香港誘客へ「ロリータ」と協力/福岡県が新たな切り口で情報発信

2019年01月18日(Fri曜日) 午前11時34分

 福岡県香港事務所が香港人旅行者の誘客へ新たな取り組みを始めた。香港のロリータファッション愛好者グループなどと協力し、メンバーの若い女性に県の見どころやロリータファッションに関する情報を伝えるイベントを初めて開催した。福岡県を訪れる香港人が増える中、旅行者個人のニーズに沿った細分化した情報を提供することで一層の誘客を狙う。

 真っ赤なイチゴ柄のドレスなどで着飾った若い女性ら約30人が集まり、会場は華やいだ雰囲気に包まれていた。福岡県香港事務所が13日に香港で初めて開いたアフタヌーンティーパーティー。参加者は県特産のイチゴ「あまおう」を使ったロールケーキや茶の産地・八女市産の紅茶を味わいながら、スマートフォンで自撮りをしたり、おしゃべりを楽しんだりしていた。

 イベントでは、ロリータファッションの愛好者グループ「HK LOLITA」の会長を務める女性が、昨夏旅行した自身の体験に基づいて福岡の情報を出席者に紹介。有名な観光地やグルメのほか、ロリータファッションの服を買うことのできる店舗も紹介した。写真撮影をすると見栄えがするとして、レトロなカフェや寺などにロリータファッションで行くことも提案した。

 イベントに参加した会計士の女性(27)はこれまで福岡には行ったことがないというが、「ロリータファッションに合うスポットがあるのを知って行ってみたくなった」と話していた。

 企画した県香港事務所の山奇智幸所長は、「出席者はロリータ目線で発信された福岡の情報を得ることができ、楽しんでもらえたようだ」と手応えを口にした。

〈「飽きられない」が焦点〉

 県香港事務所がHK LOLITAと協力してイベントを開いた背景には、県への香港人旅行者が年々増える中、「旅行者に飽きられない情報を出していく重要性が高まっている」(山奇所長)ことがある。

 日本の観光庁が発表している宿泊旅行統計調査によると、県内で宿泊した香港人(延べ人数)は2017年に前年比11・2%増の32万1110人に上った。5年前の12年(3万5540人)からは9倍となった。

 「福岡の観光や食の魅力を幅広く紹介することは重要だが、細分化が進んでいる旅行者のニーズに対し、新しい切り口で情報を発信していくことが必要になっている」と山奇所長は説明する。

 今回実現したティーパーティーは県が展開してきた事業と深く関わっている。県はアジア地域との交流を目的に、ファッションや音楽、コスプレなどに関する情報を多言語で配信するウェブサイト「アジアンビート」を05年から運営。山奇所長はかつてアジアンビートの運営に携わっていた経験があり、同サイトを通じたHK LOLITAとのネットワークを活用して今回のイベントを企画した。

〈企業もPR〉

 イベントには香港福岡県人会のメンバーが幹部を務める企業や香港に進出している地場関連企業も関わった。

 洋・和菓子を製販しているモンシェール(大阪市北区)の香港現地法人、モンシェール香港は、金春花専務取締役が県出身で県人会メンバーという縁もあり、県香港事務所、HK LOLITAとともにイベント開催に携わった。当日はあまおうを使ったスイーツを用意し、金専務は「福岡のいいものを香港の人たちに知ってほしい」と期待を述べた。

 香港島・コーズウェーベイ(銅鑼湾)で明太子を使った料理を提供するレストラン「鱈卵屋」も協力。参加者への土産として明太子味のツナ缶などを提供した。明太子製造・販売のふくや(福岡市)の関連会社で、鱈卵屋を運営する福八海洋の広瀬貴彦副総経理は「レストランは20~40代の女性を主な客層としており、イベントの参加者とも重なる。参加者にイベントの様子などを交流サイト(SNS)に投稿してもらうことで、店の知名度向上が期待できる」と話す。

 今回のイベントについて、山奇所長は「香港では参加人数を増やして継続開催していくとともに、広州、深¥文字(U+5733)などでも実施したい」と展望を述べ、「今回はロリータファッションをテーマとしたが、他にもアイデアはある。さまざまな切り口で情報を発信していきたい」と意気込んでいる。

〔NNA〕