販売比率はそれぞれ半々。その中でも「北陸産地は最重要産地」(湯浅滋社長)と位置付ける。

 「北陸産地との取引はこの数年は横ばいを維持している。今回の出展によって新たなニーズをつかみたい」と言う。

 同展では糸に張力を掛けるストレージテンサー、リングリングテンサーやテンションワッシャーなどを中心に各種製品を出品するほか、最新カタログも用意し、「当社の製品の良さを改めて知ってもらえれば」と話す。

 今回、出展を決めたのは北陸ヤーンフェアが今後発展することを期待しているため。「国内の繊維機械関連の展示会はほとんどない。業界を盛り上げるのも責務」(湯浅毅副社長)とし、同時に「販売代理店の活性化にもつなげたい」との考えを示す。

〈工数削減につながる装置/初出展で新たな取組模索/カジグループ〉

 カジグループ(金沢市)は梶製作所(石川県かほく市)、カジナイロン(金沢市)が今回展に出展する。同グループが個展以外で国内展に出展するのは初めて。機械製造から糸加工、織布・編み立て、そして縫製品まで手掛ける総合技術を生かして「ビジネスを多角的に深耕する」(梶政隆社長)との方針に則り、今回展では「北陸産地だけでなく、全国のテキスタイルメーカーと新たな取り組みも発掘したい」と意欲を示す。

 機械製造の梶製作所からはカメラ搭載の自動検査装置2機種を出品。工数削減に結び付く省力化装置を提案するとともに、パネル展示でスパンデックスのワーパーなどラインアップを紹介する。

 特に綜絖キズの検査や糸の外観などの検査を行う装置を実機展示する。梶製作所はバイオーダーで、「個々のニーズに対応した機械・装置の開発」が特徴で、今回展では需要家が抱える問題を掴み、それぞれが持つ「悩みの解決につながる」機械・装置を開発できる点を訴える。同時に各機種ともグループ繊維企業で使用実績がある点も紹介する。

 一方、カジナイロンは意匠糸、ストレッチ糸、複合加工糸、中空糸などラインアップを紹介するとともに、これらの糸を使ったテキスタイルはもちろん、自社ブランドのメンズ製品「ティモーネ」、トラベルグッズ「トゥーアンドフロー」なども出品する。

〈WGやデザインシステム/島精機製作所〉

 島精機製作所はホールガーメント(WG)横編み機「MACH2S」、3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX3」や、WG製品をはじめとする最新ニットサンプルを出品する。MACH2Sは幅広い生産に対応するフレキシブルなWG横編み機。8~16¥文字(G3-1007)の総針編成が可能で、WG編成は針抜き編成もできる。

 SDS―ONE APEX3は織物・編み地のバーチャルサンプル、配色検討、プリントデザインの作成ができる。

〈デザインソフトと試織機/トヨシマビジネスシステム〉

 豊島子会社のトヨシマビジネスシステム(名古屋市中区)は初出展で、デザインソフト「4DboxPLANS」とテキスタイルのサンプル用織機「織華」を提案する。

 4DboxPLANSは最新バージョン。先染め柄作成でバーチャル糸が大幅に機能向上した点や細幅織物の表現も可能になった。実機展示しサンプル費削減や企画の時間短縮につながる点を訴求する。織華は石川県工業試験場に炭素繊維仕様の納入など国内外で実績を持つ。研究開発に向けてカスタマイズできる点も提案する。

〈3社が共同ブース/梅信・茶久染色・そぶえ産業〉

 糸加工メーカーの梅信(石川県内灘町)、糸染めの茶久染色(愛知県一宮市)、アパレルOEM、糸製造卸、スポーツ用品輸入卸のそぶえ産業(同)の3社は共同ブースを構え、初出展する。

 梅信は耐切創手袋用の高強力ポリエチレン繊維を使ったカバリング糸を主力とするが、今回展では和紙糸とポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維のカバリング糸(混率はそれぞれ55%、45%)を中心に出品する。茶久染色は各種合繊糸を染色する点を訴求。そぶえ産業は防縮ウール糸をメインに打ち出す予定だ。

