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特集 アジアの繊維産業Ⅱ(7)/わが社のアジア戦略/事業拡大図るカケンテストセンター/既存拠点の再強化も

2018年10月05日(Fri曜日) 午後4時31分

 カケンテストセンター(カケン)は、アジア戦略として①エリアの拡大②既存拠点の強化――掲げて、事業拡大を図る。

 生産拠点が中国から東南アジアへと移転してきたが、最近は中国見直し機運もある。中国の旗艦ラボと位置付ける上海科懇検験服務は機能性試験を拡充、雑貨試験も行う。工場のCSR(企業の社会的責任)監査にも着手している。

 上海科懇南通分公司は4月に日本人駐在員を3人から4人に増員。試験依頼も順調に伸びている。無錫も好調で、青島も安定して増えている。寧波、大連の売上高は前年比微増ながら、サービスを向上し、中国見直し機運に対応していく。

 バングラデシュは韓国のKOTITIと提携し、KOTITIバングラデシュの日本チームが日本語で対応し、試験数も増加。タイでは化学試験を強化する。ベトナムやインドネシアも好調を持続。中国以外の海外エリアでも拠点を拡充していく。「ベトナムの工場は人件費増だが、中国系工場は自動化を進める」とアジアの変化を注視する。

〈カケンベトナム/機能磨き事業拡大へ〉

 カケンベトナム試験室では近年、検査依頼がかなりのペースで増えているという。

 日系の検査機関としては同国への進出が最も早かったことや、フランスの総合検査会社との提携という「安心感」が寄与しているようだ。今後も検査品目や対象分野を広げ、事業拡大を目指す。

 池田翔太郎室長は今後の方向性として、「衣料にとどまらない展開」「内販向け検査の拡大」「人員の充実」「サービス機能の強化」を挙げる。衣料品以外では家具分野の試験を強化中。既に一定の実績を積んでおり、日本への波及も狙う。

 内販向け試験の拡大は、来年1月にアゾ染料とホルマリンの試験が法制化されることを見越したもので、日系の小売りが今後同国に進出していくことを予想したものでもある。

 人員の充実は増え続ける検査依頼に対応するもので、9月から日本人スタッフを増強した。サービス機能強化として取り組むのがセミナーの開催。基礎的な繊維品検査の方法や目的をテーマに継続開催し、好評を得ている。これを検査依頼拡大につなげる。

〈タイ試験室/化学分析試験も充実〉

 カケンテストセンターのタイ試験室が新たなスタートを切った。欧州の大手検査機関であるBVCPSとの提携を生かして化学分析試験の充実を強みとする。

 カケンはこれまでタイで別の海外検査機関と提携していたが、その検査機関がタイから撤退したことを受け、新たにBVCPSと提携し、今年1月にタイ試験室を再開設した。今井計貴室長は「BVCPSと提携することで通常の品質検査に加えて化学分析など対応可能試験が拡大した」と話す。

 9月から特定芳香族アミン(アゾ染料)の試験も開始した。そのほかホルムアルデヒドや重金属の検出試験など化学分析試験が充実する。

 現在は日系や日本向け素材を生産する現地繊維企業から依頼される品質検査が受注の中心だが、「今後は化学分析も同時に対応できることを生かした納期短縮などで付加価値を提供する」ことを目指す。BVCPSと協力して試験に関する情報提供にも力を入れる。

〈カケンインドネシア/試験能力増強で迅速対応〉

 カケンインドネシアの試験受注は本年度上半期(4~9月)まで前年並みで推移する。試験科目は9割以上がテキスタイルで、残りはかばんや生活雑貨など。下半期は試験機を増設し処理能力を高める。染色関連の試験の検査が増えているため、対応力を強化する。

 日系SPAの業績好調を背景に、染色堅ろう度や強度をはじめとする物性試験、ホルマリン検査、洗濯耐久性、機能性試験の受注が活発。日本で規制が始まった特定芳香族アミンを生成するアゾ化合物試験にもフランスの検査機関BVCPSと提携し対応する。

 日系素材メーカーの納期がアパレルニーズに呼応して短くなった影響で、短期間での試験要望が増えている。そのため、試験時間の短縮にも取り組む。抗菌、帯電性、特殊な機能試験は、東京に試料を送ってテストする必要があるが、物流企業と組んで試験反を受け取りから1日で東京の試験場に届ける仕組みを構築し早期対応力を磨く。

 岡野正光社長は「素早いテスト体制により受注拡大を進める」と話す。

〈カケン南通/短納期対応で受託増やす〉

 上海科懇検験服務南通分公司(カケン南通)は、2016年11月に試験と技術相談サービスの提供を本格化して以来、受託件数を順調に伸ばしている。五味光弘総経理は「知名度が高まり、お客さんからお声掛けいただく機会が増えている」と話す。

 カケン南通の強みは、短納期。機能性などの一部試験を除き、現地でクイック対応している。

 納期は基本3日だが、染色堅ろう度や耐洗濯性検査、混用率、製品検査などは即日対応。高温高湿の環境を再現するジャングル試験も試験設備を新規導入し、今年から即日対応が可能となった。

 機能性も徐々に試験項目を増やしている。現在は吸水速乾と撥水(はっすい)試験に対応しており、「特にこの一年は吸水速乾の試験が増えている」と言う。

 今後も短納期を前面に打ち出し、受託件数の拡大を目指す。そのため、現在35人の試験要員を40人に増やし、クイック対応をさらに充実させることを検討している。