特別インタビュー 東レ 日覺 昭廣 社長(後)

2019年01月07日(月曜日)

2030年に売上高5兆円へ/インドなどが原動力に

  ――2019年3月期に東レの繊維売上高が1兆円に到達する見通しです。

 繊維事業は今後も年間10%は最低でも成長させたいし、可能だと考えています。なぜなら東レの繊維事業は、高機能品や省エネに資する製品をはじめとする伸びる分野、必要とされる分野に向かっているからです。そうした分野のニーズに対応するには新しいモノを作りだす力が必要であり、その力を有している企業は限られます。

 素材産業には技術の蓄積が不可欠と言え、それが組立産業との大きな違いです。売り上げの規模の面では組立産業と比べると小さくなりますが、社会に与える影響は全く変わりません。2020年度近傍に売上高3兆円を一つの目標にしているのですが、自動車メーカーや家電メーカーで言うと15兆円から20兆円に匹敵します。

  ――売上高3兆円の次のビジョンは。

 「30年に5兆円」という数字が視界に入ってくるのですが、組立産業に置き換えると30兆円規模になります。世の中が必要としている素材を開発して提供するのですから到達は不可能ではありません。この時には繊維の売上高も2兆円に到達しているでしょう。糸わた・テキスタイル・製品一貫型ビジネス、エアバッグなど現在投資している重点分野がけん引役になります。

  ――5兆円に向けてターゲットとするエリアや分野は。

 インドが中心になってくると思います。人口が多く、自動車の台数もたくさんあり、可能性が大きい。一方でアフリカはまだまだかなという気がします。分野ではライフサイエンス(メディカル)が伸びてくると予想しています。20年代の成長エンジンはインドやライフサイエンスが担うことになるでしょう。

 一方の東レ本体は売上高6千億円をキープし、400億円程度の利益を出して研究開発の投資を行っていきます。研究開発をおろそかにすると5年後、10年後はなく、積極的に取り組みます。売上高が大きく伸びるのは海外の子会社になります。30年を前に100周年を迎えますが、ニーズのあるところに革新的な材料を提供して、世の中を変えていくという姿勢は変わることはありません。

  ――事業は順調ですが、悪くなった時のための対策は。

 後の不況に備えてではなく常に体質強化を図っており、現中期経営課題“プロジェクトAP―G2019”では3年間の合計で2200億円という徹底的なコスト削減を進めています。また「将来に大きくなる事業だから固定費を伸ばしてもいい」といった考え方は捨てています。「好況時の不況対策」ではなく、繰り返しになりますが、われわれは「常に不況対策」に取り組んでいます。

   ――環境対策やSDGsへの対応はどうされていますか。

 これは東レの経営理念であり、事業活動として取り組んでいることはSDGsそのものとも言えます。欧米企業がことさらアピールするのは、搾取してきた歴史があるからではないでしょうか。日本では外国人技能実習生の問題もありますが、不正が生じる原因がどこにあるかを捉えないと何一つ解決しません。

(おわり)