〈天然ライク糸がメイン/「アモッサCL」さらに拡大を/シモムラ/アシスト〉

 糸加工メーカーのシモムラ(石川県小松市)は備蓄販売するポリエステル先染め糸「アモッサ」シリーズの販売を担うアシスト(大阪市中央区)と共同出展する。

 綿、ウール、リネン、シルクなど天然繊維ライク糸やストレッチ糸、その他意匠撚糸をまとめたブック帳の商品や、前回展で初披露し好評を得たアモッサCLなどをメインに打ち出す。アモッサCLは綿ライクでUVカット性、透け防止性、ハイマルチによる吸汗速乾性にも優れる。今回展では各種製品も展示しながら「さらに顧客を広げたい」(西山恵太専務)と言う。

 ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」も84デシテックス(T)に加え、167Tの染め糸在庫をスタートした点も訴求する。さらに子会社であるソフィーナの新潟工場(新潟県長岡市)と連携したテキスタイルでも提案する。

 同社は撚糸機、PIN仮撚機などさまざまな糸加工機に加え、ソフィーナ新潟工場に織機も構える。2018年10月期売上高は前期比約10%増で着地できる見通し。特にアモッサシリーズやソロテックスがけん引している。テキスタイルの自販は国内苦戦も中国輸出が堅調。織機も衣料以外の受託もあり、受注も含めてスペースは埋まっていると言う。ただ、コスト上昇にあるため、価格転嫁にも取り組む。

〈エア加工がコア技術/原糸の機能をさらに高める/山甚撚糸〉

 糸加工メーカーの山甚撚糸(福井市)はエア加工が「コアビジネス」(山田雅浩社長)。これを生かした複合加工糸技術を訴求しながら新規顧客の開拓を目指す。

 同社はエア加工機、撚糸機、整経機などの設備を自社で構える。協力工場も活用しながら糸加工からビームサプライまで一貫で開発、モノ作りまでを行う。

 トリアセテート長繊維を主力に各分野に適したさまざまな加工糸を生産するが、基本は合繊メーカーや産元商社などからの受託生産になる。

 しかし、北陸ヤーンフェアへの出展は「外部発信する良いチャンス。自らの方向性を確認するにも役立つ。出展しなければ何も分からない」とし、継続出展を続ける。

 過去2回の出展でも「新規取引先の開拓に結び付いた。さまざまな糸加工ができる点をアピールすることで、コラボが生まれている」。新規取引先の開拓もあり、現在、売上高は前年比7~8%増で推移すると言う。

 今回展では糸加工によって、元となる原糸の機能性をさらに高められる点を提案する。

 「特に2018年夏の猛暑を踏まえ、快適性を追求した糸加工をメインテーマにする」予定で、テキスタイルで見せながら、その生地の機能性が各種加工糸によって、付与されている点を訴求する考えを示す。

〈「JTC」をメインに/ハイカウント、中空など/タロダ〉

 糸商のタロダ(石川県内灘町)は撚糸機など生産設備も構え、さまざまな先染め糸を取り扱う。カラーブック展開のほか、バイオーダーによる別注糸も手掛ける。

 今回展では備蓄販売するブック帳「JTC」シリーズをメインに置き、超ソフト加工のハイカウント加工糸「JTC―MS(マイクロスリーム)」や、中空糸による吸水速乾性や滑らかな肌触り、軽量性などを持つ「ディーエアー」、割繊糸使いでスエード感を表現する「カッセン」などを紹介。「来場者の反応を聞きながら、今後の絵を描きたい」と太郎田祐二社長は言う。

 同社の販売先はかほく産地の細幅織物向けが主力だが、他産地向けを含めて幅広い用途のニーズに対応する。生産は協力工場への委託に加えて、自社にも撚糸機などを構えるが、11月には本社に隣接する工場を倉庫に改造。設備の一部は近郊の石川県かほく市にある工場へ移設する。

