明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編①

2019年01月11日(Fri曜日)

松尾捺染 手捺染並みの精度

 繊維業界のキー・インダストリーとされる染色加工分野。この分野には個性的な企業が多数存在する。これら企業の技や目指す方向を連載する。

(毎週金曜日に掲載)

 ハンカチのように四角く小さな製品の場合は特に、柄の傾きが気になる。松尾捺染(大阪市中央区)は、その傾きがほとんどないように織物や編み地にプリントする技術を持つ。傾きの度合いは基布が編み地であっても1%以内で、機械捺染でありながら「手捺染並みの精度」と松尾治社長(70)は言う。1926年の創業以来92年間、四角い製品へのプリントを手掛けてきた同社ならでの技だ。この技を生かし、ハンカチをはじめトートバッグ、風呂敷、手拭いなど、四角い製品用の生地へのプリントを受託してきた。

 同社にはもう一つ、珍しい特技がある。リピートが非常に長い柄のロータリースクリーンプリントが可能なことだ。ロータリーのリピートは普通641㍉だが、それに加え725㍉(7配色可)、819㍉(同)、914㍉(16配色可)にも対応できる。641㍉以外の柄彫刻用シリンダーは、オランダから取り寄せていると言う。これらに彫刻するための前処理設備も同社が購入し、彫刻を委託している業者に提供した。

 ただ、これらの特技をもってしても、プリント受託事業の縮小を止めるには至っていない。ところがこの9年間、年商は横ばいで推移している。2018年8月期も7億2千万円の売上高を確保した。減収にならないのは、4年前から本格化したB2C事業が拡大しているからだ。

 同社は4年前に、自社でプリントした手芸用生地の自販に本格的に乗り出した。その売上規模は4千万円に達した。楽天を中心に、百貨店催事や同社の本社所在地に設けたパイロット店「船場盛進堂」で小売りするほか、手芸用品店、手芸関連ムック本発行会社への卸売りも行っている。販売している柄数は実に1500。ただし、在庫は必要最小限にとどめ、自ら工場を持つ強みを生かして、不足すればすぐに作る体制を敷いている。

 アロハやムームーなどの縫製品の自販も、生地自販と同時期に本格化させた。こちらは自社サイトのみでの販売だが、その売上高も年々拡大し、2千万になった。今後も、生地や製品の自販事業の拡大を図る。

社名:松尾捺染株式会社

本社:大阪市中央区博労町1-2-5

代表者:松尾 治

主要設備:フラットスクリーン捺染機3台、ロータリースクリーン捺染機1台、インクジェットプリンター2台。年産能力は260万~300万㍍

従業員:45人