KanFA 次代への継承(19)

2018年12月21日(Fri曜日)

フェルメール社長 山田 友己 氏

見て覚えなさい

 父親である山田賢一氏が設立した、婦人服製造受託のフェルメール(大阪市西区)。自社ブランドでの展開には全く興味を示さず、得意の横編み製品を中心とする製造受託に特化した同社の後継者は、長女の友己氏だ。ただ、両親は彼女に服の作り方をあえて教えなかった。

  ――入社の経緯を。

 家業を継ぐつもりはなかったのですが、小さい頃から服が好きだったので、大学を出て大阪の婦人服アパレルに就職しました。百貨店への営業サポートなどを担当させてもらい、楽しかった。ところがその会社が4年後に、民事再生法の適用を申請します。それを機に辞め、知人の仕事を手伝ったりしながら次の仕事を探し、結果的にフェルメールに入ることにしました。

  ――それまでは、ご両親とパートで運営されていたのですよね。

 父は当時、専務の肩書でフェルメールを経営しており、名義上の社長は祖母が務めていました。しばらくしてその名義は祖母から私に代わりました。

  ――入社後に、服の作り方をご両親に教えてもらったのですか。

 いいえ。見て覚えなさいというのが両親の方針です。

 まずは、ベルトやネックレスなどの服飾雑貨を作ることから始めました。アパレルや通販に行って注文をもらい、工場を自分で探して作ってもらいました。韓国や中国にも探しに行きました。納期遅れが発生し、眠れぬ夜を過ごしたこともありました。関空で荷物を受け取って、車の中で値札付けして納めたこともあります。

  ――服作りの方は。

 母に勧められて専門学校に2年間通いました。仕事を継続しながらです。授業の合間に得意先や工場と電話で打ち合わせし、学校が終われば会社に戻って仕事をし、夜に学校の課題をこなしました。その後3年間、こちらは週1回ですが、パターンの専門学校にも通いました。

  ――今後の夢を。

 当社は大阪府摂津市に自前の横編み工場も保有しています。この工場を活用した質の高い国産品への需要が高まることを期待しています。

継承していく人たちへ

 山田さんからのアドバイスは「続けること」。「服が好きだから、この仕事を続けられる。そして、この先どうなるかは、続けてみないと分からない。これまでもそうだったが、続けているといいことがある。ご褒美がやって来る」と自分に言い聞かせるように語った。「私は人に恵まれ、助けられてきた。だからこそ続けていられるので、感謝している」とも。

(毎週金曜日に掲載)