台湾の繊維企業/欧米ブランドとの取り組み拡大/日本市場の開拓にも意欲

2018年10月24日(Wed曜日) 午前11時37分

 台湾の繊維企業が、欧米ブランドとの取り組みを拡大している。好調の背景には、台湾企業が注力する環境素材や機能素材の市場が世界的に成長していることがある。一部企業は欧米に次ぐ重要市場として、日本に目を向けている。(岩下祐一)

 台湾塑膠工業(台湾プラスチック)傘下で、合繊織物メーカー最大手の福懋興業(フォルモサ・タフタ)は、欧米のメガスポーツブランド向けが好調。ナイキやアディダスは「店頭販売がこの2、3年低迷していたが、今年は好転し、在庫が減っている」(李敏章総経理)。こうした中、各社が生地の発注に積極的になり、恩恵を受けている。

 糸染めから織布、製品まで一貫展開する南緯実業は、環境配慮型のポリエステル糸とそれを使った高機能生地を武器に、欧州のスポーツブランド向けを拡大している。高機能ニット生地メーカーの春昌企業も、欧州スポーツブランドへのヨガウエア向け生地の販売を伸ばしている。

 台湾の繊維産業は2000年以降、政府の支援の下で川上から川下の企業が一体となり、共同開発する体制を築いてきた。化学繊維の機能素材をメインに位置付け、糸の開発から製品販売までのリードタイムを大幅に短縮、糸の多様化も進めてきた。

 ここ数年は「機能」「スマート」「環境」の三つを追求する姿勢を鮮明にしている。ナイキやアディダスなどの大手ブランドが研究・開発センターを台湾に置く優位性を発揮し、トレンドを先取りし、開発を進めてきた。これにより、スポーツとカジュアルの融合や、サステイナビリティー(持続可能性)など、この1、2年で顕在化したニーズにいち早く応えることができたとみられる。

 ASEAN地域の生産背景の充実も、好調の要因に挙げられる。08年から現在まで10年にわたり、中国大陸からベトナムやカンボジア、インドネシアなどに工場を移管してきた。台湾プラスチック・グループや遠東新世紀が、川上から川下までの一貫生産を行い、織布や染色加工、プリントなどの川中企業も多数進出し、“オール台湾”で原料から製品までを競争力のある価格で提供している。

 台湾企業はこれまで、トップゾーンの日本メーカーと価格訴求型の中国メーカーの間に挟まれてきたが、この構図が変わりつつある。中国で環境規制が強化されたことで、中国企業の価格競争力がそがれる一方、台湾企業のベトナム製素材が威力を発揮する。トップゾーンでは日本メーカーと競合するケースも増えているようだ。

 欧米市場の開拓で成果を上げた一部企業は、次の重点市場として日本に目を向けている。これらの企業の多くは、20年の東京オリンピックをきっかけに日本のスポーツ市場が成長するとみている。こうした中、台湾企業の素材見本市「パンテキスタイルフェア大阪」はここ数年、規模を拡大している。今年は10月31日と11月1日に開催され、近年最多の57社が出展する。来年は東京展の開催も予定する。