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伊藤忠・岡藤会長CEO/「来期以降厳しくなる」/スピードとチャレンジが重要

2019年01月22日(火曜日) 午前10時31分

 2019年3月期の純利益予想を期初の4500億円から5千億円に上方修正した伊藤忠商事の岡藤正広代表取締役会長CEOは、「まず間違いなく達成できる」とした上で、来期以降は景況の不透明感が増し、業績拡大も難しくなるとの見方を強調した。その上で事業運営で重視するのは、「スピードと変わろうとすること、チャレンジすること」とした。21日、大阪での会見で述べた。

 岡藤会長CEOは、「当社に限らず、日本企業のほとんどが我が世の春を謳歌(おうか)したのではないか」と18年を振り返るとともに、来期以降は、「18年が一番良い年だったと振り返ることになると思う」と予想、実際に昨年11月からパルプなどの相場が下落していると指摘した。

 国内は少子化による市場の縮小や消費の低迷、消費増税などが懸念材料ではあるものの、軽減税率やキャッシュレスポイントなどで増税のインパクトは相殺されるだろうとし、東京五輪や大阪万博を控えて「国内のマインドは元気さもあり、景気も堅調」とみる。一方、世界経済は米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題などを背景に不透明感が増しているため、全体として業績拡大を狙える情勢ではないと強調した。来期の数値計画やそれを実現するための人事異動、組織改正が未発表なことも、不透明感が増していることが理由の一つと言う。

 こうした事業環境の中で重視するのが、(1)スピード(2)変化(3)チャレンジ――。IT企業など近年の起業家がスピード感を持って動いていることに比べて「当社はまだまだ遅い」とし、その改善をトップや幹部が率先垂範していくことが重要だと説く。環境変化に応じて自らが変化していくことも肝要とし、「変わらなければいけないというマインドが大事」だと話した。チャレンジについては、「多少の損や犠牲は仕方ない」とし、広くアンテナを張り巡らせ、新たな事業や商流に挑む心構えを説いた。

 組織のあるべき姿にも言及した。「昔ながらの商品ごとの縦割り組織に問題があることは明白だが、それを一気に変えることのリスクも非常に大きい」と分析。それは商社全般に当てはまるものであり、「2~3年のうちにこの改善をうまく進められたところが勝ち残るだろう」と予測した。

〈中国戦略にぶれなし〉

 岡藤会長CEOはこれまで重視してきた中国市場について、「今後もぶれずれに継続していく」と強調した。今月15日に中国中信集団(CITIC)グループと中国国内でのデータセンターへのインフラ投資を目的とした投資ファンドを新たに設立することを発表するなど、同国との関係を強固化する同社だが、岡藤会長CEOはその理由を、「日本よりも進歩のスピードが速く、規制が少ないためさまざまなことに挑戦しやすい」と説明。今後も投資や市場開拓にまい進する考えを示した。