 同社の2018年8月期業績は前期比1~2%の微減収微減益となった模様。海外販売の落ち込みをその他でカバーしきれなかった。今期は前々期並みの業績に戻す計画。一方で、原糸価格の上昇や染色加工料金の改定などのコストアップにある中で、事業継続のためには「従来とは異なるやり方も考えざるを得ない」とし、今後の方向性を模索する。

〈カラーネップ糸「PEP」/福富〉

 糸商の福富(石川県金沢市)はカチオン可染糸の合撚によるポリエステル100%カラーネップ糸「PEP」をメインに打ち出す。さまざまなカラーバリエーションを訴求するほか、綿、ウールとの合撚糸も出品する。

 帽子、パンストなどPEPを使った小物も展示する。PEPは昨年の同展で初披露。色糸だけでなく、生成りでのニーズもあると言う。

 同社はバイオーダーによる染め糸販売が主力だが、2002年から2次製品販売も手掛ける。

〈インテリア照明出品/織工房風美舎〉

 初出展となる織工房風美舎(福井市)は法衣向け合繊織物と、からみ織技術を生かしたモアレ模様のインテリア照明「モアレマジック」を販売する。今回も糸展ながらモアレマジックを出品。和装織物の賃織りから転換、自販企業で最終製品まで販売する点を訴求する。

 モアレマジックは照明だけでなく、アートやパネルも受注生産するが、全て自社で企画設計する。同社は石川・福井繊維企業連携新素材開発等支援事業にも採択されており、現在、4社連携で天然繊維の高級ストールの開発も行う。

〈耐熱蓄光糸など披露/ヒロタ工繊〉

 撚糸、カバリングなどの各種糸加工設備を持つ、ヒロタ工繊(石川県小松市)は今回展で蓄光糸の耐熱タイプ、ポリエステル・ナイロン割繊糸、ポリエステルやナイロンモノフィラメントの先染めカラーブック品をサンプル展示する。

 耐熱蓄光糸は分散染料による高温高圧染色でも蓄光剤が痛まないのが特徴。12分割の割繊糸は糸段階で超極細化するもので、意匠撚糸や黒原着糸も訴求する。モノフィラメントは染色加工場、糸商と連携によるもので、3品種をそろえる。

〈麻紡績糸を北陸へ/合繊との複合に期待/トスコ〉

 今回初出展となるトスコはラミー、リネンの麻紡績糸をメインに製造販売する麻紡績。合繊長繊維織・編み物産地である北陸での糸展「北陸ヤーンフェア2018」には初出展となるが、合繊と天然繊維の複合の広がりに今後の期待をかける。

 今回展ではラミー4インチ紡績糸、リネン潤紡糸などを重点的に打ち出す。ラミー100%による4インチ紡績糸は従来のラミー100%糸に比べて毛羽の発生を抑えた糸で製織性が良いのが特徴としている。

 リネン100%の潤紡糸はフランスノルマンディー地方の原料を使用し、中国の指定工場で紡績した。

 麻は天然繊維のため、ロットによる品質の差が大きい。このため「原料から糸のロット管理、品質データ管理を行うことで、安定した糸の供給が可能」としている。

 同社は1918年に東洋麻絲紡績として設立され、今年、創立100周年を迎えた。

 現在、国内と中国に紡績設備を持つ。三原工場(広島県三原市)は国内では珍しい4インチ紡績に対応した数少ない麻専業の紡績工場だ。

 一方、中国江蘇省には1994年に設立した子会社、昆山東蘇克紡織(昆山トスコ)があり、グループの紡績糸生産の中核となっている。昆山トスコは紡績設備4800錘を持ち、ラミー糸の紡績を中心に撚糸や合繊混紡糸の設備を構えている。

〈実績の「ジョーテックス」/ニーズ掘り起こし新規開拓/泉工業〉

 ラメ糸メーカーの泉工業(京都府城陽市)は、北陸産地で高いブランド力と実績のある後染め用ラメ糸「ジョーテックス」のバリエーションを紹介しながら、北陸産地でのニーズを改めて掘り起こすことで新規開拓を進める。

