対日、対欧米で明確な差/東南アジアでの持続可能性/CSR意識

2018年10月31日(水曜日) 午後2時22分

 サステイナビリティー(持続可能性)やCSR(企業の社会的責任)への関心が世界中で高まりを見せる。生産地として日本との関わりが深い東南アジア各国の意識はどうか。ベトナム、タイ、インドネシアの現状をルポする。(吉田武史・宇治光洋・橋本 学)

〈ベトナム/工場廃水への意識高い〉

 縫製地に加えて生地生産も活気づくベトナムでは、欧米に比べて意識がまだ低いとされる日本に向けた縫製品ビジネスで、サステイナビリティーの意識はそれほど高まっていない。ただ、国民の環境配慮意識は急激に高まっており、工場廃水に対する住民デモが各地で頻発している。それを回避したい工業団地が、染工場の誘致に消極姿勢を示しているという。

 一方、あらかじめ工場廃水規制をクリアした工業団地を新規に作り、そこに染工場を呼び込むような動きも見られる。

 CSR調達については、欧米のメガスポーツブランドなどからの要請により一部工場でその対応事例が見られるものの、対日に関しては「話題に挙がることは少ない」(日系商社)。「ベトナムでは元々問題のある工場が少ない」こともその背景と言えそうだ。

〈タイ/CSRは日系に有利か〉

 タイでも、日本向けの素材や縫製品に関してはサステイナビリティーの意識はまだ低い。しかし、最終仕向け地が欧米となる素材や縫製品では対応が不可欠になりつつある。

 一方、廃プラスチックの輸入規制が強化されており、再生ポリエステルの原料確保が難しくなるといった皮肉な現象も起こっている。

 CSR調達に関しては日系商社も取り組みを強化しており、協力工場に対する意識付けを進めている。特に欧米メガブランド向けを扱う企業は現地法人ではなく日本の本社レベルでの取り組みが行われている。素材メーカーに対しては第三者監査などが一段と厳しくなった。CSR調達の流れが強まることは、既に十分な対応ができている日系企業の競争力をさらに高めるとの見方もある。

〈インドネシア/徐々に高まるエコ意識〉

 インドネシアでも再生ポリエステルの需要が高まるなどサステイナビリティーの意識が徐々に浸透し始めている。

 バンドンの染色加工場が環境規制により操業停止に追い込まれた。今後も現地当局が環境に対する目を厳しくしていくことが予想されるが、日系工場に関しては、現地基準を既にクリアしており、規制が今後強まったとしても問題ない――との声が大勢を占める。

 CSRに関しても、例えばムスリムの礼拝時間を従業員に認めるなど日系企業は古くから先進的な取り組みを行っており、ある日系企業からは「(日本の競争力が増すためにも)もっと厳しくしたほうがいい」との声も挙がる。