第8回日中韓繊維産業協力会議/連携して共に発展の道を

2018年11月16日(金曜日) 午前11時44分

 日中韓繊維産業協力会議が5日、中国・西安で開かれた。2010年から毎年、各国持ち回りで開催しているもので、今回で8回目となる。各国の繊維産業の現状について報告し合った後、①繊維産業の通商問題②サステイナビリティー③ファッション&テクノロジー――の3テーマで意見交換し、合意書(別掲)を交わした。次回は来年11月に韓国での開催が予定される。会議冒頭での各国代表団長のあいさつ(要旨)を紹介する。

〈日本繊維産業連盟 鎌原 正直 会長/世界の繊維産業をリードする気概で〉

 世界経済は成長を続けていますが、今後も各種のリスクを乗り越えて、世界経済の成長持続のためには、貿易の持続的な成長を促すような協調的な解決策を見つけていくことが必要と考えます。IoTやAIの導入とそれを活用した企業行動の変革などを意味する「第4次産業革命」は世界の潮流となってきています。

 日本経済にとりましても成長率を押し上げるために改革を進めていく重要性が問われていると考えています。このような環境下ではありますが、通商面では広域経済連携の交渉が進み、この機会に世界市場に向けた商流をさらに拡大し、需要創造につなげるチャンスであると考えています。

 本日の会議におきましても率直かつ高いレベルの意見交換を期待しております。第一に、通商問題です。世界各地で広域経済連携が加速している中ですが、一方で保護主義への動きもあります。日中韓3カ国は世界の繊維先進国、そして世界最大の繊維産業集積地であることを強く意識し、繊維業界自らがFTA/EPAの意義と効果について検証して、積極的に推進していく必要があります。今回からテーマを「通商問題」として、日中韓繊維業界の共通の関心テーマである海外投資についても前回同様に積極的な情報交換を期待しています。

 第二に、世界の繊維製品市場における環境・安全問題をはじめとするサステイナビリティーへの関心の高まりを踏まえ、3カ国の繊維業界が連携して対処していく必要があります。3カ国の業界同士が協力して、消費者からの厳しい要求に応えていくことが、今後の繊維産業の発展につながると確信しています。今回からテーマも「サステイナビリティー」としたセッションでは、ぜひともこうした観点からの積極的な情報交換、意見交換を期待しています。

 そして第三は、「ファッションテック」、ファッションとテクノロジーの議論です。全世界が成長するアジア市場を注目する中、ファッションアパレルのサプライチェーンで最新のテクノロジーを駆使したビジネスモデルの構築が必要とされると考えています。3カ国は、それぞれの立場から最新のテクノロジーを活用したファッションビジネスについて、後半のセッションで積極的に意見交換していただきたいと思います。

 日中韓の繊維業界はパートナーであり、共に成長、発展できるよう手を携えて協力し、世界の繊維産業をリードしていく気概を持って、相互のさらなる信頼関係をぜひ強化していきたいと思います。

〈中国紡織工業聯合会 孫 瑞哲 会長/発展の不確実性に協調対応〉

 現在、世界は百年に一度あるかないかの重要な局面を迎えており、世界は多極化し、経済のグローバル化が進んでいます。

 一方、それぞれの要素間の相対的な重要性や、異なる国家間での資源の賦存量の優位性にも明らかな変化が生じ、世界の分業体系にも構造的な調整が行われ、その結果、世界の貿易関係はますます複雑になってきています。各国の産業同士で互いに理解と信頼を深め、貿易とイノベーションにおける協力関係を強化することはさらに重要性を増してきています。

 それにもかかわらず、一部の国はこうした変化に対応できず、目の前の利益に目を奪われて国際ルールを顧みずに一国主義や保護主義、また経済覇権主義的なやり方を推し進め、世界中で頻繁に貿易摩擦を引き起こし、その結果、世界のサプライチェーンの健全性が損なわれ、世界経済は日増しに強まる下押し圧力に直面しています。

 こうした中、中韓日繊維産業協力会議を開催することは、私たち3カ国の繊維業界の相互の理解や信頼を深めることや貿易交流の活発化に対して極めて重要な現実的意義を持っています。また、今後の発展の不確実性に対する協調的な対処を促進する上でもそれが言えます。

