KanFA 次代への継承(24)

2019年02月01日(Fri曜日)

ナックス 社長 中村 雄一 氏

異業種交流で新たな切り口つかむ

 婦人ニットを軸にアパレルOEMを手掛けるナックス(大阪府泉大津市)。中村雄一社長(43)は、創業者で父の中村房雄現会長から社長を引き継いで1年半。子供時代から同級生もニッターの跡取り息子ばかり。いずれは会社を継がねばという意識が自然と育った。ただ、避けたかったのは後継者としての落下傘入社。素性を伏せて東京の婦人服アパレルに就職し、5年の修行を経て2001年にナックスに入社した。

  ――入社後は。

 志願して商品管理を皮切りに営業も担当しました。主任、課長と経験を積み、問屋回りに限らず量販チェーンなど新業態の流通も開拓しました。海外経験のあった弟の入社時には経営・管理面で早く戦力にしたいと下積みをスキップさせましたので、誰もが必ず下積みからとは思いません。ただ、私自身については現場を知らずに管理職や役員からでは将来何もできなくなると思いました。

  ――後継者・経営者意識が強くなった転機は。

 13年に父の片腕だった当時の専務が急逝し、私が専務に就任した時です。当時、既存の問屋商売は売れ残りもメーカー引き取りが当たり前。在庫を常時5億円以上抱える手張り商売をバッサリやめ、一気に完全OEMに転換しました。従来先からは総スカンで、売り上げは一時10億円へこみましたが、旧態依然のやり方に先はないという信念で押し切りました。以降、取引先の新陳代謝が進み、ネット販売や総合ディスカウント量販向けが伸びました。今ではネット販売向けの売り上げが3割を超えました。

  ――ビジネスの次世代化に十分な手応えを感じるのでは。

 それでも現時点の達成度・自己評価は2割。変化が激しく数年先の業界の姿さえ見えにくいからです。ただ、「作る(メーカー)」「出す(物流)」「売る(小売り)」の基本要素は不変。各分野の強者同士が組む時代に、当社は「作る」機能の効率を追求して、残り2分野の強者に頼られるメーカーポジションを築きたい。

 ひと口に衣料不況と言いますが、今消費に一番インパクトのあるインバウンド消費、ハロウィーンなどイベント型消費にうまく絡めていないことが原因。切り口さえ変えれば同じカットソーという商材で十分勝負でき、活路も開けます。格闘技選手と契約し、個人ブランドビジネスも手掛けますが、衣料品以外の販売も含めて提案に予想外の広がりが出ています。

継承していく人たちへ

 先代の父に自由にさせてもらえているのは大きかったと思います。小さな衝突は今も日々あり、築いたものを守りたい気持ちも分かります。ただ、勇気を持って変える部分がないと、いずれ継ぐ自分の気持ちがしんどくなります。ファッションは時代がどう変わろうとなくなりませんが、同じことをしてもだめ。特に業界内だけ見ていてはだめです。普段話すのも異業種が大半。繊維、衣料の絡む新たな切り口がまだまだあると気付かせてくれるのは実は異業種交流かもしれません。

(毎週金曜日に掲載)