メーカー別 繊維ニュース

スクールユニフォーム(5)/大手4社トップインタビュー/コストアップに苦悩も攻めの姿勢崩さず

2018年09月28日(Fri曜日) 午後4時26分

 学生服メーカー大手4社の2017年度決算は、18年入学商戦で都市部の制服モデルチェンジ(MC)校を堅調に獲得できたことに加え、スクールスポーツの売り上げ拡大で増収基調が目立つ。一方で人件費や物流費などさまざまなコストアップで減益は必至。少子化で市場拡大が見えず、値上げもしづらいという苦悩は続くものの、次代を見据えた攻めの姿勢を崩さず成長戦略を描く。

〈明石スクールユニフォームカンパニー 社長 河合 秀文 氏/“防災先進企業”めざす〉

  ――明石グループの2018年5月期決算は売上高が2%増の261億円になりましたが、経常利益が15%減の11億円と増収減益でした。

 18年入学商戦は制服MC校の獲得が例年並みでしたが、スクールスポーツで「デサント」の新規採用校が220校を超えたことや、店頭商品の販売が伸びたことで売上高は過去最高となりました。

 一方で経常利益は、05年に私が社長に就任して以来、初めて2期連続で減益となりました。原材料や物流費などコスト上昇が続く一方、少子化で市場拡大が見込めない中、今後も学生服メーカーにとって厳しい時代になってくるでしょうね。今期は経費の見直しなど引き締めながら、利益は横ばいか増益を確保したいと考えています。

  ――来年の入学商戦の見通しはいかがですか。

 制服MCは例年並みに新規獲得が進んでいますが、既存の制服を供給していた学校の喪失は今年の入学商戦に比べ少なくなる見通しです。「O.C.S.D.」「キンロック・アンダーソン」「ビッグジョン」などオリジナル企画の採用も増えています。

 店頭商品でも世代を超えて愛され続ける「リカちゃん」をモチーフにした女子学生服ブランド「リカ富士ヨット」を打ち出しました。新たな販路開拓を期待しています。

 スポーツは18年ほど新規採用校を獲得するのは難しいでしょうが、引き続き採用校の拡大に努めていきます。

  ――昨年、産学連携で防災教育や防災関連商品の開発に取り組む「明石SUCセーフティープロジェクト(ASP)」をスタートしています。

 子供の安全を守る意識の高まりから、防災用ヘルメット「セーフメット」や非常食「セーフボックス」などの販売が徐々に増えています。特に私学からの関心が高いですね。現在、小学校低学年向けの防災教材を開発中で10月に発表できればと思っています。

 防災セミナーの開催では学校だけでなく、教育委員会やPTA連合会などが協賛してもらえるようになるなど、評価が高まってきました。学校に対してサポートできることを考えながら、自社でも防災意識を高め、社内マニュアルを作成するなど“防災先進企業”としての取り組みを強化していきます。

〈菅公学生服 社長 尾﨑 茂 氏/ソリューションの領域広げる〉

  ――2018年7月期決算の見通しはいかがですか。

 計画する売上高352億円(前期348億円)は何とか確保し、増収となりそうですが、利益面は生地や物流などのコスト上昇で計画を下回る見通しです。スポーツの受注拡大で外注比率が上昇したことに加え、入学シーズンの供給で顧客からの要望に細かく応えすぎ、生産性が落ちたことが利益面に影響しました。

 さまざまなコストアップ要因で今後3年間は利益があまり出ない状況になると思っています。そのため、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した商品管理の一元化など、業務改革でコスト削減に取り組んでいます。

  ――19年入学商戦の動きは。

 制服MCの獲得ではこれまで弱かった都市部でもコンペで常に決勝に残ることができるようになってきました。ソリューションビジネスの効果が少なからず出てきたようです。

 スポーツは昨年発表した軽量で抜群の防風性と保温効果を兼ね備え、デザイン性の高い「カンコープレミアム」の採用が決まりつつあります。制服、スポーツとも順調に販売を伸ばしています。

  ――昨年の総合展「カンコーソリューションフェア」で「人づくり企業宣言」を行い、キャリア教育事業、学校コンサルティング事業の構築を推進しています。

 8月にストライプインターナショナルと、ノートルダム清心学園清心中学校・清心女子高校との3者共同で、“輝く女性”の育成を目的とした産学連携のキャリア教育プロジェクト「おかやまキラジョシ(女子)プロジェクト」の始動を発表しました。

 現状の事業案件は学校や行政と20件ほど進行中で、検討する学校も多数あります。学校や地域に合わせて課題を解決していくために、事業に対応できる人材育成は急務となります。常に訴えることができる事業内容でいろいろな領域を広げていければと考えています。

