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機能化への動き始まる/素材メーカーが提案拡充/電動ファン付きウエア用生地

2018年10月29日(Mon曜日) 午後2時46分

 ユニフォーム分野で大ヒット商品となった電動ファン(EF)付きウエア。2018年は記録的な猛暑も追い風となり、店頭での完売も相次ぐなど消費者の間でも認知度が一気に高まった。一方、商品の認知度が高まったことによる市場の拡大で、アパレルによる競争激化は必至。そこで重要になるのがウエアに使用する生地だと言う声が素材メーカーから上がる。次の差別化に向けて機能素材を提案する動きが一部で始まった。(宇治光洋)

 好調な販売が続くEFウエアだが、市場の拡大に合わせてユニフォームアパレル各社とも参入を強めており、今後の競争激化は必至との声は強い。その場合、新たな付加価値を提案しない限り価格競争に終始し、収益性が低下することで業界が疲弊するのではないかという懸念が一部でささやかれる。電動ユニットを使用するという商品の特性上、電機など異業種からの参入もあり得る。こうした動きが強まれば、アパレルが生産や販売で主導権を奪われる可能性すらある。

 これに対して素材メーカーからは、「今のうちに、さらなる付加価値化で差別化する方向の開発を進めるべき」(東レの武田一光機能製品事業部長)といった指摘が上がる。特に焦点になるのがウエアに使用する生地の機能化。

 現在、EFウエアに使用されている生地はポリエステル長繊維の高密度織物やポリエステル綿混紡績糸による高密度織物などが一般的だが、いずれも定番的な素材に過ぎない。これを機能化することで、消費者の細かなニーズに応えながらアパレルがモノ作りの主導権を維持できる。

 素材メーカーも既に、提案に動き出した。東レは小松マテーレと連携して太陽光遮蔽(しゃへい)コーティングを施した生地を提案している。太陽光からの熱線を遮ることで屋外作業時に電動ファンによるクーリング機能を一段と高められる。

 シキボウは消臭加工「スーパーアニエール」を施した生地をEFウエア向けに打ち出した。ファンからの排気の臭気に対して着用者の周辺にいる人がクレームを寄せるといったケースが、実際に起こっている。こうした課題に対して機能加工で対処する。

 もう一つ焦点になるのがEFウエアの中に着用するインナーだろう。酷暑の建設現場などでは、水でぬらした合繊インナーをEFウエアの中に着用して気化熱の原理でクーリング性能を高めるといった運用が、ユーザーによって行われている。こうした動きに開発のヒントがある。例えば東レは、吸水速乾・クーリング素材「スプリンジー」をEFウエアの中に着るインナーとして提案している。

 こうした周辺商品も含めて機能素材を活用することが、EFウエアのさらなる拡大には不可欠だろう。付加価値創造を伴う競争によって市場の成熟を目指す姿勢が重要になりそうだ。