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特集 アジアの繊維産業Ⅰ(7)/わが社のアジア戦略/富士紡ホールディングス/利益生む体制へ転換

2018年10月04日(Thu曜日) 午前11時45分

〈中国からタイへ移管進む/代表取締役会長兼社長 中野 光雄 氏〉

 富士紡ホールディングスは、中国とタイに生産拠点を展開する。中国の富士紡〈常州〉服装、タイのジンタナフジボウで、「BVD」インナーの生産や、量販店などのプライベート・ブランド(PB)のOEMを手掛ける。タイのタイ・フジボウ・テキスタイル(TFT)でも、紡績・編み立てに加え、縫製も強化し一貫生産体制を構築する。近年、生産の一部をタイに移管し、利益を生む生産体制への転換を図る。

  ――国内でのインナーの販売状況は。

 BVDのインナー販売は利益は出ているものの、上半期(2018年4~9月)までの売上高は前年に比べ落ちています。消費者のPB嗜好(しこう)や量販店の店舗縮小が影響しています。

 アングルが手掛ける百貨店向けの高級インナー販売の商況は厳しいですが、15年に取り組んだ構造改革の成果で安定的に利益を生む体質に変わっています。ただ、地方の百貨店での販売の在り方は見直す必要性があります。電子商取引(EC)販売や通販などの手法で代替できないか検討しています。

  ――アジア生産における貴社の戦略をお聞かせください。

 中国生産は人件費の上昇でコスト高になっています。自家生産を縮小し外注の比率を高める方針です。レディースなど技術的に難度の高いものは中国に残しますが、それ以外に関しては中国での外注やタイに移管していきます。

  ――タイの生産拠点の現状を。

 繊維製品の国内での売り上げが伸び悩む中、拡大したいという思いはありますが、今のところ現状を維持します。TFTはこれまで月産15万枚まで生産能力を上げてきました。これをうまく活用できるようにするためには売り上げを伸ばさなくてはなりません。

 今後、成長が期待できる販路としてはEC販売や通信販売です。この販路はこれまで好調で今後も売れ行きの伸びが期待できます。加えてBVDのメンズ加えレディースもさらに伸ばします。

〈ジンタナフジボウ/タイ人幹部養成に注力〉

 タイ縫製子会社のジンタナフジボウは、東南アジア地域での富士紡グループのインナー製品生産の中核拠点を目指す。桑山輝男社長は「“良いものを、より安く、タイムリーに供給する”ことが生産工場の役割。2018年度も引き続き生産性を高め、筋肉質な会社にしていく」と強調する。今年度はタイ人の幹部、職階者の教育に重点を置き工場のレベルアップを図る。

 そのために幹部候補となる従業員にセミナーや講習会を受講してもらうと同時に工場内でのOJT教育にも力を入れる。外部からの専門講師を招いて従業員を対象にした講習会も充実させる。今年度は4回開催し品質の向上と安定に取り組む。

 2018年度上半期(1~6月)の業績は売上高が前年同期比20%減で推移する。日本向けの輸出量の減少が主因。これに伴い営業利益も減少した。17年度は生産キャパシティーを超える受注で、一部の商品で外注生産もあったが、18年はその反動で生産能力に合った操業状況となっている。

 上半期の減収減益を下半期で取り戻すことが最大の課題。タイ人と認識を共有し日当たり生産量の目標値確保と不良品率のさらなる低減により利益の拡大を目指す。これにより最終利益は17年度並みを目標とする。

〈タイ・フジボウ・テキスタイル/月産15万体制確立急ぐ〉

 タイの紡績・編み立て・縫製子会社であるタイ・フジボウ・テキスタイルは縫製能力の増強に取り組んでいる。原料価格の高騰が続いていることから、これまで以上にコスト削減に力を入れ収益力の強化に取り組む。

 同社の18年上半期(1~6月)は減収減益となった。17年に紡績設備を縮小したことが大きな要因で、さらに「綿花やポリエステル短繊維などの原料価格が高騰していることも利益を圧迫している」(岩國信利社長)と話す。

 紡績生産の60~70%がフジボウアパレルのインナーブランド「BVD」用原糸だが、今期は受注にやや勢いがない。一方、BVDの編み立て・縫製は安定した稼働が続く。特に縫製は17年に設備を増強し、月産15万枚(従来は同8万枚)体制となっている。増設分の稼働が今期から本格化し、稼働率を高めている段階。現在は14万枚まで生産が上がってきている。

 このため下半期は「縫製の生産量を早期に15万枚まで高める」ことを掲げる。そのために縫製スタッフの育成などによる生産性向上に取り組む。

 紡績も一段の生産ロス削減や受注拡大でコストアップの吸収に努める。省エネ関連の設備投資も積極的に実施しており、その成果を発揮する。

 BVD用原糸以外の綿糸販売も新規提案に力を入れる。BVD原糸以外の綿糸販売が生産量に占める割合は5~10%程度だが、これを少しでも高めることを目指す。