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2018秋季総合特集Ⅱ(19)/「混迷の時代」を生き抜く検査機関

2018年10月30日(Tue曜日) 午後3時21分

 検査機関にとって、国内の衣料市場の縮小傾向は大きな問題となる。海外拠点の展開では、日本向け以外の需要を取り込もうとしている。衣料だけでなく、生活用品などに試験項目を増やす取り組みを進行させ、認証などの業務拡大も図る。そのためには新たな人材をいかに確保し、育てるか。これも共通した課題と言える。

〈ボーケン品質評価機構(ボーケン)/分野、市場、サービス拡大/理事長 堀場 勇人 氏〉

  ――検査機関にも関わる環境変化は。

 キャッシュレス化が一つ。リアル店舗や電子商取引(EC)でも活用されています。こうした消費者のライフスタイルの変化で、モノの価値観が変わってきました。衣服のシェアリングもある。その一方で、パターンオーダーなどカスタマイズ志向もあり、時代の流れを読むのが難しい。ESG(環境・社会・ガバナンス)が企業の価値として注目されていることにも、関心があります。

  ――上半期(2018年4~9月)はいかがでしたか。

 業績は前年比横ばいでした。海外が横ばい、国内はプラス。繊維の試験だけでなく、食品衛生法に基づく器具・容器包装試験や化粧品の成分分析も伸びました。

 事前検査で量をこなす時代から、質の追求へと移っている。事前検査を補完する専門性の高いサービスにも着手しました。こうした事業は“人財”がポイントであり、「人財の成長がボーケンの成長」です。4月に、大阪本部内に「人材育成支援センター」を新設しました。

  ――どのような業務内容ですか。

 従来は総務部が教育を担っていましたが、より専門的な教育を行い、階層別教育、女性活躍、管理職のレベルアップなども行います。創立70周年を迎えますので、講師も自前にし、ボーケンがどういう方向に向かっているのか、といった内容も盛り込んでいます。これを機に、従業員の幸せと社会貢献に力を入れていきます。

  ――下半期は。

 繊維事業の拡大のほか、生活用品、化学分析などにも力を入れる。機能性試験の対象も広げます。提携機関との連携で海外市場を強化。サービスでは研究開発、認証やコンサルタント業務も拡大していきます。11月7日から東京本部ビルで「品質への新たな挑戦」をテーマにボーケン展を開きます。

〈日本繊維製品品質技術センター(QTEC)/グローバル事業を拡大/理事長 奥田 利治 氏〉

  ――上半期(2018年4~9月)の業績はいかがでしたか。

 比較的順調で、予算通りに推移しました。とはいえ、衣料市場同様に検査機関も競争激化という流れは変わっていません。過当競争の弊害として収益性の低下があり、収益率の向上も課題です。

  ――海外事業は。

 海外拠点の現地法人化で売上高の計上方法を変更しましたが、ほぼ計画通りです。中国は最大の拠点であり、今後も堅守していきます。「海外事業部」を「海外事業所」に名称変更し、経営の責任主体とするとともに、各海外場所間の連携を強化します。

  ――インド繊維省傘下の繊維委員会との取り組みは。

 先日も繊維委員会のミッションが来訪し、打ち合わせの後、東部事業所、神戸試験センターの微生物ラボ、中部事業所の羽毛試験などを視察しました。

 2016年11月に「日本市場向け繊維製品の適合性評価に対応するためのインド製品の品質向上に関する了解覚書(MOU)」を結び、QTECがインドでセミナーなどを実施しています。次のMOUをどのような具体的内容にするかも検討していきます。インドの橋頭保として引き続き協力関係を発展させていきたいと考えます。

  ――下半期は。

 グローバル事業の拡大です。羽毛でも世界を代表する羽毛試験監査機関IDFLと業務提携しています。グローバルブランドの試験を行っていますが、グローバル基準への取り組みも進めます。

 試験だけでなく、検査や監査、認証業務についても力を注ぎます。策定中の来期からの3カ年事業計画「SS計画」にも海外の検査業務の現地化を盛り込みます。工場指導といったモノ作りをサポートするのがQTECの強みの一つ。そうした機能を強化し、発揮することが、次の時代の生き残りと発展につながるポイントと考えます。

〈ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)/エコテックスを海外でも/理事長 駒田 展大 氏〉

  ――検査機関として今、一番関心のあることは何でしょう。

 人材です。いかに見つけ、育てていくか。検査機関として発展する上で、人材は欠かせませんから。

 国内の衣料市場という面では少子高齢化。人口減は市場縮小につながりますが、ピンチをチャンスに転換する方法もあると思います。人工知能(AI)の進化で、今ある職業でもなくなるものが出てくると言われます。検査の業界がそうならないよう、常に新たな役割を模索しなければいけません。そのためにはマーケティング力も必要です。

  ――上半期(2018年4~9月)はいかがでしたか。

 売上高は増収を見込んでいます。国内は台風21号の影響などもあり、ややマイナスとなりそうですが、海外、特に中国での事業展開が健闘しました。南通、煙台、上海は前年比プラスでした。東南アジアの事業も業務は増加傾向です。国内もエコテックス事業を含めればプラスです。

  ――「エコテックス」は世界的なサステイナブル(持続可能な)の潮流に合致する。

 「エコテックススタンダード100」の認証件数は増加しており、有害物質の試験も増えています。CSR(企業の社会的責任)への意識も高まり、きちんとしたモノ作りが評価される時代になりました。

  ――下半期の重点方針は。

 日本、中国、東南アジア、西南アジアの事業所を結び付ける。同時にそれぞれの拠点をさらに強化していく。エコテックス認証を浸透させるためのPRも、日本だけでなく海外でも行いたい。アジアでのエコテックス認証にも注力していきます。既に韓国や中国の企業から積極的な問い合わせが来ています。

 中国での事業展開は、内需に絡んでいきたい。そのためには良いパートナーと組むことが重要と考えます。