台湾の繊維企業/日本開拓への意欲高める/15年ぶりに東京展開催へ

2019年02月26日(Tue曜日) 午前11時4分

 台湾の繊維企業が、日本市場の開拓への意欲を高めている。4月3、4日に約15年ぶりに「パンテキスタイルフェア東京」がテピア(東京都港区)で開かれる。背景には、2020年の東京五輪・パラリンピック開催による市場拡大への期待や、欧米顧客のASEANシフトなどがある。(岩下祐一)

 台湾の繊維企業はここ数年、日本市場への関心を高めてきた。台湾企業の日本開拓の支援を長年担当してきた紡拓会(台湾の繊維産業連合会)の謝國輝マネージャーは「この30年間で今が最も関心が高い」と話す。

 紡拓会は毎年秋に「パンテキスタイルフェア大阪」を開いている。出展企業数は12年には29社だったが、その後毎年増え、18年は近年最多の57社となった。

 この関心の高まりに対応するため、今年4月に約15年ぶりに東京展を開く。生地メーカーとコンバーターを中心に約29社が出展する。

 台湾企業の関心の高まりの背景には、2020年の東京五輪・パラリンピック開催がある。多くの企業が東京五輪を機に、得意とするスポーツウエア市場の商機が拡大するとみている。

 紡拓会の黄偉基秘書長は「今回の五輪を機に、日本のスポーツブランドが成長するだろう」と述べる。合繊織物メーカー最大手、福懋興業(フォルモサ・タフタ)の李敏章総経理も「五輪とワールドカップの開催年は世界的にスポーツ市場が拡大する」と言う。

 一方、もう一つの背景として、欧米顧客のASEANシフトと、それに伴う商品の高度化が挙げられる。

 台湾企業の多くはこの30年、天然素材から化学繊維にシフトし、スポーツ、アウトドアウエアへの素材提供で大きな成果を上げてきた。「ナイキ」「アディダス」「ザ・ノース・フェース」などの欧米スポーツ、アウトドアブランドの多くは現在、台湾企業の素材をメインに使っている。

 ところがここ数年、中国の人件費の高まりや人手不足を背景に、縫製工場がASEAN地域にシフトし、それを追う形で台湾企業を含む素材メーカーもASEANにシフトしている。欧米ブランドもASEANでの素材調達と縫製を進めており、台湾製素材のシェアは徐々に下がってきている。特に苦しいのが生地だ。

 18年の台湾繊維品の輸出額は、前年に比べほぼ横ばいの100・74億ドルだった。17年は11年以来6年ぶりに前年を上回ったものの、伸び率は1%にとどまっている。素材別では、ベトナム向けがけん引し、糸の輸出は10%増の16・76億ドルと堅調。一方生地は、66・55億ドルで2%減った。ASEAN地域での生産背景が整ってきた影響を受けている。

 こうした中、ASEANに工場を持たない台湾メーカーやコンバーターは、商品の高付加価値化によりASEAN品と差別化し、生き残ろうとしている。その努力がこの数年で実り、商品力に自信を持った企業の一部が日本市場の開拓に動いている。

 東京展に出展する生地コンバーターの優聚企業は、顧客がASEANシフトしたことで、この3年間苦戦している。そのため、ASEANでは生産が難しい付加価値品の開発を強めている。その成果により「高いクオリティーが求められる日本市場に合う商品が充実してきた」(江文敏総経理)ことから、昨年大阪展に初出展し、日本市場の開拓に乗り出した。