アパレルトップインタビュー2019③

2019年01月09日(水曜日)

TSIホールディングス 社長 上田谷 真一 氏

セールありきのMD刷新へ/脱チャネル戦略にも着手

  ――現在の衣料市場をどう見るか。昨年5月の社長就任以来、販売スタイルの見直しを宣言している。

 暖冬で秋冬のコート商戦は厳しく、天候不順の影響を受けた。しかし、気候変動がなくても、当社のMDサイクルを見直すタイミングだったと認識している。セールの前倒しやセール期間の横並び、最近ではオンライン販売でのセールも加わり、値引きありきでMDを組んでしまっている。つまり、プロパーで購入している大切なユーザーに対し、損をさせている。大量に作って売り減らし、最後はセールにかけるという負のサイクルを変えたい。セールでも損をしない価格であれば原価率が低くなるのも当然で、適正な原価と売価で適正な季節に売っていきたい。できるブランドから着手する。

  ――上半期(3~8月度)は増収減益だった。昨年12月までのビジネスを総括すると。

 良くも悪くも想定内の動きだった。物流やシステム投資を含め、アパレル業界が変わらないと生き残れないのはよく分かった。利益を出しながらバランスを見て改革するしかない。ただドラスティックに組織を変えるのではなく、一つ一つ切り分けて着実に効率化を図っている。

  ――今期のチャネル別政策については。

 そもそもチャネル別、ブランド別という考え方でいいのか。傘下のセレクト業態「ローズバッド」の業績が回復したのも、ファッションビルというチャネルありきの戦略ではなく、買い付け商品が約50%というエッジの利いた商品が支持を集めたからだ。ファッションビルではプライベートブランド(PB)が主力になるケースも多いが、こうした従来型のカセットにはめ込む必要はない。また「マーガレット・ハウエル」など百貨店、ファッションビルの両方へ出店するブランドも増えている。

  ――一方で撤退する百貨店ブランドも明らかにした。

 百貨店市場はまだオーバーストア、オーバーブランド状態だが、どこかで下げ止まるだろう。縮小均衡で生き残るブランドを考えたとき、(東京スタイルで展開する)婦人服の「ヴァンドゥー・オクトーブル」「アリスバーリー」は将来性がないと判断した。こうしたミセスのベターゾーンは得意ではないし、アパレル同士での競合も多い。今後は、都会的でターゲットを絞ることができる「ピンキー&ダイアン」「ボッシュ」などで勝負する。

  ――自社で運営する電子商取引(EC)が伸びている。

 自社サイトのEC比率は全体の3分の1になっており、近いうちに50%を超えるだろう。ECのプラットフォームにも資金を投入し、使いやすい形にアップデートしている。自社サイトで顧客化を図り、実店舗にも送客している。これもチャネルで区切るのではなく、シームレスをイメージしている。