メーカー別 繊維ニュース

特集 CSR(4)/CSR重視時代の検査機関

2018年12月12日(Wed曜日) 午後3時56分

 検査機関は試験業務だけでなく、検査・認証にも事業範囲を広げる。昨今の業界のCSR重視の動きに対応するため、CSR監査などの業務に対応する体制を整えている。

〈カケン/海外でもCSR監査実施〉

 カケンテストセンター(カケン)は昨年秋に上海科懇検験服務でCSR審査・指導を始め、今春から本格化している。「現地での引き合いは多く、今後も審査員を増やしていく」

 市場のグローバル化が進む中、1990年代から欧米を中心にCSRへの関心が広がっている。「中国だけでなく、ベトナムなど東南アジアでもCSRの取り組みは喫緊の課題」となっている。外資系CSR監査法人が多数進出しているが、日系企業は少なく、カケンは海外拠点工場でのCSR監査を開始した。

 カケンの場合、リポートは日本語と現地語で対応する。日本語でのやりとりが可能なため、意思疎通が容易。事前指導を実施することで、監査不合格のリスクを軽減し、繊維系に特化したCSR監査レポートを作成できる。

 監査は顧客の納入先の適用事項に基づいて柔軟に行う。IRCA(国際審査員登録機構)に準拠した免許有資格者指導を基に実施する。海外だけでなく、国内の工場にも対応する。

 カケンのGC(グローバルコミュニケーション)室は、世界の法規制、有害物質リスクなどの情報も日々集めて、取引先などのCSRをサポートする。

〈ボーケン/セミナーなどで情報提供〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は今年、化学分析事業を「認証・分析センター」に組織変更し、東京、大阪の事業所に設置している。化学分析だけでなく、CSR全般に対応していくため。11月に東京事業所(東京都江東区)で開いた「ボーケン展示会」でも「アパレルフットウエア業界のサステイナブル(持続可能な)活動」をテーマにしたセミナーを開催し、多くの来場者を集めた。

 ボーケンは「QC監査を行ってきたが、今後はCSR監査にも取り組む」。提携先のSGSは全世界でサステイナビリティー・ソリューションの提供を行っており、海外での監査で協力関係を築いていく。「企業価値のアップの意味でも、CSRは重要になる」とみる。

 11月の東京でのボーケン展示会では、サステイナビリティー(持続可能性)に関するセミナーを併催した。「今年に入って、サステイナブル関連の問い合わせが増えた」ため。受講者の反応は良くアパレル段階でもCSR強化に向けて準備が進みそうだ。同セミナーは来年1月24、25日の岡山会場(岡山コンベンションセンター)、2月6、7日の大阪会場(大阪サンライズビル)、2月21、22日の名古屋会場(名古屋国際センタービル)でも行う予定。

〈QTEC/良いモノ作り、できることから〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)はサステイナビリティー(持続可能性)の世界的潮流を踏まえ、企画段階からサステイナビリティーを考慮したモノ作りのサポートに力を入れる。

 11月下旬には、ユニフォーム団体などの賛助会員向けに「繊維産業とサステイナビリティー」をテーマにしたセミナーを開催。参加者は通常より多く真剣に聴講する姿が見られたという。

 サステイナビリティーは、使い捨てプラスチックや過剰生産・廃棄の問題、化学薬品の使用低減などの環境、外国人技能実習生を含む人権・労働、地域・社会貢献など多岐にわたる。このため“何からどう取り組めばいいか”悩む企業も多い。

 そこでQTECは海外8カ所の試験センターや事業所などからの最新情報も生かし、まず「良いモノ作り」を推進。各国のコンプライアンスにのっとった材料や薬剤の選定、品質管理、工場の審査・指導など、モノ作りの組み立てからサポートする。「ダウンパス」など羽毛でもグローバル規模で品質試験やトレーサビリティー監査を展開。衣料品、生活用品を含め、できることから一つ一つ、無駄のない効率的なモノ作りを後押しする。

〈ニッセンケン/持続可能なモノ作り支援〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、繊維製品の有害物質に対する世界的安全証明「エコテックス認証」で、欧州圏を除いて試験と認証ができる唯一の機関。「エコテックススタンダード100」は人体への有害物質だけでなく、環境ホルモンなど地球環境の安全性にも寄与する。駒田展大理事長は「欧米に比べ、日本はサステイナビリティー(持続可能性)への意識は低いが、徐々に関心は高くなっている」と語る。

 中国では環境規制の強化で、生産現場が大きく変わってきた。省エネルギー化、汚水処理や排水量も制限される。このため、中国国内では環境関連のセミナーも増え、「中国の消費者からGB(中国国家標準)をもっと厳しくというほどの声も上がっている」ようだ。

 インドでも排水規制が強化されており、「中国、インド、韓国からエコテックスへの問い合わせが増えている」と言う。エコテックス認証には生産前段階に使われる化学薬剤・染料・助剤・仕上げ加工剤などの安全性の認証「エコパスポート」、持続可能な繊維生産の認証システム「ステップ」などもあり、「持続可能なモノ作りの実現と透明性の向上を支援」している。