メーカー別 繊維ニュース

特集 アジアの繊維産業Ⅱ(8)/アジア展開する3検査機関

2018年10月05日(Fri曜日) 午後4時33分

〈QTEC/「海外事業所」に格上げ/検査業務も拡大していく〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は1日付で「海外事業部」を「海外事業所」に名称変更した。従来のスタッフ的機能ではなく、ラインとして経営責任を持つ部署となり、海外8拠点を下部組織に置く。奥田利治理事長は「海外事業の拡大推進を図るため」と語る。

 QTECは昨年7月、青島試験センターを「青島可泰検験」と現地法人化し、8月には南通に現地法人「南通浩達紡織品検測」を新設した。現地法人化で、ナショナルスタッフが直接雇用となり、ロイヤルティーも高まった。

 南通に拠点を新設したことで、上海総合試験センター、無錫試験センターを含めた華東地区でのトライアングル体制ができた。「3拠点の横連携を強化するとともに、試験だけでなく、検査業務も広げていく」。上海総合試験センターのグループ・ガバナンスも高めていく。

 ベトナム試験センターは試験依頼も増えており、東南アジアの重要な拠点と位置付ける。2010年と早くから進出したバングラデシュのダッカ試験センターは、「競争の第2ステージにある」とみる。現地では認知度も高く、将来的には検査業務も視野に入れている。

 インド繊維省傘下の繊維委員会とは16年に「日本市場向け繊維製品の適合性評価に対応するためのインド製品の品質向上に関する覚書」を結んだ。インドが日本で売れる商品を作っていくために交流しているが、そうしたコネクションが今後のインドへの足掛かりになればと期待する。

 QTECは現在、来年度から始まる3カ年の「SS計画」を策定中だ。「サステイナビリティー(持続可能性)を背景に認証や監査といった業務も数年後には重要になる。そうした新規事業を見据えながらSS計画を策定していく」

〈QTEC上海/製品出張検査に引き合い〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の現地法人、上海可泰検験は、製品の出張検査に力を入れている。

 中国ではここ数年、環境規制の厳格化や人件費高騰などを背景に、縫製工場の統廃合が進んでいる。日本企業がこれまで日本向けを手掛けていなかった工場を活用するケースも増えている。

 こうした中、製品の品質にばらつきが目立ち始めており、それに対応するソリューションとして出張検査を提案している。「徐々に引き合いが増えている。出張検査に専門的に対応するナショナルスタッフを軸にしたチームを作ることを検討している」と仲本浩之所長は話す。

 一方、生地の一般試験や機能性試験の受託は、厳しい環境の中でも堅調に推移している。織布、編み立てから縫製まで、繊維工場が上海近郊から内陸部へシフトする中、無錫と南通の2拠点と連携し、広域で顧客開拓に取り組んでいる成果が表れている。

〈ボーケン品質評価機構/東南アジア地域で基盤拡大〉

 ボーケン品質評価機構はタイのバンコク、インドネシアのジャカルタに試験センターを持ち、東南アジア地域での基盤整備を進めてきた。最近では機能性試験への対応を拡大するなど、東南アジア地域の繊維産業が高付加価値化を進めるのに合わせて、その業務内容の高度化が進む。

〈SGSと連携し受注増へ/ボーケンジャカルタ試験センター〉

 ボーケン品質評価機構のジャカルタ試験センターは、SGSと提携して日本向け素材の試験業務を行う。JISやSEKマークといった日本独自の規格や品質基準に関する試験の窓口業務も行う。実際の試験はSGSか、現地で難しいものは日本のボーケンのラボで試験する。SGSは欧米をはじめインドネシア政府が定める工業製品の規格試験も行う。

 日本向けの受注は少しずつ増加している。日系の繊維メーカーや商社の現地協力工場からの試験依頼が堅調。スポーツウエアなどの吸汗速乾機能やシャツの洗濯後の防シワ性能の試験の要望が多い。量は少ないが、現地素材メーカーの生産高度化を背景に肌着用の抗菌防臭性能試験も出てきた。