 事実、中国は貿易摩擦の矢面に立たされながらも、さらに開放的な姿勢で経済の健全な発展のためにこれまで積極的に行動し、政府は開放拡大と輸入拡大措置に一段と力を入れてきました。これは世界の繊維産業に大きな発展の機会をもたらしています。

 業界という視点から考えると、中国の繊維産業は既に高品質への発展段階に差し掛かっており、科学技術、ファッション、環境配慮という着眼点からの転換・レベルアップを加速させています。

 規模の大きさ、整った体系、発展規模の差といった要因により、中国の繊維工業の転換はさまざまな階層、カテゴリーに関わる技術、製品、サービスに非常に大きな需要をもたらすため、協力できる分野も多くあります。

 私たちは、各国の繊維業界との協力関係をより確固たるものとし、市場の発展を共に享受していきたいと心より望んでおります。

〈韓国繊維産業連合会 成 耆鶴 会長/「持続可能性」の競争力を高めよう〉

 世界経済は2016年の不況期から抜け出して、17年は確かな回復基調となり、18年にはそれを維持する動きを見せています。

 しかし、国際原油相場は上昇し、米中貿易摩擦が長期化する様子や米FRBの金利引き上げを含め、米国と主要新興国間の政治的なもつれなどにより新興国の通貨価値が急落したりもしました。EUも英国の離脱問題を抱え、世界経済が不安な姿を見せています。

 特に、中国と循環的貿易構造を持っている韓国や日本にも米中の通商摩擦は少なからぬ影響を与えています。

 その一方で、世界貿易は、メガFTAであるTPP11の発効が決まり、日本とEUのEPAが署名されるなど自由化の波で巡航しています。

 韓国繊維産業の生産・投資はいずれも減少し、企業の利益は停滞し、輸出より輸入増加率が高く貿易の赤字幅は次第に拡大されています。

 その中で幸いなのは、韓国が中米5カ国とFTAを締結し、米国ともFTA改定交渉で妥結し、市場の不安要因が取り除かれたことです。

 北朝鮮との状況を見ると今年2月の平昌冬季五輪をきっかけに南北、米朝首脳会談開催へとつながってきました。今後、北朝鮮の非核化が進展し、米国の経済制裁が解除すると、北朝鮮は韓国にとって新しい機会として浮上してくると考えられます。

 グローバルな繊維ファッション産業の最大の話題は「持続可能性」とファッション産業においてのビックデータ、AI、IoT技術に連携した新しい技術革新であると思います。

 今後、繊維産業では「デザイン→製造→使用後の廃棄」の単純なプロセスではなく「デザイン→製造→使用→リサイクル」という循環型プロセスが求められると思います。

 これからの韓日中繊維ファッション業界の間でも「持続可能性」分野でグローバル競争力を付けるためにいかなる共同対応方法があるか、活発な議論が行われることを期待しています。

 このような革新技術とファッション産業の融合に関わる成功事例についてお互いに情報交換や議論を通じて協力していきたいと思います。

〈合意書(抜粋)〉

 1、【繊維産業の通商問題】日中韓繊維業界は、貿易動向と海外投資について情報交換を行い、3カ国間での協力を深めることについて議論した。日中韓繊維業界で情報の交換と共有を強化し、関連分野の研究を進めていくことで合意した。日中韓繊維業界は、RCEPおよび日中韓FTAの早期発効により高いラベルでのアジアにおける自由化がさらに進むことが、3カ国の繊維産業にとって有用であることを再確認した。

 2、【サステイナビリティー】持続可能な開発という考えの世界的な広がりと持続可能性に対する関心の高まりに鑑み、日中韓繊維業界は、繊維産業の持続可能な発展について共通理解を図り、強固な協力関係を築き、報告すべき情報の共有を促進し、日中韓の繊維産業の交流とサプライチェーンのガバナンス強化を共に進めることで合意した。

 3、【ファッションテック】日中韓繊維業界は、ファッション&テクノロジー分野の最新動向を紹介し、デジタル技術に焦点を置いた取り組みについて報告するとともに、将来の動向について議論した。今後は、情報交換を進めることで、将来に向けて協力の可能性を模索することで合意した。