メーカー別 繊維ニュース

特集 スポーツ(4)/より高機能を求めて/周辺領域へも拡幅/素材編

2019年02月22日(Fri曜日) 午後2時52分

 20春夏商戦に向けて、素材メーカーは高機能素材の打ち出しを強めるとともに、アスレジャーやアウトドアといった周辺領域を掘り下げていくための商品開発、企画提案を精力的に進めている。20春夏に向けた各社の取り組みを紹介する。

〈東レ/「テクノラマ」駆使〉

 東レは猛暑のような過酷な環境にも適応できる高機能素材群とビジネス、カジュアルにも使える快適素材群で春夏企画を組み立てている。

 「テクノラマGⅢ」の人工気象室を駆使した取り組みを推進。データで裏付けられた高機能素材群を前面に押し出し、豊富に構えるバリエーションからそれぞれのシーンにマッチした高機能素材で拡販に臨んでいる。

 20春夏に向けては、春夏ならではの快適性を追求した「ボディシェルEX」「ドットエア」「モイスト+(プラス)」「エアロリード」を売り込んでいく。

 適度なストレッチ性を持たせた「プライムフレックス」シリーズやドットエア、エアロリードなどで、かねて強化してきた紳士服量販店やセレクトショップ、アウトドアブランドの開拓にも力を入れていく。

〈「アルティッシモ」開発/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスはニットの弱点だった摩耗性を特殊な糸加工と編み組織との組み合わせで解消したポリエステル「アルティッシモ」をニットジャケットやパンツ、シャツ狙いで打ち出す。

 アウトドア系のブランドが興味を示しているといい、学校体育衣料向けも合わせて「19秋冬からの販売もありうる」としている。

 ポリエステル・「ベンベルグ」による春夏の戦略素材「バイオセンサー」では、開発への要望の強かったトリコットをラインアップ。ビジネス用のニットシャツ向けに衣服内温度コントロール機能や織物ライクな仕立て映えを提案している。

 織物では、軽量・ストレッチが特徴のナイロン「ソファンデ」を投入。カジュアルやアウトドア狙いで展開する“フリースタイル”の販促にも力を入れている。

〈新たに「クリンペルヒネリ」「ソトエ」/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは新素材「クリンペルヒネリ」「ソトエ」を重点的に打ち出すとともに、インドネシアの拠点を活用した取り組みでニットやスポーツシャツ、ビジネスシャツの販売を伸ばす。

 クリンペルヒネリはピン仮撚りで撚糸したポリエステルの丸編み。弾発感、かさ高性とともに春夏らしいシャリ感を持たせた。ソトエは熱伝導率の高いナイロンで放熱効果を付与。綿を複合することでナイロン特有の蒸れ感を解消した。

 同社はインドネシアの拠点を活用した取り組みでスポーツ素材の拡販、「Zシャツ」ブランドによる製品展開に力を入れてきた。

 今後は学校体育衣料をターゲットにこの取り組みを拡大。薄地の「Zシャツ」をシャツ向けに、中肉の「Xジャケット」をブレザーや学生服向けにそれぞれ売り込んでいき拡販を目指す。

〈着用快適性追求し開発/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは、着用快適性を追求した「デルタSLX」を20春夏向けから本格展開する。ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」と高バランス素材「デルタ」を糸段階で融合することによって、理想的な着圧感と天然繊維を思わせる風合いを付与した。

 原糸技術のほか、繊維のクリンプとランダムな配置を保つ織・編み物設計、染色加工技術を組み合わせている。吸汗速乾性や撥水(はっすい)性も兼ね備えており、スポーツウエア向けの重点プロモート素材と位置付ける。同時にファッションやタウン用途の需要も掘り起こし、販売拡大につなげる。

 クッション性と高回復性を持つ「デルタフリーモ」、次世代快適スエット素材「フリーモPRO」の提案も強める。

〈二つのデザイン賞受賞/YKK「クイックフリー」〉

 スポーツやアウトドアアパレル分野でも採用されているYKKの「クイックフリー」が昨年、「2018年度グッドデザイン賞」の「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」(日本デザイン振興会主催)、「第12回キッズデザイン賞」の「最優秀賞(内閣総理大臣賞)」(キッズデザイン協議会主催)を受賞した。

 クイックフリーは挿入補助、簡易緊急解放/クイックリリース機能を併せ持つファスナー。操作性を向上させることで、小さな子供が一人で衣服を着脱できる達成感につなげ自立を促進する。「外れ、かつ閉まる」のバランス調整に工夫を凝らし、一定以上の負荷でエレメント(務歯)が自動解放される機能も付加。選手が試合時に待機から本番へと素早く脱ぎたいときに便利だ。

 本来、外れないことを追求したファスナーだが、子供服の首回りのひもやフードによる事故などでは逆に“外れた方がいい場合もある”と、ファスナーの概念を覆した点などが評価された。