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2018秋季総合特集Ⅳ(11)/top interview 宇仁繊維/トレンド変化を好機に/社長 宇仁 龍一 氏/人材強化が最優先課題

2018年11月01日(Thu曜日) 午後4時7分

 創業20期目だった宇仁繊維の2018年8月期は、単体売上高が前期比0.6%増と伸び率に陰りが見えた。前の期に大きく伸ばした輸出が当期はやや苦戦し、国内アパレル市況の元気のなさも回避できなかった。今期はジャカードやデジタルプリントの大幅増強戦略をさらに進めて開発生地の高級化を図り、将来を担う幹部や役員候補生の育成、登用にも力を注ぐ。宇仁龍一社長に話を聞いた。

  ――業界、あるいは貴社事業にとってインパクトのある事象とは何でしょう。

 日本経済は好況が続いていて、明らかに景気のいい業界も多い。でも、衣料品業界は良くない状況が続いていますよね。衣食住の衣がこれでは駄目です。ただ、来年中には衣料品トレンドの大きな変化が起こるのではないかと予測しています。自動車のデザインもここに来て大きく変わっています。フロントグリルがかつてないほど威圧的で迫力のあるデザイン、形状になっていることなどです。衣料品と同じく自動車にもデザインの周期がありますが、ここまで大きく変化したことはかつてなかったのではないでしょうか。

 一方、ここ数年、衣料品のトレンドに大きな変化が見られません。このことが、来年中に大きなトレンド変化があるのではないかという予測の背景です。

 その際に、いかに当社が流れに乗ることができるか。それがポイントです。ただしその自信はあります。備蓄機能や多品種少量機能を追求してきましたし、近年はデザイン力、企画力も向上していると自負しています。

  ――2018年8月期を振り返ってください。

 創業時の変則決算も含めて20期目でした。単体売上高は前期比0・6%増の75億円。本当はもう少し伸ばしたかったのですが、これまで伸びていた輸出が0・2%減と伸ばせなかったことや、国内アパレル市況の悪化により、苦しみました。利益はいずれも増加しました。営業利益が93・2%増の1億8900万円、経常利益が60・3%増の2億9100万円でした。増益には、見本反生産方法の見直しや各種コスト削減が寄与したほか、デジタルプリントやジャカードといった生地の高級化戦略も奏功しました。

 子会社は、宇仁テキスタイルが売り上げ11億円で前期比9・6%増、経常利益は5400万円で28・6%増でした。丸増は増収増益、ウインザーは増収ながら赤字が残り、オザキプリーツは増収、利益横ばいです。

  ――柄物トレンドが貴社事業の後押しとなる見込みでした。

 プリントは3%ほど増えましたが、その分、無地・レースが3%減りました。販路で言えば、百貨店ブランドの攻略を方針としていましたが、なかなか思うように進みませんでした。SPA系やセレクトショップ系は深掘りができました。

  ――21期目となる19年8月期の重点方針は。

 生地の高級化を引き続き推し進めます。設備の貸与や専有ライン化などでジャカード織物を一気に増強する社内プロジェクトを前期に続いて推進するとともに、デジタルプリントも柄開発を加速して一気に増強します。裏地用途の拡大や麻複合の拡充、ユニフォーム向けの拡大などにも取り組みます。

  ――数値目標は。

 単体売上高は80億円を目指します。市況は非常に悪いのですが、輸出を再び拡大基調に乗せ、国内向けも大手アパレルへの提案強化、生地の高級化でなんとか伸ばしたいと考えています。

  ――その先に単体売上高100億円も見えてきます。

 できるだけ早めに到達したいと常々考えてはいるのですが……。ただ、この目標は諦めませんし、そのためにも幹部や役員候補の育成、登用を進めます。

  ――来年の4月1日には創業20周年も迎えます。

 まだ詳細は決めていませんが、大きな節目ですので、何らかのイベントはやりたいなと考えています。

  ――貴社は国産にこだわるという戦略上、産地との関係が深いわけですが、各産地で納期遅れが頻発している状況をどう見ますか。

 国内繊維産業全体が厳しい状況に置かれていますが、産地は特に厳しいですよね。例えば当社と深い関わりのある北陸産地では人手不足、スペース不足が顕在化し、受注はあるのにこなせないという状況も発生しています。これによりもう一段海外シフトが進む恐れもあります。産地の分業体制にさまざまなひずみが出ているわけですが、当社は産地とは一体。さらに関係を強固化していきます。

 ジャカードプロジェクトでは、北陸や播州などでジャカード織機を一気に増強します。産地企業の自立・自販も応援したいし、こうしたプロジェクトによって少しでも産地が活性化してくれればと思います。

〈私のお気に入り/社員とワイワイする時間〉

 宇仁さんはいつも朝5時半に起床し、新聞を読む。かける時間は1時間半。その順番にもルーティンがあり、まず読むのが本紙「繊維ニュース」(ありがとうございます)。続いて繊研新聞、日本経済新聞、朝日新聞という順番だそう。「読まないと不安になる」と宇仁さん。出張時にたまった新聞も帰宅後にしっかりと読む。ただし、この時間は習慣であり、お気に入りとは少し違う。お気に入りの時間は「若い社員たちとワイワイ話すこと」。「ワイワイがガミガミに変わることもよくあるが」と笑う。

〔略歴〕

(うに・りょういち) 1999年桑村繊維を退職後、44年余りの経験、実績を基に一部商権と商品を引き継いで宇仁繊維を創業。