アパレルトップインタビュー2019⑨

2019年01月18日(金曜日)

ワコール 社長 伊東 知康 氏

70周年、自ら変える年に/4月に新中計スタート

  ――貴社にとって今年はどのような位置付けにあるか。

 日本は2008年をピークに人口が減少に転じた。65歳以上の人口比率は25%を超え、今後も高齢化は進む。こうした消費者の構成比率の変化に加え、近年の情報技術の発達は目覚ましく、流通、テクノロジー、競合、生活者の生活様式までも大きく変貌している。

 消費者がさまざまな情報を直接得られるようになり、世に出た商品、サービスだけでなく、それを生み出す企業の経営理念やブランドのコンセプトといった背景までが問われる時代に来ている。

 今年は新たな元号の時代が始まる年であり、当社にとっては創立70周年の節目の年でもある。時流の変化を先取りして、私たちも自ら考え方、行動を変えていく年としたい。

  ――今期で3カ年の中期経営計画が終わる。

 これまでの3カ年経営計画では、国内ワコール事業において販売を中心とした組織体制の変革や収益性の向上に力点を置いてきた。昨年は来期の新たな3カ年経営計画を念頭にトップが交代し、デジタル技術を応用した新たな顧客との関係づくりもスタートした。

 昨年4月、ワコールブランド事業本部、チェーンストア事業本部など4部署を統合し、卸事業本部を立ち上げた。この組織の再編成による成果は計画以上に上がっている。

 チェーンストア事業本部の合流は元々、来期にする予定だったが1年前倒しした。この半年で1人当たりの売上高、生産性は大きく改善し売上利益率は過去最高水準にある。

  ――レディースインナーのトレンドは。

 新たなカテゴリーとなるノンワイヤーの市場規模が拡大している。当社も数量ベースで約30%の比率にまでなっている。「スハダ」「ブラジェニック」など、快適な着け心地とボディーメークという相反する機能を併せ持つ商品も当社の技術力によって可能になり、支持を広げている。

  ――オムニチャネル戦略について。

 EC(電子商取引)販売をはじめ、デジタル技術の販売への活用は、実店舗を利用されている既存のお客さま、取引先とのつながりを維持、強化するために行うというのが基本的なスタンスだ。

 今期中に百貨店での接客支援タブレットの導入が8~9割程進む予定だ。ECサイトを持たない専門店に当社の販売基盤を使ってもらう取り組みも25店まで増えた。来年春には都市部でバストサイズを正確に測定する3D計測器を導入した次世代型ショップの開業を予定する。オムニチャネル化は来期の中計でも大きなテーマの一つとなる。