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2018秋季総合特集Ⅲ(13)/top interview ダイワボウレーヨン/繊維もやり方で成長産業に/社長 福嶋 一成 氏/レーヨンでSDGsに貢献

2018年10月31日(Wed曜日) 午後3時54分

 ダイワボウレーヨンの福嶋一成社長は業界でインパクトの大きい出来事として「ZOZOの社長が月へ行くという報道とユニクロの売上高2兆円超」を挙げ、「繊維産業が、やり方次第で成長産業になることを示した」と評価する。下半期(2018年10月~19年3月)以降は「レーヨンで国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する」とし「環境に優しい繊維としてのアピールを強める」方針を示す。

  ――繊維業界におけるインパクトの大きい出来事は。

 最近、ZOZOの前澤社長が月へ旅行に行くという話がセンセーショナルなニュースとして報じられました。片や、ユニクロは今期で売上高2兆円を超えるまでに成長し、この2社の飛躍は業界を超えて驚きを持って受け止められています。

 この2社はともに繊維製品を主力とする企業です。ZOZOは電子商取引(EC)販売の時流にうまく乗りましたし、ユニクロの業績で注目すべき点は海外売上高が国内を超えている点です。それぞれ成長市場にターゲットを絞って、時流に合ったビジネスモデルを展開している。繊維産業は斜陽産業のレッテルを貼られていますが、彼らのありさまを見て思うのは、やり方次第で成長産業になるということです。

 当社の直接関係するインパクトとしてはレーヨン製造工程に関する原料費の高騰です。衣料品はなかなか最終の売り値にコスト上昇分を上乗せできず利益が圧迫されています。米中の貿易戦争も影響があります。トランプ大統領の言動が当事者の2カ国間の政治問題にとどまらず、世界経済に影響を与えています。彼の言動に原油価格も反応して、ここ1カ月の急騰は当社工場の燃料コストアップにつながっています。4月から値上げをしていますが、それでは賄いきれないペースでコストが上がっています。

  ――上半期業績を振り返ると。

 レーヨン短繊維の販売は堅調です。不織布・衣料用ともにインバウンドや海外需要が旺盛なことが業績を下支えしています。中国向けの輸出については不織布分野で、美容・コスメ用途で高付加価値品が順調に売れています。7月までは順調でしたが、8、9月ごろから原材料高騰の影響が表れて、利益が落ち込みました。ただ、期初の頑張りのおかげで売上高、営業利益ともに計画通りの水準で折り返せそうです。

 米国へはマットレスの部材用と衛材用のレーヨン素材を輸出しています。マットレス用途は防炎機能を特徴としたもので前年並みです。同国でマットレスに難燃性の付与が義務付けられているところもあり一定の需要があります。近年、中国メーカーの価格攻勢も強まっているため、さらなる機能化に力を入れています。難燃を基本として防カビ機能や塩素フリータイプなど新たな価値を付けた提案を強めています。水解紙に関しても底堅く伸びていますが、価格競争が激しくなっているのが現状です。

  ――下半期以降の方針は。

 現状の国内の販売量を落とさずに収益の土台を作った上で、海外への供給を増やしていきます。特に力を入れているのが中国のローカル企業の需要を狙った不織布用レーヨンの販売量の拡大です。衣料向けも販売していますが、量を確保できるのは不織布ですので、まずこの分野での売り上げアップを優先します。

 下半期の業績は想定を超えるコストアップの影響で下振れは避けられない状況です。このままの状態が続くのであればさらなる値上げも検討せざるを得ない段階です。

 レーヨンのサステイナビリティー(持続可能性)という観点から見た優位性もアピールを強めたいと考えています。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)に具体的な形で貢献していきます。最近、欧米には自然環境への影響を無視する企業からは物を買わないという方針を打ち出す企業も出てきています。

 こうした時流をチャンスと捉え、レーヨンの木材由来ならではの生分解性や、使用する木材も持続可能な管理されたところから切り出しているといった強みをもっと発信して、環境に貢献する繊維と言えばレーヨンと言われるようにしなければなりません。

 新たに開発した撥水(はっすい)加工レーヨン「エコリペラス」は自然環境への配慮を付加価値とする機能レーヨンです。合繊100%の原料でなくても生地に撥水機能を付加できます。

 撥水性以外にもpHコントロール性や消臭機能もあります。従来、撥水機能を持った生地というのは合繊が主体でしたが、20~30%でもこの素材を合繊に混ぜることで多少なりとも環境に配慮した素材になります。使い捨ての衛生材の不織布用途で提案します。

 生分解性があるという本来の性質だけでなく、機能レーヨンのプラスアルファの要素として環境への貢献を付加価値として訴えていきます。こうした地道な提案を続けることでレーヨンのシェアを増やす戦略です。

〈私のお気に入り/高校時代の友人たち〉

 「僕、今月60歳になりました」と切り出した福嶋さん。同い年の友人には、教員として働く人もいて、還暦と同時に定年になる人も。そのため今年は節目の誕生日祝いも兼ねた同窓会が多い。思い出すのは高校時代。当時、福嶋さんは陸上部で短距離の走者だった。「部員の一人は幼稚園からの友達で、断トツに足が速く卒業後、モスクワ五輪の日本代表メンバーにもなった」と言う。「厳しい指導の中、切磋琢磨した仲間たちが僕のお気に入り。今でも仕事の話を抜きに何でも語り合える。貴重ですね」

〔略歴〕

(ふくしま・かずなり) 1982年大和紡績(現ダイワボウホールディングス)入社。蘇州大和針織服装総経理や第一事業本部国際開発部長を経て2011年ダイワボウホールディングス戦略事業推進室長、13年ダイワボウレーヨン専務、16年6月から大和紡績取締役兼ダイワボウレーヨン社長。