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アパレル総合特集(1)/19春夏~ネクストトレンド

2018年11月26日(Mon曜日) 午前11時44分

 アパレル市場は今年も天候の影響を受けた。豪雨、台風をはじめ、この冬は暖冬予想も出ている。その一方で、電子商取引(EC)販売は引き続き好調。リアル店舗の落ち込みを補完する役割を担う。消費者の衣料品に対する購買優先順位低下にも歯止めはかからず、百貨店だけでなく、ショッピングセンター向けの販売も苦戦する。

 2019年10月には消費増税も控える。その前哨戦となるのが19春夏物である。各ブランドはどのように消費者の購買意欲を刺激するのか。

〈婦人服/女性管理職を意識/増税前の価格政策も〉

 18春夏のスプリングコートは気温上昇が早かったため、販売機会を逃し苦戦した。とはいえ、19春夏は三陽商会の「ポール・スチュアート」が春コート生産を前年比約3割増、「アマカ」が型数で5割増、生産で約2割増の計画。「エヴェックス バイ クリツィア」も型数で5割増、生産で5%増とし、「春コートはブラウス素材を使うなど今までにない提案」を行う。

 オンワード樫山の「J・プレス」は12~1月に投入するアイテムをコンパクトにし、2月以降にボリューム商品を出すことで、実需を意識した販売手法を採る。一方、イトキンの婦人服「タラ ジャーモン」は消化率向上を図るため、第1弾の投入時期を1カ月早める。

 婦人服では女性管理職をターゲットにした企画が増えている。レナウンの「アクアスキュータム」はリブランディングに向けてシニア的な企画を排除し、50代の社会で活躍する女性をメインに、テーラード本格仕様のジャケット、パンツを打ち出す。三陽商会のポール・スチュアートはエグゼクティブウーマン向けのワーキングスタイルを三つのカテゴリーに細分化して提案。パターンオーダースーツも拡販する。

 価格政策ではレナウンの婦人服「エンスウィート」「シンプルライフ」「エレメントオブシンプルライフ」が19春夏に向けて、3ブランド横断企画による低価格商品を開発した。来年10月に予定される消費増税対策の試金石として投入。素材を共同開発するなどで通常より2~3割価格を抑えた。

 三陽商会のポール・スチュアートも強みのジャケットで4万円を割るエントリー価格を導入。アマカも4~6月に従来比10~20%下げた戦略商材を投入する。ルックの「フィラージュ」も裾値を下に広げる価格戦略で新規顧客開拓を図る。

〈紳士服/パターンオーダーに追い風/アウターでは機能性に焦点〉

 スーツのパターンオーダー(PO)や機能性を高めた品番に当たりが出るなど、紳士服に追い風が吹いている。アパレル各社は、19春夏シーズンも引き続きスーツ品番の拡充やハイスペックな機能アイテムを展開する方針だ。

 オンワード樫山は「五大陸」のスーツ企画で、上質素材や機能性にフォーカスした品番を充実させる。光沢感のあるシルク混ウールスーツやウール、リネン、シルクの3者混ジャケットを投入。「五大陸」全110店舗で導入しているPOについても上質素材のバリエーションを増やす。仏ドーメル社の発色性の高い素材「エクセル」を使用したスーツをはじめ、同じくドーメル社が得意とする軽量でストレッチ性を兼ね備えた素材でスーツ品番を作り込んだ。

 三陽商会は「マッキントッシュ ロンドン」で、機能的でハイスペックなコート、アウターを並べる。いずれも現代風にアレンジした企画で、六つのシーズンコンセプトでMDを構成。「シティ」は、ロンドンの金融街で働くバンカーの装いをモチーフにチョークストライプなどを使ったスーツスタイルを提案する。英フォックスブラザース社などの軽量素材を使用。

 「クラブ」では、英国のスポーツクラブをイメージした企画で、アイコンモチーフのハウスチェック、アンドリューパターンを効果的に配置したコーディネートを展開する。

 レナウンの「ダーバン」は、国内初の直営店をキッテ丸の内(東京都千代田区)に開設して半年が経過した。従来の紳士スーツに加え、新たに紳士シャツ、婦人スーツのパーソナルオーダーも堅調。新生ダーバンを発信するモデルショップという位置付けで、今後の百貨店、直営店戦略につなげていく。

〈カジュアルウエア/若年層をどう取り込むか/SNS発信が重要に〉

 カジュアルウエア市場では、日本製の品質やジーンズを軸にしたスタイリング提案を強化している。19春夏シーズンも同様の流れだが、会員制交流サイト(SNS)を介したトレンド発信がより重要になってきた。多くのブランドがターゲットにしている若年層の新規開拓にはSNSの発信が不可欠。タッチポイントを増やす意味でもトライすることが求められる。

 エドウインが東京、大阪の直営店に投入した5900円の国産ジーンズ「エドウイン デイリーデニム」は、訪日外国人の人気を集めている。手に取りやすい価格帯やステッチワークをそぎ落としたデザインに反響があるものの、人気の理由を探るとインスタグラムやフェイスブックでの拡散があった。

 「これは買い!」「日本製でクールなデザイン」といったコメントが並び、投稿が世界各国へシェアされている。土産として購入する外国人も多く、直営店の販売員は「想像以上の反響」と語る。

 品質やデザインで優位性がありながらも、訴求がうまくできなければ意味がない。「レッドカード」を企画製造するゲストリスト(東京都渋谷区)でも、こうしたSNS発信を強化し、売り上げアップにつなげてきた。

 「20代後半女性に向けた販促を改めて強化している」と語るのは、同社の菊島剛執行役員営業本部長。中心顧客が30~40代女性になっていたが、20代後半に向けた発信を増やし、その戦略が当たっている。SNSを介し、キャリア層に向けたアピールを強めているのが、米国ジーンズブランド「エージー」。同ブランドを輸入販売するエージージャパン(東京都新宿区)は、2017年度の売上高が20億円(卸ベース)となり、平均単価は3万円台前半を維持している。