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生地商社/ユニフォームに熱視線/「釣りは魚のいる場所で」

2018年10月25日(Thu曜日) 午前11時40分

 生地商社がユニフォーム分野の開拓に本腰を入れ始めている。背景にあるのは国内ファッション市場の低迷。百貨店アパレルの苦戦、顕在化する供給過剰、少子高齢化、売り場の縮小などを理由に同市場の市況は総じて低迷しており、各生地商社の業績にもそれは表れつつある。対照的にユニフォーム分野は少なくとも東京五輪までは需要が高まるとみられており、今後は「釣りは魚のいる場所で」との考えの下、生地商社によるユニフォーム市場開拓が進みそうだ。(吉田武史)

 ある生地商社は数年前からユニフォーム市場の開拓を続けてきた。「ファッションとは全く慣習や文化が異なる」ため当初は全く実績に結び付かなかったが、再現性が必須条件であることや、企業との直接交渉、提案サイクルといった同市場の特性をつかんでいくに連れ、徐々に数字を伸ばしている。「ノウハウを蓄積中」とのことで、今後も同市場向け生地販売を拡大する戦略を打ち出す。

 サンウェルはこのほど開いた19春夏向け展示会で、ユニフォーム向け生地の特設コーナーを設け、ウール調合繊や麻調合繊が来場バイヤーの関心を引いた。同社でも同市場向けは徐々に伸びている。これまでは同市場の顧客が、同社がファッション向けや生活資材向けに提案する生地の中からユニフォームに使える生地をセレクトしていく形だったが、今後は制電糸使いなど同市場を意識した生地開発を強化することにした。

 宇仁繊維でも、「部分使いが中心で大きな数量には至っていない」ものの、徐々にユニフォーム向けの生地販売が増えている。今後はファッション市場の低迷も背景にユニフォーム分野の開拓を本格化する考えで、社内キャンペーンも実施する。

 澤村は今期(2019年9月期)から、得意のトリコットで「ユニフォーム分野を開拓する」方針を固めた。ユニフォームの“カジュアル化”を捉えたもので、既に提案を進めているところと言う。

 売り上げに占めるユニフォーム地の比率が3割と大きい一村産業の2018年度上半期(4~9月)の同分野向けは、前年同期比増収減益で、計画はともに未達だった。昨対で増収とはなったものの計画には届かなかった理由を藤原篤社長は、「特に大阪本社のユニフォームアパレル向けが苦戦した。同業他社に売り負けている可能性もある」と分析する。ファッションや切り売り、生活資材向けを生業にしてきた生地商社がユニフォーム分野に参入してきたことが背景にあるのかもしれない。

 ファッションとユニフォームでは商売の仕方が全く違うといわれる。しかし、生地商社には備蓄機能による短納期、小ロット対応の力や企画開発力が長年のノウハウとして蓄積されている。商習慣さえ学べば、ユニフォーム分野でその機能が重宝される可能性は高いだろう。今後は既存組と新規参入組が入り乱れた販売合戦が繰り広げられそうだ。