新ステージへ第一歩 JBKS2018(後)

2018年12月20日(木曜日)

新たな切り口で勝負

 「進化していると実感した」――「ジャパン・ベストニット・セレクション(JBKS)2018」の会場を訪れた日本繊維産業連盟の鎌原正直会長は各社のブースを見て、そのような感想を漏らした。JBKSは次のステージに向けて歩みを進めているが、出展企業各社も新たな取り組みを加速している。

 今回展で特に目立ったのは小物・雑貨類の提案だった。衣料品と比べると使用する糸量やサイズの制約が少なく、納期も異なることから「比較的挑戦しやすいカテゴリー」(出展企業)であるのが大きな理由。既存顧客の展開アイテムとバッティングしにくいことも各社の背中を押す。

 エフアイニット(富山県高岡市)は、「ホールガーメント」横編み機で生産したバッグを打ち出した。糸と加工の組み合わせで伸縮性のない、硬い風合いに仕上げているが、「ニットが伸びるという概念を覆したかった」と話す。新しい切り口としてアパレル以外のセレクト系に仕掛ける。

 多種多様な製品を展開するケンランド(山形市)はトートバッグなどを並べた。リネンと漆を組み合わせることで自立できるほどしっかりとした風合いの製品に仕上げている。初出展のスズニット(富山県南砺市)は天然繊維と合成繊維の複合による帽子をメイン商材とした。

 各社に共通するのは独自性の高い商品を生み出そうとする姿勢。ニットネクタイを商品化したニットオカザキ(山形県寒河江市)はファンシーヤーンを用いて編み立てることで意匠性を持たせている。大三(福島県伊達市)はジャカードを中心に色と柄で差別化を図っている。

 ファクトリーブランドの展開も新たな挑戦。青文テキスタイル(山形県米沢市)は、約140年の歴史の中で初めて自社ブランドを立ち上げた。商品はストールやブランケットを用意し、「ニトリト」と名付けた。「極力縫製はしたくない」との考えから、ウールをフェルト化してほつれにくくし、切りっ放しを可能にした。

 そのほか、ニット糸の綛(かせ)染めなどを手掛ける石川染工(山形県山辺町)がニット用先染め糸の販売を始めている。糸商との連携による新ビジネスとなり、17素材を扱う(うち5素材が自社で染めた糸)。ハイバルキーアクリルとウールの複合糸などをそろえ、見本帳も用意している。

 国内のニット産地は海外製品の流入によって往時の勢いをなくしている。ただ、業界の再活性化に向けてJBKSは新ステージへ変革を遂げようとし、ニット企業も反転攻勢への一手を打つ。いずれもスピード感を持って前に進んでいると言え、次回展が楽しみになってきた。

(おわり)