KanFA 次代への継承(21)

2019年01月11日(Fri曜日)

サクラ衣料 取締役 用正 元嗣 氏

入社の翌月に事業部長が……

 サクラ衣料(大阪市淀川区)は、衣料の2次卸で創業し、その後自社企画の革小物の小売・卸売事業に乗り出した。ところが、2代目社長である用正茂氏の長男、元嗣氏(38)が同社に入社した翌月、その革小物事業を率いていた事業部長が突然辞めてしまう。別の新たな事業を構想していた元嗣氏は、革小物事業の立て直しに奔走することになる。

  ――大学卒業後は。

 通販のニッセンに入社しました。家業を継ぐ気はありましたが、父は継げとは言いませんでした。当時は服の2次卸が中心で、その事業が厳しくなり、最盛期に50人いた従業員も40人前後に減っていました。継げと強く言わなかったのはそのせいかもしれません。

 ニッセンでは、顧客の購買履歴などのデータを分析し、受注予測などを行うチームに配属され、統計解析ツールの使い方などを一から勉強させてもらいました。新たに立ち上がったギフトサイトの運営も担当しました。

  ――サクラ衣料に入社した経緯は。

 ニッセンに勤めて9年になった頃、父である社長から「そろそろどうか」と誘われました。やらねばならない仕事が残っていたので1年半待ってもらい、2013年に入社しました。

 2次卸ではこの先難しくなると予想。ライフウエアをコンセプトとした衣料を作ろうと思い、サンプルの制作を依頼しました。ところが、入社の翌月、自社企画の革小物を小売りする「ヒラメキ」事業部を、社内ベンチャー的に立ち上げた事業部長兼デザイナーが突然辞めてしまう。

 私が引き継がなければいけないと思い、ライフウエアを販売することを断念。制作を依頼していたサンプルは買い取り、秋に予定していた展示会の会場もキャンセルしました。

 ただ、ヒラメキのことは何も知らない。スタッフの信頼を得るには結果を出すことも必要なので、3年以内に業績を一番良かった時の状態に戻すという目標を立てました。

 店は大阪にだけあったのですが、福岡にも出店。加えて、全国の百貨店を一人で飛び回って催事に参加しました。1週間で、店の1カ月分に相当する売り上げを計上したこともあります。催事会場で出会った方が、「メガネのお兄さん(元嗣氏)の接客が良かった」と大阪の店に来られたこともあります。

 結果、最良だった時の状態に3年以内に戻すという目標を達成できました。

継承していく人た 

 ちへ

 「家業を継いで何をするのかを、誰かに見つけてもらおうとしていた。一定の枠の中で仕事をしようとするサラリーマン根性が染み付いていた」と用正さん。自身に問い掛け、たどり着いた結論は「やり切る覚悟を持つこと。しかし好きでないとその覚悟は続かない。逆に言えば好きなことをやっていい」というものだった。

(毎週金曜日に掲載)