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特集 産業資材向け繊維機械/自動化・省人化のニーズ高まる

2018年12月21日(Fri曜日) 午前11時48分

 自動車向けや土木・建材向けの繊維資材の生産が旺盛な中、産業資材向け繊維機械への注目度が高まる。特にここに来て日本国内だけでなく新興国でも人件費上昇と人手不足が深刻化。このため自動化や省人化へのニーズが高まってきた。こうした動きも含めて最新動向を紹介する。

〈「ITMAアジア」でも焦点に〉

 10月に中国・上海で開催された国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME2018」でも産業資材向け繊維機械が一つの焦点となった。

 例えばイテマやピカノールは広幅タイプのレピア織機を実機出展し、土木資材や農業資材といった用途への提案を進めている。日本では伊藤忠システックが販売するザームの糸樹脂加工機といったユニークな機械も注目された。欧州で開催される「ITMA」では産業資材用途は主要なカテゴリーとなって久しい。こうした流れが、これまでアパレル用途が中心と思われていた「ITMAアジア」にも及んでいる。

 自動化・省人化も需要なテーマとなる。ストーブリの準備機械や福原産業貿易の反物搬出自動化システムなどへの注目も高かった。

〈準備機械で自動化を支援/ストーブリ〉

 ストーブリは産業資材向け製織分野で自動ドローイング機やタイイング機の提案を強化する。産業資材製織分野でも一段と高まる自動化・効率化ニーズへの対応を進める。

 ストーブリの準備機械や電子ジャカードは産業資材製織分野でも豊富な実績を持つ。特に最近は世界的にハイテク機器や自動車の生産が拡大していることから、電子基盤などに使われるガラス繊維用の準備機械やエアバッグ製織用の電子ジャカードの販売が好調に推移した。

 エアバッグ向け電子ジャカードでは、織機とジャカードの動力を別にする独立駆動方式の採用も増えた。電子ジャカードの大口化が進んだことで独立駆動方式の安定した動力供給が評価され始めた。

 こうした中、産業資材製織でも人手不足で自動化のニーズが高いことから、引き続き準備機械の提案に力を入れる。自動ドローイング機「サファイアS30」「サファイアS40」とタイイング機「マグマ」を重点提案する。いずれの機種も稼働データの出入力を共通フォーマットで対応しているため、モノのインターネット(IoT)にも対応可能な機種として打ち出す。

〈注目のヤーンコーティング機/伊藤忠システック〉

 伊藤忠システックは繊維機械商社として国内のユーザーに対して海外のユニークな機種を提案し続けてきた。これは産業資材用途でも変わらない。最近ではザームのヤーンコーティング機「ヤーンスター3+」への注目が高まる。

 ヤーンスター3+は射出成型の技術を応用して糸表面に樹脂コーティングするシステム。さまざまな樹脂をコーティングすることで糸に機能性を持たせることができる。現在は主にシェード材などインテリア用途での採用が多いが、そのほかにも可能性が秘められている。

 同社はこれ以外にもさまざまな産業資材向けソリューションを提案する。織機ではドルニエの積極レピア織機などが代表的。高性能繊維の製織で圧倒的な能力を持つ。10月の「ITMAアジア」には取引先を対象とした視察ツアーを実施し、国内メーカーが扱っていない工程の機種を中心に海外メーカーの機械を多彩に提案した。

〈筬幅5.4メートル機を投入/イテマ〉

 イテマは、農業資材や土木資材製織に向けて、「ITMAアジア」でも実機披露したレピア織機「R9500」の筬(おさ)幅5・4メートルタイプを投入する。

 同社は産業資材向け広幅製織ではプロジェクタイル織機で圧倒的な実績を持つ。一方、メカニカルな機構で構成するプロジェクタイル織機に対して、より電子化された操作性の高い革新織機を求める声も多い。こうした声に応えるソリューションとしてR9500の広幅タイプを用意した。

 ガイド付きバンドレピアによる緯糸挿入機構によって、同社のプロジェクタイル織機とほぼ同等の製織性能を実現している。ITMAアジアで実機紹介したところ注目は高く、国内の機業からもテストの要望が寄せられた。

 同社の産業資材向け織機販売は2018年も堅調に推移した。19年も大きな変調はないとの見通しを示す。引き続き土木資材など重布系の製織用途を中心に高剛性など同社のR9500の強みを打ち出した提案を進める。

〈広幅レピア織機で高速化/ピカノールとエディー〉

 ピカノールのレピア織機「オプティマックス―ⅰ」が産業資材製織用途で注目を浴びている。日本販売代理店のエディーによると2019年も国内で新たな導入が決まったもようだ。

 ピカノールは10月の「ITMAアジア」でもオプティマックス―ⅰでアラミド繊維の製織を実演した。毎分500回転で製織を実演したことで、高速製織への反響が大きかった。そのほか筬幅5・4メートルのガイド付き積極レピア方式もラインアップするなど産業資材分野への提案に力が入る。

 こうした動きは日本でも進む。エディーによると19年も広幅タイプで新規導入が決まっていると言う。これまで低速で製織していた機業がオプティマックス―ⅰを導入することで高速製織による生産性向上に取り組む動きが加速する。積極レピア方式のため、多様な糸種に対応できる点も評価が高い。

 エディーではベルギーのピカノール本社との連携も強化し、日本での技術サポート体制の拡充にも取り組んでいる。

〈スペーサーニットに注目/福原産業貿易〉

 福原産業貿易のダブルニット両面選針電子柄編み機がインテリア資材のほか、産業資材向けスペーサーニットの編組でも注目されている。

 同社のダブルニット両面選針電子柄編み機は現在、マットレスカバーの編組で高い評価を得ている。従来は欧州での販売が中心だったが、ここに来て中国でも導入が相次ぐ。高い生産性で多彩な柄表現が可能なことが理由。

 加えてダブルニットの応用でスペーサーニットの編組でも注目が高まってきた。3次元構造を生かした産業資材用途で引き合いが寄せられており、さまざまな要望に応える汎用性の高い機械提案が同社の強みとなる。

 資材用途ではそのほか、貼布剤基布などでも同社の丸編み機は豊富な実績を持つ。また、自動車用途を中心に合成皮革の需要が高まり、その基布の編組でも同社の丸編み機は活躍している。

 このためアパレル・インテリア資材用途と並んで産業資材用途への提案にも引き続き力を入れる。特に産資分野は生産性の高さが求められることから、こうした性能を重視した開発を進める。

〈テンション制御装置に強み/イズミインターナショナル〉

 イズミインターナショナルは、ガラス繊維や炭素繊維など伸度の少ない繊維の製織に欠かせないテンション制御装置で豊富な実績を持つ。こうした実績を生かして、引き続き中国などを中心に需要の掘り起こしを進める。

 同社は現在、テンション制御装置「TOP1000」と「TOP5000」を主力とし、ここ数年は好調な販売が続いた。ガラス繊維織物は電子基板が主要用途。スマートフォンやタブレットの普及などで基盤が薄地化・小型化しており、極細繊度糸による製織の需要が高まる。こうした細繊度ガラス繊維の製織では、高度な張力管理が求められる。

 同社は約20年前からデジタル制御方式を導入しており、操作性の高さも高評価の理由となる。10月の「ITMAアジア」にも出展し、有力ユーザーのほとんどがブースに来場するなどユーザーとの取り組みも進む。

 ここに来てガラス繊維製織の設備投資はややピークアウトしているが、依然として中国を中心に更新需要が存在する。こうした需要の掘り起こしを進める。