KanFA 次代への継承(25)

2019年02月08日(Fri曜日)

羽衣綿業 取締役 日野谷 繁典 氏

顧客ニーズに耳傾ける

 羽衣綿業(堺市)は、小幅織物を使った寝間着や手拭いのOEM商社。日野谷繁一氏が浴衣・晒木綿の加工販売業を1949年に創業。その孫に当たる繁之氏が現在の社長である。そのバトンを引き継ぐべく、長男の繁典氏(33)は入社した。

  ――学校の部活は何を。

 小学校までにピアノ、水泳、剣道など一通りの習い事はやっていましたが、球技が好きだったこともあり、中学校に入り、一から始められるスポーツとしてハンドボールを選びました。中学3年で全国大会に出場し大阪府の選抜チームにも入りました。

 体育大学へ進んだため、将来は教員の道も考えていました。大学4年の夏に教育実習も終え、どうするべきか考え迷いもしましたが、家業を継ぐことに心を決めました。

  ――手拭いについてはどう考えていたのですか。

 剣道をしていたときには自社の特別に目立つ手拭いを使っていたこともあり、子供の頃からなじみもありました。布おむつも使いましたから、小幅織物には親近感がありました。

 大学を卒業し、そのまま入社したのが2008年。リーマン・ショックがすぐやってきました。先輩について営業職を学びましたが、小さい所帯ですから、梱包(こんぽう)作業も全て一人でやり切ります。注染和晒(布の上に染料を注いで着色する多色染めの技法)の若手の勉強会「和継会」に参加し、堺市で「手拭いフェス」を開いて、注染の体験を広めたりもしています。

  ――会社をどのようにしていきたいとお考えですか。

 基本はOEMなので、自社が目立たぬように努めています。そういうわけで自社ブランドのネット販売はやりにくい。顧客の声をよく聞き、OEMの品質を押し上げて行く。パッケージデザインのリニューアルなど工夫するべきことはいろいろあります。

 コンピューターやスマホが発達し、情報通信手段は便利になっている世の中ですが、対面して会話することは大切なことだと思います。メールだけで事足りるという人もいますが、私はそうではいけないと感じています。

継承していく人たちへ

 「多様な情報の蓄積を持って、アイデアを練り、顧客の個別の要望を聞いて商売に生かしていくことが、事業の継承にとって大切だ」と日野谷さん。自身に問い掛け、たどり着いた結論は、「そうした中でも特徴のあるモノ作りをしているのが分かるよう社名をアピールしていけたらいい」というものだった。

(毎週金曜日に掲載)