 同社の主力商品であるジョーテックスは、ポリエステルジョーゼット織物の減量処理加工に耐えるラメ糸として1979年に開発された。それまでアルカリ減量処理しても金属層が剥離・変色しないラメ糸の開発は不可能といわれていたものを同社が世界で初めて商品化に成功した。

 ジョーテックスを中心に北陸産地で豊富な実績がある同社。今回の北陸ヤーンフェアでもジョーテックスの技術をベースにした後加工対応のラメ糸などを中心に多彩な商品を紹介する。

 同社はまた“相談できるラメ糸メーカー”としてユーザーとの対話を通じたニーズの掘り起こしと、それに基づく開発・提案でラメ糸の用途を拡大してきた。北陸ヤーンフェアでも「来場いただいた方とコミュニケーションを深め、新しいニーズをくみ上げることを重視する」(福永均社長)と話す。

 最近でもユーザーとのコミュニケーションの中からストレッチラメ糸やセルロースラメ糸などを開発し続けている。対話を通じた開発力を強みに新規顧客の開拓を進める。

〈「進未来」でステンレス/防虫忌避機能ポリプロも/北洞〉

 糸商の北洞(京都市)は今回が初出展となるが、「進未来」をテーマに、一歩進んだ自由な発想ができるような提案に重点を置く。

 その提案の一つが0・05㍉のステンレス繊維になる。同繊維100%使いによる横編み製品などを出品し、訴求する。その他、テーマに基づき、防虫忌避機能を持つポリプロピレン長繊維や部分バイオポリエステル長繊維なども提案する。

 防虫忌避機能を持つポリプロピレン長繊維はインテリアや介護用品、さらにペット用品など向けをターゲットに置く。

 同社は綿、絹、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどあらゆる種類の原料を使った加工糸を備蓄販売する。しかも、備蓄品は5~10㌔単位の小ロットで対応するのが特徴だ。

 特にひも、細幅織物など服飾雑貨を含む資材用途が得意。北陸産地企業とのビジネスもひもや細幅織物向けが中心となっており、服地向けは全体の10~20%にとどまる。

 その面では、今回展に出展することで「北陸での認知度をさらに高めたい」(北洞貴男社長)と言う。

 また、糸加工全てを国内企業に委託するだけに出展を通じて「新たな生産場の開拓にも結び付ければ」とも話す。

 もちろん、定番で構える備蓄品もクリルスタンドで展示し、実ビジネスの成果も狙う。

〈差別化合繊紡績糸を追求/丸一繊維・創和テキスタイル〉

 一村産業子会社の2インチ紡、丸一繊維(新潟県糸魚川市)と機業の創和テキスタイル(石川県羽咋市)は共同出展し、隣接ブースの東レインターナショナルと連携し「糸だけでなく、織物さらに縫製品まで提案できる」点を訴える。丸一繊維は東レグループの合繊短繊維を活用したさまざまな紡績糸を提案する。再生や部分バイオのエコわたやサイド・バイ・サイドポリエステルわた使いや、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維複合のストレッチ糸などを提案する。

〈特徴訴求し取引先を開拓/川プロ〉

 川プロ(石川県かほく市)は自社にカバリング設備11台を構え、外注も活用してカバリング糸を製造、販売する。特に2種類の糸をスパンデックスに巻き付けるダブルカバリングを得意とする。

 ラメ糸製造の泉工業(京都府城陽市)と共同開発した純銀ラメのカバリング糸「ジョーテックスマイテル」などは有名だが、今回展ではバイオーダーにより、小ロットで対応できる糸加工メーカーである特徴を訴求することで、需要家との取り組みに結び付けたいとの考えを持つ。

〈ウールライク糸がメイン/カワボウテキスチャード〉

 糸加工メーカーのカワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)は「超天然」シリーズの一つとして販売するウールライクなポリエステル100%糸をメインに原着糸、エアーカバリング加工によるストレッチ糸や耐摩耗糸などを提案する。

 ウールライク糸は2年前から手掛けるが、現在は旺盛な需要に応じきれていないほど好調に推移。「タステックス」と呼ぶ独自のタスラン仮撚加工を施すことで、ウールのようなかさ高性などを実現しており、特に紡毛織物の代替に適する。