  ――取り組むケースによっては他に応用して提案できるパッケージ化も事業拡大の一つの選択肢となりそうです。

 諸刃の剣で他社も同じような提案をしてくる可能性を考えていかなければいけません。現状のように手がかかる手段をあえて取りながら、事業の拡大を目指していきます。

〈瀧本 社長 高橋 周作 氏/販売方法多様化に対応〉

  ――2018年6月期決算は。

 減収になり、それに伴い営業減益になる見込みです。メインの学校の生徒数が予想よりも減少したためです。ただ、3年前に始め昨年にめどがついた、ロスを排除するためのモノ作りの効率化の効果は、維持できています。

  ――新3カ年経営計画が今期始まりました。

 販売方法の多様化への要求にいかに対応するかが課題の一つです。奈良市立一条高校と、EC(電子商取引)による制服供給を試行し、ノウハウを蓄積します。

 一般的にECの目的は、不特定多数への販売による売上高拡大にあります。しかし、特定の学校に供給する制服の場合は違います。採寸する人手の不足への対応が目的の一つ。加えて、生徒の保護者の方々の共働きも増えており、指定の採寸日に付き添えない、かといって子供に制服代を持っていかせるのも不安といった声への対応も目的です。

 ただ、ECを開始するにはさまざまな課題があります。一条高校で今秋から、セーターなどのオプション品のECを試行します。これによりどのような課題があるかが、われわれにも学校側にも分かるはずです。それを踏まえ慎重に進める方針です。もちろん、全てをネットだけで行うのは無理です。現物を着用した上で裾上げしたいなどといったニーズには、販売代理店に対応していただく必要があります。

 原価の上昇圧力への対応も課題です。3年前に値上げしたばかりなので、売価へ転嫁できる環境にはありません。

 ケースバイケースですが、素材を変更し、価格的に競争力があるモノ作りをする必要もあります。親会社である日鉄住金物産の協力を得て、海外生産の活用も検討します。

 物流費の高騰に対応する必要もあります。これまでの習慣に従った物の流れにメスを入れないといけません。この3年間、適正生産量を学校ごとに検証してきました。この結果に基づく計画生産で、物流の合理化も図る方針です。

  ――来入学商戦の見通しを。

 原価、物流費の上昇圧力もあり状況的には厳しいのですが、増収増益を目指します。

〈トンボ 社長 近藤 知之 氏/関東市場、5年後売上高100億円へ〉

  ――2018年6月期決算はいかがでしたが。

 売上高は前期比4・0%増の284億円と3年連続で過去最高となりました。少子化やMC校が年々減少する中、18年の入学商戦で都市部の私学を中心に新規校を獲得できたことに加え、学販スポーツで過去最高となる260校以上の新規獲得ができ、厳しい状況の中でまずまずの結果を出せたと思います。

 経常利益はトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)の新設や、諸々のコストアップ、MCで発生した不良在庫の処理が増えたことで9・8%減の16億円になりました。ただ、決算の中身を良くすることで財務体質の強化が進んでいます。

  ――7月に東京支社(東京都台東区)を本社化し、岡山と東京の両本社制を敷きました。

 首都圏の学校では依然として私学を中心に制服MCが活発で都市部を固めないと今の事業展開では勝てないと考えています。東京での販売と企画の機能を一段と強め、関東市場全体で5年後には売上高を100億円規模にまで拡大したいと考えています。

 茨城県笠間市に物流センターの建設を進め、21年7月の開設を予定しています。

  ――来入学商戦については。

 獲得率としては前年並みで推移しています。スポーツも既に100校ほど新規を獲得し、これから採用がさらに本格化していきます。

 今後はますます市場での競合が激しくなってきます。“戦わずして勝てる”部分を増やしていかなくてはいけません。他社に比べ先行する昇華転写プリントではスポーツだけでなく、チアユニフォームや部活動など新たな市場開拓につなげ、設備投資も考えています。

 ニット化では耐久性や抗ピリング性などのニット特有の弱点を克服した新素材「ミラクルニット」を開発しました。避けては通れないニット化の流れの中で優位性を出していければと思っています。

  ――学校との関係強化も市場拡大の上でますます重要になっています。

 今年初めて実施した「学校体育着プリントデザインコンクール」では全国から7600通以上の作品の応募がありました。11月29日の「いい服の日」にちなんだ「アイデア・デザインコンクール」も今年は規模を大きくする予定です。さまざまなイベントを通じて学校や生徒への認知度向上につなげます。

※50音順で掲載しています