 需要拡大の背景にあるのは、現地で機能素材の生産背景が確立されてきたことがある。生地はこれまで、中国や東南アジア諸国などからの輸入というケースが多かった。

 今後も現地生産の生地や縫製品の検査需要を取り込むと同時に、バッグ、雑貨といった非衣料分野の開拓にも力を入れる。

〈抗菌性試験を強みに/バンコク試験センター〉

 バンコク試験センターは2018年上半期(1~6月)も堅調な試験依頼を得ている。特に増加しているのが抗菌性試験など機能性試験。化学分析の依頼も安定している。タイで生産される繊維素材・製品の高付加価値化が進むことでバンコク試験センターの役割も一段と大きくなる。

 機能性試験拡大の背景について村松慶一所長は「タイでスポーツやインナー向けの素材生産が拡大しているため」と分析する。同センターは東南アジア地域で唯一、繊維評価技術協議会の「SEK」マーク認証の指定検査機関となっていることも評価された。

 今後も引き続き抗菌性試験を中心とした機能性試験を強みとして打ち出す。今年中には専門家を招いて抗菌性に関するセミナー開催も計画しており、情報発信によってタイでの試験需要の掘り起しに取り組む。

 カンボジアのプノンペン事務所でも試験を受け付けており、こちらも受注拡大が続いている、こうしたタイ周辺国からの依頼獲得を進める。品質試験や機能性試験だけでなく、工場の環境ホルマリンテストなど化学分析試験にも力を入れる。

〈ニッセンケン/品質、生産面も支援/「エコテックス」認証も〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)はアジアでも「エコテックススタンダード100」の認証を進めていく。駒田展大理事長は「これまで培ってきた技術やノウハウを必要とされる地域に提供する」と言う。

 中国・南通には3事業所(南通、崇川、南通人民路)を設け、試験だけでなく検品も行う。「試験、検品とも順調だが、中国は環境や安全について意識が向上し、エコテックスに対する関心も高い」ことが背景にある。

 ベトナムにはホーチミン試験センターを開設。南アジアではインドにジャイプル事業所、バングラデシュにはダッカ事業所を設けている。

 インドでは試験業務だけでなく、品質コンサルティングチーム(QCS)、生産コンサルティングチーム(PCS)を設置。「進出を検討する企業にはインドのメリット、デメリットを明示する。北部と南部では事情が異なる。生産面でまだ多くの課題はあるが、欧米向け工場の利用などやり方はある」と、インド進出企業をサポートする。

〈返答までのスピード重視/ニッセンケン・ホーチミン試験センター〉

 ニッセンケン品質評価センターのホーチミン試験センターと同営業所は2017年9月の開所という新しい検査機関。「後発というハンデはある」(藤田耕三所長)ものの、依頼件数は徐々に拡大しており、今後もカンボジア・プノンペン支所との連携やこまめなフォロー体制を行い、定着を目指す。

 プノンペンには検品センターを以前から設立しているが、加えてホーチミン試験センター・プノンペン支所を昨年12月に新たに立ち上げてホーチミンとのルートを開設した。プノンペン支所で試験依頼を受けた生地などをホーチミン試験センターに陸送し、試験受け付けから3営業日後に試験結果を依頼元に伝えるというサービスを行っている。生地がベトナムにある場合は、返答までの時間がさらに短くなる。

 依頼元の開拓では、ホーチミン近郊から依頼元をこまめに訪問することなどで基盤を作っていき、その後、同国中部や北部に対象を広げていく。

〈営業エリア拡大へ/ニッセンケン上海〉

 ニッセンケン上海事業所は今年5月、上海市閔行区のオフィスビルから、同区の金領谷科技産業園にオフィスと試験室を移転した。「環境規制をはじめ各種規制が強まっていることから、より広範な試験が認められる産業園に移転した」と田部井康視所長は説明する。

 新しい試験室は、試験項目などに大きな変更はない。これまで通り従業員40人体制で、日本向けと中国内販向けの一般試験や機能性試験を手掛けていく。

 一方、上海ではモノ作りに関わる企業が徐々に減っている。そのため、今後は浙江省の寧波や杭州、紹興などの産地にも営業活動を広げていくことを検討している。

 中国の中心である上海に拠点を置く強みを発揮していく。中国には上海事務所のほか、江蘇省南通市と山東省煙台市に事務所、同省青島市と遼寧省大連市に支所がある。こうした拠点と連携し、顧客や受託試験についての情報を集め、日本本社やASEAN地域の拠点に積極的に情報発信していくことを検討している。